『鬼の花嫁』は何を描いた映画だった?学生3人が本音で語る“共感”の理由
原作小説・コミック累計650万部突破という圧倒的な支持を背景に、『鬼の花嫁』がついに実写映画としてスクリーンに登場。“鬼の花嫁”というインパクトのあるモチーフ、あやかしと人間が共存する世界観は特異でありながら、出会うはずのなかった二人が紡ぐ物語は現代の私たちに訴えかける王道のラブストーリーとなっています。鬼の一族の次期当主・鬼龍院玲夜を演じるのは、映画での本格ラブストーリー初主演となる永瀬廉さん。家族から愛されず虐げられてきた平凡な女子大生・東雲柚子役を吉川愛さんが演じます。
今回、ヒロインと同世代の大学生3人が本作を鑑賞し、思い思いに感想を語り合いました。学生目線で作品の魅力をお伝えします。
大学生3人が『鬼の花嫁』を語ってみた
『鬼の花嫁』あらすじ
あやかしと人間が共存する世界。あやかしは時に人間から花嫁を選ぶ。あるとき、家族から愛されずに育った女子大生・柚子は、あやかしの頂点に立つ“鬼”の次期当主・玲夜に花嫁として見出される。互いにひかれあっていく二人だが、柚子の妹やその婚約者の思惑が立ちはだかり、運命と現実の間で揺れ動くことになる。二人は真実の愛を掴むことができるのか――。
和モダンな世界観と、人間らしい感情に引き込まれる
――見終わったあとの第一印象はどうでしたか?
まず、表現が繊細で美しい映画だなと思いました。あやかしが出てくるストーリーということもあり、日本の伝統的な要素を大事にしつつ、和モダンな世界観を表現していたのがとても美しいなと感じました。特に玲夜と柚子がダンスを披露する舞踏会のシーンでそれを感じることができました。
あやかしと人間が共存する世界そのものは非現実的なのですが、玲夜や柚子、瑶太、花梨といったキャラクターがそれぞれ感情をもって行動していて、とても人間らしさが感じられました。この映画では、特定のキャラクターに感情移入するというより、キャラクターが抱える迷いや葛藤に共感を覚えました。
自分で選ぶ強さ――柚子というヒロイン
――ヒロインの柚子はそれまで家族から邪見に扱われてきた人生を送ってきましたが、鬼の次期当主である玲夜に花嫁として見初められて生活環境ががらりと変わります。そうした状況のなかでも芯の強さを見せる柚子に対してどう感じましたか?
私は柚子のふるまいに共感を覚えました。鬼の花嫁になっても、大学やバイトは続けたいというところとかですね。私たち大学生くらいって、ちょうど、社会に出る前にいろいろなことを経験したいと思う年齢だと思うんです。これから人生で選択しなければならないことも増えていくなかで、いろんな選択肢を持っておきたいと私も思うので、同じ大学生として柚子がやりたいことを続けようとする気持ちがわかる気がしました。
柚子はいきなりトップである鬼の花嫁になることを決断しなければいけないことに対して、とても迷いや葛藤があったんだなと伝わってきました。これはつまり、柚子の人生の中ですごく大事な決断だなと感じ取ることができました。それを自分に置き換えてみると、将来の選択肢を決めるときは道に迷ったりしながらも人生において、大きな決断だと思っています。柚子の決断は自分事のように捉えることができました。
私は共感したというより、柚子は強いなと思いました。自分で選んでいくという強さがすごいです。家族から疎外されて自分で立つことを求められてきたからこそだと思うんですけど。
あと、家族に対しても、あんなにひどいことをされながら家族を捨てないことにも強さを感じました。私だったらもう家族とは離れちゃう気がします。花梨が瑶太の花嫁になる前、貧しくても幸せだったときの家族の記憶を、柚子がとても大事にしていて、それが素敵だなと思いました。
一途な愛と運命の出会いを、どう受け止めるか
――あやかしは一度花嫁を見初めたら生涯、その花嫁を愛し続けるという設定ですが、そんな一途な愛は「あり」ですか? 「なし」ですか?
悩ましいですね。私だったら、自分の一途さを疑ってしまいそうです。そのときは「この人だけ!」と思っても、ずっと一途でいられるかはちょっとわからないです。
一途なことは素敵だと思います。ただ、瑶太の花梨への愛情が他者への攻撃という危険な方向に向かっていくのを見ると、強すぎる思いは怖い面もあるなと感じました。
――みなさんは玲夜と柚子のような運命の出会いを信じますか?
あると思いたいですね。私自身、初対面で運命を感じたということではないのですが、出会うべくして出会ったと思う人はいます。恋愛に限らずなんですが、いろいろな経験を積み重ねてきた今だからこそ出会える人は、いると思います。
私も信じる派です。恋愛とは少し違うのですが、自分の経験上、この人と出会えたからこそ、なにかに打ち込めたり、積極的になれたりした経験があります。すぐに「運命の出会いだった」と感じられるわけではなかったんですけど、あとからこの人と出会ってよかったと気付かされます。
私も運命の出会いは信じますね。何かの縁を感じる出会いの経験は私にも思い当たります。映画で描かれているような運命の出会いを経験したことはないですが、してみたいという憧れもありますね。ディズニー映画のようなロマンチックなお話もすごく好きなんです。
覚悟を決めたラストシーン、出会えなかった年月を埋める誕生日
これ以降、ネタバレがあります。
――印象に残ったシーンを教えてください。
ラストシーンが一番印象的でした。柚子はいろいろと悩みや葛藤がありながらも、最後に覚悟を決めるんですよね。二人が想いを伝え合う瞬間は心に残りました。
私は、物語の中盤で玲夜が柚子の誕生日を祝うシーンです。柚子が正式に玲夜の花嫁として屋敷に迎えられたあと、自分の部屋に行くと、部屋の雰囲気ががらりと変わっていて、部屋中にたくさんの物が置いてある。すごく柚子っぽいお部屋になったなとまず思ったんですが、それだけじゃなくて、21回分の柚子の誕生日を順番にプレゼントと手紙で祝っていくのが素敵でした。出会う前の年月を埋めていったんだなと思いました。柚子はとても遠慮がちな人物ですが、思いもかけぬ玲夜からのたくさんの贈り物に、うれしさが倍増しているように見えました。
――玲夜と柚子が出会ったのが、ちょうど柚子の21歳の誕生日の夜でしたね。玲夜と運命的な出会いをする直前、柚子は家で起こった出来事によって心身共に深く傷ついた状態でした。
21歳の誕生日に柚子に起こることは、とても悲惨ですよね。でも、妹の花梨があやかしの花嫁になってからは、毎年、柚子の誕生日はあんな感じだったんだろうなとも想像できます。そういうことも考えると、玲夜がこれまでの誕生日を全部祝っていくことはすごく柚子の心に響いたんじゃないかなと思いました。私もあの場面は印象的でした。
それ以外で言うと、玲夜の孤独に柚子が気づく場面もよかったです。家庭内で孤立していた柚子だからこそ、玲夜が次期当主として一人で戦ってきたことがわかるんだろうなと思います。
――ちなみに、二人が初めて出会う場面についてはどう感じましたか?
玲夜も柚子も孤独を感じている人物なので、そうした二人が運命の出会いを果たす場面は、とても切なく描かれていると思いました。
私も切なさを感じました。ただ、それだけじゃなく、やっぱり二人が突然、恋に落ちる瞬間でもあると思いました。それから、傷を癒す力も描かれているなと。実際、火傷を負った柚子の腕を玲夜があやかしの力で治しますが、体の傷だけじゃなくて、柚子の心の傷もやさしく癒そうとする場面になっているので、そういう意味でも印象に残りました。
出会いのシーンはすごく恋愛映画の王道だなとは思ったんですが、とても生身の人間らしさが出ていると思いました。恋愛映画の運命の出会いって、割とキラキラしているイメージがあると思うんですが、そういうキラキラの世界とは対照的な雰囲気で、傷ついた人間のリアルな感じがすごく出ているように見えました。
迷いながら生きる人にこそ刺さる物語
――この映画はどんなテーマを描いた物語だと思いましたか?
私は「愛情」だと思います。玲夜と柚子のお互いの愛情という意味だけでなく、柚子の家族に対する愛情も描かれているのを感じました。柚子は、玲夜への愛情も家族への愛情も捨てたくなかったんじゃないかな。
私はいくつか思い浮かんだんですが、大きく描かれている「運命」はもちろんなんですけど、そのほかに「家族」「信頼」「選択」というテーマもあると思いました。家族が「戻るべき場所」として描かれているのを感じたのが一つ。また、「信頼」というのは、玲夜と柚子が途中、迷ったりしながらも、この先を二人で歩いていくという決断をするには、お互いへの信頼があってこそだと思いました。「選択」はこれまで話にも出たように、柚子の選択も一つのテーマになっているのかなと。
私も「愛情」が描かれていると思いました。二人が愛し合うようになる過程がやっぱり印象的でした。また、瑶太と花梨もお互いに愛情を持っているし、それが玲夜と柚子の愛情に試練を与えてもいるので、家族愛も含め、いろんな関係の「愛情」が複雑に交差している作品だと思いました。いろんな形の愛情が絡み合いながら物語になっていると感じます。 なかでもとくに愛情というテーマを強く感じたのは、クライマックスの場面でした。
――柚子が玲夜に本当の気持ちを伝えようとするシーンですね。
その場面で玲夜と柚子のお互いへの愛情を強く感じました。柚子のためにあやかしの力を使う玲夜と、それによって強さを失ってしまった玲夜を守ろうとする柚子。二人がお互いに守り合っているのが印象的でした。
――この映画はとくにどんな人に刺さると思いますか?
何か人間関係に悩みやもやもやを抱えている人ほど刺さる映画です。柚子も、あやかしである玲夜も、一人の人間として悩みを抱えているという点では私たちと重なる部分があるので、すごく共感できると思います。
人間らしさを味わいたい人におすすめしたいです。悩みもそうですし、人って、選択を迫られたときに失敗したり間違うこともあると思うんです。なので、迷っていることがあるような人ほど、胸に刺さるものがあるはずです。
大学生くらいの年代の人にすすめたいですね。ちょうど悩みや迷いといったものがたくさん出てくる年代でもあると思うんです。玲夜や柚子の姿を通じて、いろんな悩みや生き方があることを知ることができるので、背中を押してもらえるんじゃないかなと思います。
まとめ
鼎談を通して印象的だったのは、参加者それぞれが自分の経験を重ねながら、この物語を受け取っていたこと。玲夜や柚子の選択、愛情のあり方、家族との関係性について語られる言葉は、決してきれいごとではなく、迷いや不安を含んだものだったからこそリアルに響いてきます。『鬼の花嫁』はファンタジーでありながら、大学生の等身大の感情を引き出す映画でした。
映画『鬼の花嫁』は3月27日から公開中です! ぜひ劇場に足を運んで、お楽しみください。
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文・編集/学生の窓口編集部
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作品紹介
映画『鬼の花嫁』2026年3月27日(金)全国公開
原作:クレハ『鬼の花嫁』(スターツ出版文庫)
※コミカライズ:作画・富樫じゅん/原作・クレハ(スターツ出版「noicomi」)
出演:永瀬 廉 吉川 愛
伊藤健太郎、片岡 凜 兵頭功海 白本彩奈 田辺桃子 谷原七音
尾美としのり 眞島秀和 陽月 華 橋本 淳 嶋田久作 尾野真千子
監督:池田千尋
脚本:濱田真和
音楽:小山絵里奈
主題歌:「Waltz for Lily」King & Prince(ユニバーサル ミュージック)
イメージソング:「Ray」由薫(ユニバーサル ミュージック)
製作:「鬼の花嫁」製作委員会
配給:松竹株式会社
©︎2026「鬼の花嫁」製作委員会






























