インターンの選考の特徴と対策は?
「インターンシップ(以下「インターン」)」への参加から就職活動を開始するという大学生が増えていますが、企業によってはインターンへの参加が採用選考以上の「狭き門」になっていることもあります。インターンの参加者はどうやって決まるのでしょうか。今回は「インターンの選考」についてご紹介します。
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インターンの選考形式の種類は?
そもそも「インターン」とは?
日本でのインターンは、文部科学省によって「学生が在学中に自らの選考、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定められています。企業は一般的に6月から翌年2月までインターンのプログラムを実施し、参加者(主に大学3年生)を受け入れています。
参加者はこのプログラムを通じて業界・企業への理解を深め、研修的な就業体験をします。プログラムによっては、その企業の利益に関わる実務を任されることも。
インターンでは「業界・企業研究」ができるほか、自分の適性の見極めや、採用選考でのアピール材料にもなるため、現在は多くの大学生がインターンに参加しています。
インターンを実施する企業も増加傾向にありますが、通常の業務を行いながら学生の相手をしなければならないため、どうしても受け入れられる人数には限界があります。しかし業種・企業によっては定員よりも多くの学生がインターン参加を希望するため、企業は採用選考と同様に選考を行い、求める人物像に合致した学生を参加させているのです。主なインターンの選考形式は、以下のようなものです。
書類選考(エントリーシート)
最も多くの企業で採用されているのは書類による選考です。一般的な履歴書、専用のエントリーシート、インターネットの専用フォームへの入力といった方法があります。履歴書とエントリーシートでは、記載する内容が異なるのが普通です。
書類のみで選考する企業もありますが、多くの企業では書類審査は一次審査で、その次に面接などの二次審査を行います。
面接
書類選考からの二次審査として、面接による選考を行う企業も少なくありません。面接の形式は以下の3種類が一般的です。
・個人面接
学生を1人ずつ面接します。面接官の人数は1人の場合もあれば、複数の場合もあります。
・グループ面接
複数人の学生を並べ、同時に面接する方式です。
・グループディスカッション
複数の学生にテーマを与え、議論させます。面接官はその様子を見て審査します。
適性試験
学生の業種・企業に対する適正を判断するための試験を行い、その結果で選考する企業もあります。適性試験は企業が用意した選考会場やテストセンターで行われるほか、インターネットの専用サイトで受けられることもあります。
筆記試験
学生の学力を見るための試験です。受験方法は上記適性試験と同じです。
先着順・抽選
完全に先着順でインターン生を受け入れたり、期日までにエントリーした学生を抽選で選んだりする企業もあります。
インターンに選考されるための対策
上記の選考形式についての対策をまとめました。
書類選考
履歴書やエントリーシートを作成する際は、まず企業が定めるフォーマットを確認します。指定されている用紙・フォーマットがあれば、必ずそれに従いましょう。その他の注意点は以下のとおりです。
・要点が伝わるように書く
自己PRや志望動機を書くときは、要点をわかりやすく書くことが大切です。まず結論を述べ、それから理由を書くという構成がよいでしょう。あいまいな表現は避け、なるべく具体的な事例や数を書くように心掛けましょう。
・「学生時代に力を入れたこと」の書き方
「学生時代に力を入れたこと」「学生時代に頑張ったこと」という項目が重視される傾向があります。「どのように頑張って、どうなった」のように、ただ「〇〇を頑張った」で終わらないように話を具体的に膨らませて書くのがこつです。
・志望動機の書き方
普通の会話なら「〇〇の仕事がしたかった」で済むのですが、選考のための回答としては不十分です。「どうしてそう思ったのか」という裏付け、根拠が必要です。「〇〇が得意なので、それを生かせる仕事として〇〇にたどり着いた」「〇〇という経験があって感銘を受け、自分もその仕事をしたいと思った」などのように書くといいでしょう。
・その他の質問
どのような質問に対しても、回答の核となる部分はシンプルで構いません。問題は「なぜそうなのか」という具体的な内容です。
・文体を統一する
「です・ます調」「だ・である調」のどちらが適切ということはありませんが、文体を統一するのは必須です。
・適切な文字数になるようにまとめる
記述式の設問で「200文字以内」のように文字数が定められていることがあります。文字数を超えても、短すぎてもいけません。この例の場合なら190-200文字の間に収まる程度にまとめるといいでしょう。
・誤字・脱字に気を付ける
特にパソコンを使って文章を書いていると、文字変換の際に同音異義語による誤字などが発生する可能性が高くなります。書いた内容は必ず読み返してチェックしましょう。
・丁寧に書く
履歴書やエントリーシートが手書きの場合、楷書で丁寧に書きましょう。きれいな文字が書けないのはそれほど問題になりませんが、雑に崩して書くのはやめましょう。
・書いた内容はコピーしておく
履歴書、エントリーシートを書いたら、その内容をコピーして手元に残しておきましょう。面接のとき、面接官はこれらの内容を見ながら質問をします。「その場の思いつきで書いた」などと思われると印象が悪くなります。もちろん、うそを書くのは論外です。
面接
採用選考でも面接による選考が行われるのが普通ですね。インターンの選考でも、多くの企業が面接を実施しています。面接の際の注意点は以下のようになります。
・面接で聞かれる基本的な内容を明確に話せるようにしておく
「自己紹介」「志望動機」「インターンで何を学びたいか」「学生の頃に力を入れていたこと」といったお決まりの質問には、きちんと答えられるようにあらかじめ練習しておくといいでしょう。
・簡潔に話す
質問されたことにはなるべく簡潔に答えましょう。結論を簡潔に述べ、それから具体的な理由を付け加えるといいでしょう。ただし、あまり話が長くならないように、時間配分にも気を配りましょう。
・無理に面白い話をする必要はない
グループ面接を受けると、同じグループに珍しい、面白いエピソードを用意してくる学生がいることがあります。しかし、そのような人に張り合って面白いことを言う必要はありません。無理に話を膨らませたりせず、自分なりのありのままの回答をしましょう。
グループディスカッション
グループディスカッションによる選考は、通常の面接と少し対策が異なってきます。以下のようなポイントを押さえておきましょう。
・発言しない、できないはNG
人前で話すのが苦手という人もいらっしゃいますが、ディスカッションなのですから自分の意見を言えないで終わるのは絶対に避けなければいけません。
もし、発言していない人がいるのに気が付いたら、タイミングを見計らってその人の発言を促してみましょう。「〇〇さんはどう思いますか?」と言うだけで構いません。グループディスカッションではこのような発言も評価の対象になり得ます。
・他人の意見を聞き、自分の意見を述べる
自分の意見を伝えるのは大切ですが、それに固執するのもよくありません。他人の意見を聞くことも同じように大切です。どうしても受け入れられない考えの相手がいたとしても、感情的にはならず論理的に議論できるようにしましょう。
・自分だけ発言するのはNG
グループディスカッションで自分の意見を主張し、目立つことは大切です。しかし、一人でずっとしゃべっているのは自己中心的に見えます。他の人にも発言する機会を譲り、公平に議論に参加できるようにする配慮も必要です。
・ディスカッションの妨げになる行為はしない
自分の意見が絶対に正しいと押し通そうとすると、議論が進まなくなってしまいます。反対意見ではなく、それを主張する人を批判したり、悪態をついたりすれば、場の雰囲気も悪くなります。こうなると、その人だけではなく、グループ全体の印象も悪くなります。
・場が荒れそうになったら軌道修正する
上記のようなディスカッションの妨げになる行動を取らないのは大前提ですが、他の人がそのような態度を取ってしまうことがあります。このようなときはその人を放置せず、他の人が意見を言えるように誘導したり、一度話をまとめるなどして対処しましょう。
・他人が話しているときの態度にも気を付ける
他の人が意見を述べているときの態度にも注意が必要です。発言者のほうを向き、話を聞いているという姿勢を見せるようにしましょう。実際にはちゃんと話を聞いていても、「そう見えない態度」を取っていてはマイナス評価になります。
先着順・抽選
先着順や抽選によってインターンの参加者を選考する企業もあります。このようなケースでは参加申し込みの期限が設定されていますので、募集要項をよく確認しましょう。うっかり期限を過ぎてしまうことのないように注意してください。
インターンの選考に落ちてしまうと選考採用でも不利になるのではないかと考え、インターン参加をためらってしまうかもしれませんが、インターンと選考採用は関係ないことになっています。あまり気負うことなく、気になる企業のインターンがあれば、しっかり対策を立ててエントリーしてみましょう。
(藤野晶@dcp)