【お題:"ガチャ"】「#大学生の目線から」エッセイコンテスト入選作品3『卒論や就活を進めていると、大学生活が終わりに向かっているのを実感する。すると自然に、過去を振り返ることが増える。... ...』

編集部:ベッシー

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エッセイコンテスト6月「#大学生の目線から」入選作品3:東洋大学 4年 yucky さんのエッセイ

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卒論や就活を進めていると、大学生活が終わりに向かっているのを実感する。すると自然に、過去を振り返ることが増える。友達になれた人、気になっていたけれど話す機会がなかった人。気まぐれで入ったサークル、縁のなかったサークル。四年間続けたアルバイト、一日限りのアルバイト。学校の外で出会った人やもの。笑って泣いて、時には苦しくて。それら全てが、その時しかできないことだった。けれどもたまに、もしかしたらこんな可能性もあったんじゃないか、と思うことがある。

もしかしたらあの時サボった講義は、自分の人生において途轍もなく重要なものとなるはずだったんじゃないか。新歓で僕に話しかけてきたのが別の人だったら、全く違うサークルで、全く違う学校生活を送っていたんじゃないか。あの時あの人を飲みに誘っていたら、今頃とんでもない仲良しだったんじゃないか。考え出したら止まらない。

今まで出会ったもの全てが、僕の人生を彩っている。しかし全ての出会いは偶然だ。生まれた時に入力された、自分では選べない初期条件と、偶然的な出会いの数々によって僕が出来ているとしたら、人生は思っている以上に、運要素が強いのかもしれない。

何かに挑戦する時、それを強く感じる。僕よりも遥かに好条件で挑戦する人、挑戦に対して全く物怖じない人、そもそも挑戦する必要すらない人が目に入る。なぜ自分がその人ではなかったのだろう、と羨ましくなる。僕だって、出会いさえあれば、条件に恵まれていれば、そこにいたはずなんだ。それは自分の努力で手に入れたもんじゃない、全部、運じゃないか。挫折に打ちひしがれている時、そんな思考に取り憑かれる。それまで必死に築き上げた自信や前向きな気持ちが音を立てて崩れ去り、後には虚しさだけが残る。

けれども結局、次の挑戦、次のガチャを回す準備に移る。全部運というなら、それは自分だって同じことだ。僕だって自分の力だけで手に入れたものなんて一つもなかった。ならば、自分で回せるガチャを回し続けることが重要で、逆に言えば、僕にできることはそれくらいしかないのではないか。自分にできることしか、自分には出来ない。その抽選を受ける機会は、案外そこらじゅうに散らばっている。

どれほど確率が低くても、出るまで回せば必ず出る。それだけは確かだ。あとは、いつやってくるかわからないその瞬間を、信じて回し続けることが出来るかどうか。たまには立ち止まって、回す手を止めてもいい。何もしていなくたって、絶望の底にいながらも、次に回すガチャのことを考えてしまう、なんだかんだ楽しんでいる自分と出会うことだってある。

僕はハンドルを回す。挑戦を続ける。いつか必ず、夢見るその可能性と出会えることを信じて。この考えが、このやり方が正しいと信じて。

答え合わせをするために、僕は目の前にあるガチャを回し続ける。自分の人生に評価を下すのは、その後でいいと思う。



著者:yucky さん
学校・学年:東洋大学 4年
noteアカウント:yucky0328
著者コメント:人生は運ゲーだけど、その中でも自分にできることは確かにあると信じて進むことが、生きることだと思います。

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「#大学生の目線から」6月期エッセイコンテストの結果と総評はこちら

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