高齢者のフレイル予防とは? 国家課題に挑むキユーピーのお仕事
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「キユーピー株式会社」で働く先輩社会人にインタビュー。食と健康推進プロジェクトで高齢社会の問題解決に取り組む倉田 幸治さんに、日々の仕事内容や働き方、社内の雰囲気などについてお話を伺いました!
PROFILE
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倉田 幸治
「おいしさ、やさしさ、ユニークさをもって、世界の食と健康に貢献する」ことを目指し、出向先である東京大学 高齢社会総合研究機構にて、世界でも急速に進んでいる高齢社会の問題解決に向けて取り組んでいる。
――自己紹介をお願いします。
キユーピー株式会社「食と健康推進プロジェクト」に所属しております、倉田幸治と申します。現在は東京大学の高齢社会総合研究機構というところに出向しております。
――東京大学でお仕事をされているということですが、具体的なお仕事内容を教えてください。
元々は研究所に入社して、その後10年ほど働きまして、去年(2022年)の7月から東京大学の高齢社会総合研究機構で仕事をしております。
仕事内容としては、高齢者のフレイル予防に関する取り組みを行っております。フレイルというのは、高齢者の健康な状態と要介護の状態の間、自立していますが、杖をつき始めたとか食欲が落ちてきたなという状態のことを言います。この状態から要介護にせずに、いかに元気な状態に戻していくか、そのような取り組みをしています。
主にエビデンスの取得や、得られたエビデンスをわかりやすい形でみな様(高齢者の方)にお伝えしていく仕事と、そうした新しいエビデンスを元に、どうやってフレイル予防というのを新しい産業として売り出していくのか、ルールを整備するためのガイドラインを作成しています。
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――キユーピーが健康プロジェクトを行う意義や、プロジェクトが生まれた背景を教えてください。
弊社はマヨネーズやドレッシングなどを販売していますが、「サラダをお客様に食べてほしい」「お客様に健康になってほしい」という元々の想いがあります。その上で、社内の様々な健康への取り組みを1つにまとめて取り扱うことができるセクションを作ろう、という背景で誕生しました。
――一番印象に残ったお仕事のエピソードを教えてください。
以前はずっと研究所にいまして、当時、キャベツの外葉やレタスの芯を有効活用するような研究をしていました。
いわゆるカット野菜を作るときに、芯やキャベツの外葉が毎日数トン単位で捨てられていたんです。それをなんとか有効活用できないかと思い、チームの垣根を超えて色んな部署の方と連携し、発酵させて牛のエサにするというモデルを構築していきました。
その研究が、3R推進功労者等表彰(リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰)の内閣総理大臣賞を受賞したことがあり、そのお仕事がすごく印象に残っています。
――その研究をしてみたいと感じたきっかけを教えてください。
元々私は、カット野菜の開発、品質管理を担当していました。工場を見学した際に、捨てられる芯などを見て「これってもったいないよな…」と感じたのが最初のきっかけですね。
うまく加工したらもっと有効利用できるんじゃないかという個人の興味と、SDGsが注目され始めたタイミングでもあり、社会課題を解決するということで取り組みました。
――お仕事をする中で、難しいなと感じる瞬間を教えてください。
現在は東京大学 高齢社会総合研究機構に出向し、大学の先生や他の企業の方と一緒に仕事を進めていますが、意見を一つにまとめて、一つの答えを出していくというのがすごく難しいなと感じています。
同じ会社に勤めていると、ある程度考え方や目的が同じだと思いますが、違う企業の方や大学の先生は立場や仕事の細かい進め方が違いますので、そこをどううまく折り合いをつけて進めていくのかというところが、難しいなと感じます。
ーーやりがいに感じることや、モチベーションになることを教えてください。
高齢者の健康に関わる仕事をしているので、高齢者の方と直接お話をする機会がすごく多いんですね。エビデンスを元に高齢者の方に説明をして、納得していただいて「じゃあ私もやってみよう」とか、そう言っていただける時は、健康に貢献できているなとやりがいを感じますね。
――現在課題に感じていることや、今後の展望があれば教えてください。
ずっと研究に携わっていたので、ガイドラインや新しいルールを作成して世の中に出していく、高齢者に響くような提案をしていくというのは、まだ得意ではないので課題感を感じています。
ですが、大学の先生や他の企業の方と一緒に国家課題の解決という大きな仕事をさせていただいていることは、今後の自分の成長にも繋がるだろうなと考えながら頑張っています。 この先、また研究所に戻って研究をして行きたいなと個人的には思っていますが、研究のための研究をするのではなく、生活者のためになるような、より多くの方の心に響くような研究ができたらなと考えています。
――社内の雰囲気や、活躍されている方の特徴があれば教えてください。
私個人の印象になりますが、割とマイルドで優しい雰囲気の方が多いような気はしています。今まで出会った上司の方は、プライベートや家庭を優先して考えてくれるので、子供が熱を出した時やお休みが欲しい時は、すごく柔軟に考えてくださるので、育児との両立もしやすいと感じています。
社内で活躍している人は、自分のやりたい思いをしっかりと発信できる人は活躍してるなと思います。会社をこうしたい、世の中を変えていきたいというマインドで頑張っている人が、新しい道を開いている印象です。
――キユーピーに入社した決め手を教えてください。
美味しいものを食べるのが好きだったので、とにかく食品メーカーをたくさん受けたんですね。その中で、キユーピーはすごく自分の考えに合っているな、いい人が多そうだなと感じました。何社か進んでいって、その中でもやっぱりキユーピーという会社が、一番私のことを考えてくれている優しい雰囲気を感じたので入社しようと決めました。
――求められるスキルがあれば教えてください。
研究にしろ営業にしろ、お客様とのコミュニケーションがすごく大事です。社内で仕事を進めていく上でのコミュニケーションも大事なので、コミュニケーションがしっかり取れること、難しいことをわかりやすく伝えていけることが大切だと思います。私自身も、高齢者の方と会話をする際に、いかにわかりやすく話すかというのは意識しています。
――最後に、学生へのメッセージをお願いします。
まず1つ目が就職活動する際、絶対これやりたいというのがない人であれば、いろんな会社を受けてみるのがいいかなと思います。人柄や雰囲気で会社を決めるというのも悪くないのかなと思います。
もう1つは、学生の時にしかできないことを、やっておくのが良いと思います。
社会人になるとお金のゆとりは生まれますが、自分の時間は少なくなってしまいます。なので、今しかできないことをしっかり楽しむことが大切かなと思います。
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取材:清水 碧
編集:学生の窓口編集部
取材協力:キユーピー株式会社