映画でもテレビでもない……「舞台演劇」の面白さって何ですか? 演劇演出家に聞いた!
東京は世界でも有数の「演劇都市」だといわれます。実際、都内には数百の劇場(またホール)があり、毎日その「コヤ」でなんらかの公演が行われているわけです。また最近では地方でも演劇が盛んとのこと。今回は「舞台の面白さ」について取材しました。
劇団『気晴らしBOYZ』主宰の田中大祐さんにお話を伺いました。田中さんは放送作家で、脚本を書き、演出も行う才人であります。
■舞台演劇は体験するもの! 共有体験こそ魅力!
――舞台演劇を見たことのない人は多いと思うのですが、舞台の魅力とは何でしょうか?
田中さん 映画館よりも芝居小屋の方が、お客さんの笑い声や泣き声のボリュームが明らかに大きいです。それはやっぱり、パッケージ化された映像を「観賞」するのと違って、演劇はお客さんも一緒に「体験」するものだからなんだと思います。
――具体的にはどのようなことでしょうか。
田中さん 役者の息遣いまで感じることのできる臨場感は生だからこそです。目の前で事件が起き、その目撃者になるのですから感情の揺さぶられ方が違います。
音や光も含めて演じる側と受け手であるお客さんが時間と空間を共有できること、その「共有体験」が魅力だと思います。だから互いに「のった時」の劇場のうねり具合は本当にすごいので、それはぜひ一度体験してほしいですね。
■二度と同じ芝居は見られない! どんどん変わるのも魅力の一つ!
田中さん 演劇は生物(なまもの)ですから、公演中の間でもどんどん芝居は変わります。例えば、アクシデントがあって入れたアドリブが受けたからこのセリフはずっと入れようとか、お客さんの反応がよくなかったからここはカットしようとか、そのような変更は日常茶飯事です。
――そんなに変わるものですか?
田中さん はい。やはりお客さんの反応を見て変わります。ですから、皆さんがご覧になった芝居は二度と同じものを見ることはできません。そのときにその場にいないと見られないという点も舞台の魅力といえるでしょう。
――一期一会なわけですね。
田中さん そうですね。芝居好きな人は公演期間中に何回も通って、芝居がどのように変化しているのかを見たりされますが、それは通な見方だと思います。もし、まだ舞台演劇を見たことがないという人は、ぜひ一度劇場に足を運んで、まずは「生の迫力」を感じてみることから始めるのはいかがでしょうか。
――初めての人が演目を選ぶコツはありますか?
田中さん こればっかりは出会いですが、伝統的に各公演が出しているフライヤーにはセンスが凝縮されていると思います。演劇を初めて見るきっかけが、知り合いのお付き合いという方はけっこう多いと思いますが、自分のセンスに引っかかった公演を見に行って、お気に入りの役者、脚本家、演出家を見つけたときの喜びはまた格別なんじゃないでしょうか。
――ご自身の劇団『気晴らしBOYZ』を手がける際に心掛けているものは何でしょうか?
田中さん どれだけお腹いっぱいにさせるかです。演劇はやはり値段もそこそこするので、お客さんも欲張りになって当然だと思うんです。笑いたいし、泣きたいし、驚きたいし、考えたいし、人に話したい。うちは基本的にコメディ主体なんですが、独り善がりな作品にならないようには気を付けています。ぜひ一度見に来てください!
いかがだったでしょうか。日本各地には多くの「コヤ」があります。もし一度も舞台演劇を見たことがないなら、せっかくですから一度見に出掛けてみませんか。食わず嫌いはもったいないですよ!
⇒『気晴らしBOYZ』公式サイト
http://kibarashi.lolipop.jp/
⇒『気晴らしBOYZ』次回公演
『草葉の陰でネタを書く。』
作・演出 田中大祐/劇場『あうるすぽっと』
2016年2月3日(水)~2月7日(日)
(高橋モータース@dcp)