2020年06月02日 更新
“木”の魅力を雑貨で知ろう♪ 岩手の小さな家具屋「Holz」の雑貨がかわいい!
岩手県盛岡市に店を構え、機能的で優れたデザインの商品を扱うインテリアショップ「Holz(ホルツ)」。地方の小さいお店ながら、木を素材にしたユニークなオリジナル雑貨で全国にファンが広がっています。店主・平山貴士さんに、オリジナル雑貨のこだわりや木の魅力について聞きました。
インテリアショップ「Holz(ホルツ)」は16年前、岩手県盛岡市の中心部にある築80年の小さな民家を店主自らリノベーションしてオープンしました。シンプルながら主張あるデザインの家具や照明、雑貨などで訪れる人の目を楽しませます。「木の質感、そして木目が醸し出す雰囲気がいい」と話す店主、平山貴士さん。職人と試作を重ねながら作る、素材の風合いが楽しめるオリジナルアイテムの魅力を伺いました。
Holz Furniture and interior 店主 平山 貴士さん
小さな家具屋の、“木”の魅力あふれる雑貨が気になる!
「木、木材」という意味のドイツ語を店名に掲げ、機能的で優れたデザインの商品を扱うインテリアショップ「Holz」。地方の小さいお店ながら、全国にファンを広げるオリジナル商品は器やキッチン雑貨、家具などさまざま。その共通点は、職人の確かな技術とユニークな発想にあります。
伝統工芸の職人たちと本気で作った“家型オブジェ”
手前から:IEKURO (生産休止中)、IEMONO (生産休止中)、 SEKISOU FRONT ¥9,900、TATEGUウォールナット ¥3,300
記念すべき初のオリジナルアイテムは、「H40」シリーズと名付けられた三角屋根の家型オブジェです。「シンプルな家の形がきれいですよね。軒が出ていないところがポイントです。出てしまうと一気にかわいくなりすぎてしまうので」と平山さんお気に入りの家型で展開しています。どれも日本の伝統技術を受け継ぐ各地の職人の手によるもの。
2007年から約10年間生産された岩手県の伝統工芸・南部鉄器のペーパーウェイトを皮切りに、秋田県・樺細工(かばざいく)、富山県の真鍮鋳物(しんちゅういもの)など素材のバリエーションは増え続け、今では10種類程登場しています。「どれも経年変化で色や質感が次第に変化していくんです。それぞれの素材が持つ風合いを楽しんでもらいたいです」と話す平山さん。
このシリーズのなかで唯一、木材を用いて作られているのが、第3弾として登場した「TATEGU」です。アルミという異素材を組み合わせ、小物入れというほかにはない機能も持たせた同シリーズのなかでも異色の存在。
TATEGU(ウォールナット・山桜)各¥3,300
平山さん
TATEGUはドアがあるので、倉庫とか工場のような見た目ですよね。アルミ部分を建具に見立て、その部分を取り外しができる構造にして小物入れという機能を設けました。濃い色のウォールナットと、明るい色の山桜の2種類の木材で展開しています。北米が原産地で、その色合いから高級感も漂うウォールナットに対し、山桜は目のつまった木目と深く上品な色合いが魅力です。
大切なピアスやリングなど宝物をしまっておく箱にもぴったり。小さいながらも、天然木ならではの肌触りと豊かな表情がしっかり感じられ、ついつい眺めてしまいそうです。
家型が好きすぎて、小さなショーケースも商品化
in HOUSE 60(ウォールナット・ナラ)各 ¥4,620
H40シリーズの家型を活かし、小さなショーケースもお目見えしました。ガラスと土台、どちらも岩手在住の作り手によるもので、こちらも土台は色が対照的な2種類の木材で展開しています。「濃い色はやはりウォールナットですね。質感もいいですし、品質など材料自体が安定しているので使いやすいです。もう一色はナラ材を選びました。ナラ材は白木の中ではわりと重量感があるというかかわいくなり過ぎないのがいい。」と、平山さんは木材を選んだ理由についてこう話してくれました。
試作を重ねた木製カップは “食堂のコップ”をイメージに
家型シリーズに続く新定番は「kasane kop」。「昔ながらの食堂やレストランにあるようなスタッキングのコップを木で作れないかな、できたらかっこいいだろうな」という思いから、岩手県の木地師とともに試作を重ね、完成させたこだわりの木製カップです。
山桜を木工ろくろでひとつひとつ削り出して作ります。底面には制作者や産地、ロット番号をレーザー加工で施す凝りよう。なにを注いでも、持つ手には熱すぎず冷たすぎず。一年を通して愛用できる頼もしい存在です。
平山さん
このコップはウレタン塗装で仕上げています。木のものは本来の質感をできるだけそのまま楽しめるよう、オイル仕上げにすることがホルツでは多いです。しかし、コップなどは常に液体が入るものなので、さすがにオイルだけだと水分がしみ込んでしまいやすくなります。
なので、もう少しコーティングを強化した方が扱いやすいだろうと考え、食品衛生法をクリアしたウレタン塗装で仕上げました。ツヤもテカテカではなく、ほどよいところでとどめ、わりとマットな質感になってます。
たまの出番だからかっこよく! 真鍮と合わせたボトルオープナー
こちらは新作のボトルオープナー。岡山を拠点に真鍮製のカトラリーや雑貨を手掛ける工房「Lue(ルー)」と共同で作ったもの。木部には水に強く、高級材として知られるチーク材を使っています。
平山さん
昔より使う頻度が減っているものこそ、お気に入りのものを手元に置いておきたいと思って作りました。真鍮を用いて適度な重量感を持たせつつ、握る部分は木を用いて握り心地を良くしました。
チーク材は「3大銘木」に数えられます。水に強いため造船木材としても知られており、キッチンまわりで活躍する機会も多いんですよ。優秀な木材であることに加え、色味や質感も昔からとても好きな樹種です。北欧のヴィンテージ家具でも多く使われていますね。
さまざまに表情が異なる「木」を知ろう
木の魅力を引き出すオリジナル家具や雑貨が評判のHolzですが、意外にも、原点はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で一体成型された椅子だといいます。高校時代にアメリカのデザイナー、イームズが手掛ける椅子を雑誌で見かけ、そのデザインの美しさに一目ぼれした平山さんは、インテリア業界に進むことを決意。その後に勤めたインテリアショップで、チーク材と鉄で作られたヴィンテージ家具と出会い、木の魅力にはまっていきます。「そのときから一番好きな素材は木。質感もですが、木目がもたらす影響は大きい」と平山さん。
木の種類や魅力を知るために、小物から取り入れて
平山さん
木の種類や魅力は所有しないとなかなかわかりにくいもの。でも最初から家具を買うと高い買い物になってしまうので、最初は小物から取り入れてみるといいと思います。大切なのは、加工や着色がされすぎていないものを選ぶこと。そして、何の種類の木材かを意識することですね。
「自分の基準」をつくることが、木を知る一歩に
平山さん
そのためにも、買うときに「これはなんの木ですか?」とお店の方にたずねてみてください。ひとつの樹種の色や木目を知ると、そのあとウォールナット材を見たときに「とても黒い色だな」と感じると思います。自分のなかに「木の基準」をつくること。それが木を知るための一歩だと思いますよ。
さまざまな樹種で作られているキーホルダー「IECORO」も、25㎜四方の小さな木材ながら、ひとつひとつ異なった表情をしていて、選ぶのに迷いそうです。
木材はウォールナット、コクタン、タガヤサン、ケヤキ、アッシュ、神代ニレ、モンキーなどをはじめ、10種類以上あるそう。樹種はそのときによって異なるため選べませんが、通販で購入する際は「明るめ」「暗め」などの希望を伝えてみて。
まとめ
「インテリアも目まぐるしいスピードでトレンドが変化する今日だからこそ、お店で取り扱う商品は時間をかけて選定していきたいと感じています。そして、すでにあるものの良さも見直していきたい」という平山さん。
木工職人の力を借りながら手掛けるHolzオリジナルアイテムも、伝統技術の素晴らしさをいまに伝える取り組みといえそう。「木の基準」をつくる最初の木製雑貨としてもぴったりです。もし木の風合いや木目の美しさに魅力を感じているなら、「木の基準」づくりから始めませんか。
取材協力・写真提供
Holz Furniture and interior
岩手県盛岡市菜園1-3-10
TEL: 019-623-8000
11:00~19:00営業、木曜定休
※変更となる場合がありますので、事前にブログをご確認の上、お出かけください。
ショップ情報へ
ショップInstagramへ
※公式サイトでの通販のほか、姉妹店「raum」との合同オンラインショップ「HoumBase」を4月からスタート