「お菓子や食玩には正攻法が通じない。だから面白い」。バンダイの海外事業チームで働く若手社員の思い【株式会社バンダイ/株式会社BANDAI SPIRITS】】
2015年新卒入社
経歴:アパレル部門で、子供向け肌着・靴下の商品戦略~営業戦略の策定・実行まで幅広く従事。その後2020 年から現在まで、菓子・食品を扱う部門の海外事業チームで、アジアを中心とした海外の菓子・食玩事業のマーケット構築を担当。
「将来の“なりたい自分”がまだわからない」という悩みを抱えるみなさんに、いろんな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#先輩ロールモデル」。
今回は「バンダイ/BANDAI SPIRITS」で働く先輩社会人にインタビュー。バンダイの海外事業チームで菓子・食玩事業のマーケット構築を担当する松田幸一郎さんに、日々の仕事内容や学生時代に取り組んだことについてお話を伺いました!
――松田さんは、どんな学生時代を過ごしていたんですか?
学生時代はサークルに入らず、ドイツ文学を専攻してドイツ哲学と言語学にひたすら打ち込みました。大学3年生のときはベルリンに1年間留学をしています。インターンやアルバイトなどもやるにはやりましたが、基本的には研究をメインにしていました。
――大学院で研究を続けようとは考えなかったのでしょうか?
もともとはそのつもりでした。しかし、留学中にいろんな人と関わったことで価値観が変化したんです。ドイツでは『ドラゴンボール』や『美少女戦士セーラームーン』などが話題になることも多くて、「9000km離れた場所でも日本のキャラクターは愛されているんだ」と感じましたし、日本文化の良さや強みが改めて実感できました。そうしているうちに就職についても考えるようになったんです。
――学生時代に一番頑張ったことは何ですか?
やはり留学です。自分は現地の人とちゃんと関わりたかったので、語学学校だけでなく、大学のゼミに参加したり、単位も取ろうと考えていました。ドイツでは言語の壁があって、コミュニケーションにもかなり苦労しましたが、最終的には現地の学生とも関係性を築けましたし、休みを利用してヨーロッパ各地を見て回れたこともいい経験になったと思います。
――仕事で役立っている学生時代の経験はありますか?
留学中にいろんな人たちと関わったおかげで、物怖じせずにコミュニケーションをとることができるようになったと思います。社会人になると、いろんな性格や性別、年代の方々とコミュニケーションをとる機会がありますが、そんなときでも先入観を持たずに相手の話を聞いたり、自分のことを伝えたりすることを学べたので、留学中の経験が仕事でも活きていると感じます。
――何か、就活前にやっておいたほうがいいことはありますか?
自己分析ですね。自分の強みが何かを考えた上で、それを深堀りしていくのは大事なポイントだと思っています。能力だけでなく、性格面でもいいと思います。“負けず嫌い”や“真面目”など、自分の性格的な強みや弱みを理解すると、就活でも自分に合う・合わないがわかってくるので、そこは掘り下げておいたほうがいいと思います。
――今の会社を選んだ理由を教えてください。
社員の皆さんがひたすら熱い想いで仕事をされてることを実感し、魅力に感じたからです。面接や座談会などでバンダイの社員さんたちと接したときに、社員の皆さんが自分の夢について熱く語るシーンを何度も目の当たりにしました。それまで、社会人は現実的な最適解を導き出しながら会社の利益を生み出すというイメージだったのですが、「社会人でもこんなに夢を語っていいんだ」と衝撃を受けました。
――今のお仕事の内容をご紹介いただけますか?
私は今、お菓子や食玩を扱うキャンディ事業部の海外事業チームで、中国や北米など、ワールドワイドに商品を届ける仕事をしています。
――このお仕事ならではの特徴的な作業を教えてください。
現在は中国を中心にビジネスをしていますが、実は中国には食玩の文化がそれほど浸透していないんです。なので、商品を発売するために、海外支社のメンバーとともに中国で事業を展開するためのビジネススキームの構築なども練っています。現地の代理店や小売店とは、英語を使いながら仕事もしています。
――ビジネススキームの構築というのは、具体的には?
例えば、「中国でチョコビを売りたい」となったときに、日本から輸出するのか、タイで作って中国へ輸出するのか、中長期の未来を見たときにどれだけ拡大できるかという視点でスタートします。ものづくりの基準は国ごとに違うので、中国の販売基準に合うよう調整する必要もあります。ものによっては、ひとつの商品を展開するまでに2〜3年かかることもありますね。
▲中国で販売している「チョコビ」
――実はあまり知られていない仕事の「秘密」はありますか?
実はキャラクターがついていない商品も展開している、ということでしょうか。例えば「キャラパキ発掘恐竜チョコ」は板チョコを割って化石を発掘するお菓子で、「魚ギョッと釣りグミ」は釣りを疑似体験できるグミですが、このように動物などをモチーフにしたオリジナル商品でも“楽しくておいしい”エンタメ菓子を世に出しています。
――今の仕事のやりがいを教えてください。
いろんな人と関われるというのが一番のやりがいですね。商品化にあたってのキャラクターの権利を確認するときは版権元様とコミュニケーションをとったり、海外支社や他事業者にアプローチしたり、とにかく関わる人の幅が広いんです。それと、バンダイは入社して間もない若手にもチャンスや発言の場を与えてくれたり、プロジェクトを任せてくれるので、1年目から自分の提案が形になる機会がたくさんあるというのも楽しいですね。
――この仕事の面白いと思う点や魅力をどこに感じていますか?
面白いポイントは、正攻法が通じないところですね。商品はデータの裏付けや傾向値を見ながら開発しますが、「こういうのが売れるんじゃないか」と考えて作ったアイテムが売れなかったり、「言語化できないけど、カッコいいね」っていうものが大ヒットしたり……子どもから大人まで幅広いファンがいるので、正攻法がないんです。ヒット商品を作るのは簡単ではありませんが、その分ヒットが生まれたときの喜びや、より多くのファンに手にしてもらった際の達成感は大きいと思います。
――この仕事にはどんなスキルが求められますか?
これはソフトスキルですが、やっぱり自分の夢や熱意を意思として伝えられる力が大事かと思います。必ずしも具体的である必要はありませんが、意思を伝えないと形にならないので。楽しいと思うことを素直に「楽しい!」と周りに伝え、楽しいと思う気持ちを情熱に変えられる、そんなマインドを持つ人のほうが楽しそうに働いているという印象があります。
――これまで一番印象に残った仕事は何でしょう?
中国のセブンイレブンに「ウルトラマングミとポケモンキッズを投入できたことはとても印象的でした。中国でものづくりするにあたって誰に何を相談し、どんなスキームで、どの代理店様を経由すればいいかなどを調べて、各所と関係性を構築していく。情報が限られているなかでアプローチしていくのは大変でしたが、そのぶんやりがいもありました。
――オフタイムの過ごし方についても教えていただけますか?
エンタメ会社の社員らしくないかもしれませんが、休日はキャラクターに触れるというよりは、カフェでコーヒーを飲んだり、美術館で絵を見たりしています(笑)。社員によっていろんな休日の過ごし方がありますが、みんなそれぞれ好きなことやっていても受け入れてくれる雰囲気がバンダイにはあるので、「これをやっていないとバンダイの社員らしからぬ〜」みたいなことはないですね。
――プライベートの中で仕事に活かされているなと思うことはありますか?
カフェを巡ったり街をプラプラしたりする中で、面白いと思ったものは意識して覚えておくようにしていて、その習慣が普段の仕事にも役立っていると思います。「こんなカッコいい商品があるんだ」「誰がものづくりに関わっているんだろう」「こんな作り方があるんだ」と普段から疑問に思う習慣が、業務でも活かされています。
――最後に、学生にメッセージをお願いします。
僕自身は典型的な学生生活を送ってこなかったので、参考になるかはわからないですが、先入観を持たず、いろんな会社を見ながら自分に合うかどうかを見ていってほしいと思います。
僕の場合、「自分にはこれが合っている」と先に決めつけがちだったと思いますが、いろんな企業の話を聞いてみたら、意外に面白いと思うものはたくさんありました。ちょっとでも気になる企業があればぜひ説明会などに足を運んで、自分に合う会社を見つけてほしいと思います。
文:猿川佑
編集:学生の窓口編集部
取材協力:株式会社バンダイ