海洋国・日本ならでは! 東京海洋大学 「海事普及会」ってどんなサークル?

学生の窓口編集部

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東京海洋大学には、日本にここだけにしかない「海事普及会」というサークルがあります。これは同校の前身「東京商船大学」時代に創立された(1957年)もので、すでに58年の歴史があります。この海事普及会とはどんなサークルなのでしょうか? またどんな活動をしているのでしょう?

「海事普及会」に所属する東京海洋大学 海洋工学部2年生の樋口美奈子さん 岡部森さんにお話を伺いました。

●海事普及会は「海運」「船」について知ってもらうために

――海事普及会ではどんなことをしているのですか?

岡部さん 海や船に関する知識を皆さんに知ってもらうための活動を行っています。あちこちのイベントに出掛けて講習会を行い、その中で、「手旗信号」や「ロープワーク」といった船員の基礎知識の実演をします。また、イベント以外でも毎年、小中高等学校数校に伺い、講習を行っておりまして、海事普及会ではこれを「巡回活動」と呼んでいます。

――なるほど。海や船に関する知識とは具体的にどんなことなのでしょうか。

岡部さん 日本はいろんな国からさまざまな物を輸入しています。また、日本からは世界各国へ工業製品などを輸出しています。この輸出入には多くの場合船が使われます。海運がなければ日本は成り立ちません。海運がどんな役割を担っているのか、といったことをご紹介します。

――なるほど。普段は気付きませんが、海洋国家・日本にとって海運は重要ですものね。

樋口さん 他にも、船のプレゼンを行ったりします。船の種類とその役割などですね。また、航海中の船員の業務、その一日はこんなふうですよ、といったこともご紹介します。

――なるほど。「手旗信号」「ロープワーク」といった技術は大学でも習うのですか?

岡部さん ロープワークは授業で学びます。手旗信号については、私たちは船員の伝統的な基礎技術として習得しています。

――確かに、船乗りというと、それらができるというイメージがありますね。「巡回」ではどんなところに行かれるのですか?

樋口さん 27年度は山形県の中学校・高等学校を訪問し、「手旗信号」「貿易と船」「船員の仕事」などについて説明いたしました。

岡部さん 他にも例えば、東京都聴覚障碍者大会に参加して「手旗信号」の紹介を行っています。

●昔は「海事普及会」は他の大学にもあった!?

――「海事普及会」は東京海洋大学にしかないと聞きましたが。

岡部さん はい。昔は他の大学にもあったそうですが……現在では東京海洋大学にしかありません。

――他の大学にもあったのですか?

岡部さん というふうに聞いているのですが……詳細な資料が残っていないのでよく分からないとのことです(笑)。創立当初は、東京水産大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大の、東京の六つの大学のメンバーから構成されていたそうです。

――インカレサークルみたいな感じでしょうか?

岡部さん 「各大学に海事“思想"普及会を置いていた」と聞いています。

●海事普及会メンバーは船が好き!

――お二人はなぜ海事普及会に入ったのですか?

岡部さん 船が好きだったからですね。一般の人に船の魅力を伝えていきたいと思って海事普及会に入りました。

樋口さん 私も船が好きですが……。それよりも大きかったのは、受験生のときにオープンキャンパスに参加したのですが、学科のことをいろいろ聞いた先輩が偶然海事普及会の人だったのです。それで入会しました。縁があったのでしょう。

――やはりお二人とも船が好きなのですね! ちなみに、一番好きな船はどんなものですか?

岡部さん 私は……タンカーですかね(笑)。

樋口さん 私は「LNG船」(液化天然ガスを輸送する船)です(笑)。

――それは渋い! お二人は制服を着ていらっしゃいますが。

樋口さん 「制服」でなく「正服」と書きます。実習などで実際に船に乗る学科に所属している人は正服を持っています。乗船する際には着用します。

――海事普及会の面白いところはどんな点でしょうか?

岡部さん 巡回活動などで、一般の方々に「船ってそうなっているんだ」「船って面白いですね」と言っていただけるのがうれしいですね。自分のやっていることに意義があるのだと感じられますので。また、一般の方々に伝えるためには自分がもっとよく知らないといけません。勉強の励みになるというのも面白い点ですね。

樋口さん ロープワークを教えたりとか、船の話をしたりしながら、子供から大人まで地域の人たちと身近に接することができる点がいいですね。人と対話できるイベントが多いので、それは楽しいなと思います。

――ありがとうございました。

周囲を海に囲まれた国・日本は海運という物流がなければ成り立ちません。東京海洋大学の前身の一つである「東京商船大学」は、明治時代に設立された「三菱商船学校」をルーツとします。同校は日本の未来を担う海運を支える若者を育成するために作られました。「海事普及会」はその伝統をくむわけです。頼もしい限りですね。

(高橋モータース@dcp)

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