ネットで検索したり、専用のアプリがお知らせしてくれたり、簡単に知ることができる天気。でも、実は空を見上げればある程度これからの天気の変化を知ることができるのです。

普段は意識していない、そしてなかなか学ぶ機会のない「生きるための技」について考えてみませんか？

今回は「自然からよみとる天気の変化」について、国内外での野外活動経験が豊富な、かざまりんぺい氏の著書『ビジュアル「生きる技術」図鑑』（誠文堂新光社）よりお届けします。

※写真はイメージです（以下同）

突然やってくる豪雨や災害から身を守るために「観天望気（かんてんぼうき）」を知っておきたい。「観天望気」とは、「天（空や自然）を観（見）て気（大気の状態）を望む」。つまり、空や雲、風の動きなどの自然現象や動物の行動、植物の様子などを見て、天気の変化を予想するということだ。

また、ハザードマップなど避難のための地図はあるけれど、手元に方位磁石がない、そんなときに安全な場所まで脱出・避難するためには、方位磁石がなくても「東西南北」がわかる方法が重要だ。キミの身を守るためにも、天気と方位の両方を身につけておこう！

身近な方位を知ろう

「北はどっちの方向？」と聞かれて、キミはすぐに「こっちだよ！」といえるかな？　実は、方位磁石がなくても、身の回りのもので大まかに東西南北がわかる方法があるんだ。

太陽が昇ってくる方向はおおよその東の方向で、沈む方向は西の方向、これは知っているよね。両手を横に水平に上げ、右手で東、左手で西を指せば、顔は北、背中は南を向くことになり、これで大まかな方位がわかるのだ。

神社やお寺の多くは北を背にして、南か東向きに建てられているので、これらも指標になるぞ。

学校の運動場は、南側に位置していることが多い。また、屋根についているパラボラアンテナは、南西方向、午後2時ごろに太陽が見える方向に取りつけられていることが多いから、これらを指標に東西南北を判断することもできるね。

天気は日本上空の偏西風によって、西の方から変化してくる。これも覚えておくといいぞ！

空と雲から天気をよむ

1884（明治17）年6月1日、東京気象台（後の気象庁）から出された予報が、日本の天気予報の始まりだ（新聞は1888年、ラジオは1925年、テレビは1953年から）。それ以前は、多くの人たちが「夕焼けの次の日は晴れる」といったいい方で伝えてきた「観天望気」が天気予報だった。現在の天気予報が80%程度といわれているのに対して、「観天望気」の的中率はなんと70%程度もあるという。スーパーココンピューターを使った現代の予報と比べても、見劣りしない確率だね。先人たちの知恵、空や雲の動きから天気をよむ方法を知っておこう！

夕焼けは晴れ、朝焼けは雨のきざし

日本では、地球の自転、偏西風により、西から天気が移動してくるので、西の空が晴れて夕焼けが見えると翌日は晴れる確率が高まる。一方、朝焼けは空気中の温度が上がり、水蒸気が増えたことで光が散乱して空が赤から紫色に見える現象。水蒸気が多いので雨になる。

朝の虹は、夕方の虹は晴れ

朝の虹は太陽と反対の西に見え、 西に雨雲があ るので、それが移動してきて雨になる。夕方の 虻は東に見え、西は晴れ、これが移動してくる ので晴れになる。

飛行機雲がすぐ消えると晴れ

上空の空気が湿って冷たく、気流が安定していないとき、飛行機雲がよく現れる。すぐ消える場合は安定して晴れとなる。

朝の霧は晴れ

気圧におおわれて晴れているときは、地面が放射熱で冷えやすく、空気が下から冷やされ、空気中の水分が固まって霧をつくるから。

うろこ雲は雨

巻積雲（うろこ雲・いわし雲）も、低気圧が近づく前によく現れ、12時間後くらいに雨になるといわれている。

生き物の行動から天気をよむ

天気は生き物の行動からもよみとれるんだ。身近にいる生き物の行動を注意して観察してみよう。天気予報では細かすぎてできない、キミが今いる場所の、これからすぐの天気を予測することができるぞ。なにげなく見ているさまざまなものから、天気が予測できるなんてすごいね。自然を見る目を鍛えよう！

ネコが顔を洗うと雨

ネコは湿気があると、ヒゲの張りがなくなり（感度が鈍くなり）、エサをとる（狩る）成功率が低くなる。よって、湿気を嫌って顔を洗うような動作をするといわれている。

スズメが水浴びすると晴れ

水浴びすると、乾きにくい羽毛が濡れてしまう。早く乾かさないとネコなどから攻撃されるので、晴れた日に水を浴びるといわれている。

クモの巣に水玉がついていたら晴れ

クモの巣に霧がついて水玉に。霧は高気圧におおわれて、晴れているときにできるから。「クモが糸を張ると、明日は天気よし」とも。

▶書籍ではほかにも、方位磁石なしで北を探す方法なども紹介しています。