2015年の流行語が決定! じゃあ江戸時代の流行語ってなに? 「そいつは日本だ!」
毎年、その年に流行した言葉に「新語・流行語大賞」が贈られますね。その時代によっていろんな言葉が流行するものです。例えば「婆娑羅(ばさら)」は南北朝時代の流行語です。旧来の秩序などを無視する態度、振る舞いを指す言葉で、世が乱れたとされる当時を象徴する言葉といえます。では、江戸時代の流行語とはどんなものだったのでしょうか!?
江戸時代は、現在のようにインターネットがありませんから、当時の流行語は人の口を介して徐々に広がりました。その結果多くの人が使うようになった流行語は、当時の文書に残っています。江戸時代の流行語を挙げてみましょう。
●日本(にっぽん)
「素晴らしい」「すごい」という意味で使われた流行語です。安永-天明年間(安永年間は1772-1781年、天明年間は1781年-1789年)に大流行し、広く使われました。「そいつぁ日本だ!」なんて言う江戸っ子がたくさんいたのですね。
●すてき
現在でも「すてき」は使われますが、これももとは江戸時代の流行語です。「並のものではない」「桁外れな様子」といった意味で、つまり「とんでもない」といった語感の言葉だったのです。『浮世床』(初編は1813年)には「壱歩出しやアーすてきなやつが買えらアな」という言葉が出てきます。これなど現代人でも意味が分かりますね。
●ばからしひ(い)
意味は今とほとんど同じですが、これはもともと遊里で女郎さんが使っていた言葉が江戸の一般女性に広まったものといわれています。
●かんかんのう
歌の名称であるこの「かんかんのう」は文政年間(1818年-1831年)に流行したといわれます。古典落語「らくだ」の中に登場するので知っている人も多いのではないでしょうか。江戸の文政から明治維新を経て大正時代まで伝わったといわれます。
●セルキ
煙管(きせる)のことです。「ギロッポンでシースー」ではないですが、いわゆる倒語の流行が江戸時代にもあったのです。倒語の流行が「しだらない」を「だらしない」にし、現在まで伝わる言葉にした、という説があります。現在でも使われる「ネタ」という言葉も、もともとは「種(たね)」の倒語といわれます。実際、江戸時代には商人が商品を「ネタ」と呼んでいました。
●おっこち
「愛人」「恋の相手」を指す言葉で、天保年間(1831年-1845年)から幕末まで長く使われた流行語です。この言葉が流行したので「おっこち絞り」という染め物まで登場し、こちらも流行しました。
●とんだ茶釜
素晴らしく良いもの、とんだ美人、という意味で使われた流行語です。もともと、明和年間(1764年-1772年)のころ、笠森稲荷の境内で営業していた水茶屋鍵屋の看板娘・お仙ちゃんが美人で有名になったところからできた言葉です。
「そいつぁ日本だ!」なんて今言うと、「何この人?」と思われそうですが、なんとなく意味は分かるような気がしませんか? それにしても倒語の流行が江戸時代にもあったというのは驚きではないでしょうか。現在につながる「文化の根っこ」はその多くが江戸時代にあるのですね。
(高橋モータース@dcp)