様々なジャンルで活躍する著名人の方々によって繰り広げられるトーク番組『ボクらの時代』。あえて司会者を置かない本番組では、ここでしか聞けないトークが盛りだくさん。人生の先輩であるみなさんのお話は、きっと学生のみんなにきっかけやヒントを与えてくれるはずです。

フジテレビ提供

8月15日（日）に放送された『ボクらの時代』では、怪談家・稲川淳二さん、演出家・テリー伊藤さん、落語家・笑福亭鶴光さんが登場。テリー伊藤さんの手がけた番組を機に親交を深め、長年苦楽を共にしてきた3人が、当時の思い出や今のテレビ番組について、さらには落語と怪談の共通点についてなど、幅広いテーマで語り合いました。

好きな仕事をするなら貧乏は覚悟している

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19年前、55歳のときにタレント業をやめたという稲川さん。テリーさんにその理由を聞かれると、「怪談（『稲川淳二の怪談ナイト』）ツアーを始めて今年で29年になるんだけど、ちょうど10年経ったときにすごくファン（の方）がいいなと思ったんですよね」と、やめたきっかけを話し始めます。

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「自分が話をして、それを理解してくれる人がこんなにいる。そう思ったら（今後怪談ツアーをやっていく上で）、タレント活動をやるだけやって、60歳すぎて『ああ、もう体力も気力もなくなったな。じゃあ多少怪談がんばろうか』じゃ失礼だなと思ったんです。まだ55歳なら体力も残ってるじゃないですか。じゃあ今からやろうかと。ラクしてやっちゃいけない、多少は犠牲を払ってやらないと失礼かなと思った」とその心の内を明かしていました。

テリー伊藤さんの手がけたバラエティ番組に出演していた稲川さんと鶴光さん。数々の企画をヒットさせ、斬新な番組を次々と作り出していたテリーさんに、鶴光さんが「どんなときにアイデアが浮かぶわけ？」と聞くと、テリーさんは「その頃は24時間ずーっと面白いことばっかり考えてましたよ」と即答。さらに、「当時の稲川さんは僕らの想像を超えて面白かった。あの時は助けてもらいました」と振り返ります。

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すると鶴光さんは、「あの頃は売れたい一心でなんでもやってたけど、それが間違っていたことに気づいたのが40歳のとき。『落語家なんやから、本職の落語を忘れたらあかん』と思って落語に専念した」と言います。当時は「落語が下手になっていた」そうで、それは寄席でのお客さんの反応で身にしみて感じたんだそう。

落語に専念してからというもの、収入はガタ落ちしたそうですが、「好きな仕事をするなら貧乏は覚悟してるから」とキッパリ。「今は落語が本職で、ラジオはアルバイト」だと話します。そんな鶴光さんを、テリーさんは「ラジオの鶴光ちゃんはすごくカッコいい、圧倒的」と絶賛していました。

現役でいることで生きている実感が湧く

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落語家と怪談家の共通点に話題が及ぶと、鶴光さんが「“喋る”ということは一緒でしょ。元々は落語というのはおとぎ話からきてるわけやから。で、おとぎ話というのは、考えてみたらこれは怪談なんですよね」と興味深い発言をします。「落語」と「怪談」は一見真逆のようですが、実はよく似ているとの鶴光さんの発言に、稲川さんも「そう！」と同意していました。

人に話すことで、「面白い」「楽しい」「怖い」など、さまざまな感情をもたらす噺家という職業に就いているお2人と、「これからも面白いと思えることを発信していきたい」と話す演出家のテリーさん。そんな3人に共通しているのは“死ぬまで面白くあり続ける”ということ。鶴光さんは「現役でいることが大事」だと言い、「現役でいることで、生きている実感が湧いてくる。『まだ自分のことを社会が必要としてくれている』と思うことが心の豊かさにつながる」と実感を込めて話していました。

これから社会に出て働き始める大学生のみなさんも、目先の就職先や仕事内容だけでなく、自分にとって“心を豊かにしてくれるもの”や“生きている実感が湧くようなこと”についても考えながら将来のことを考えてみると、これまでとは少し違った仕事の見方や捉え方ができるかもしれませんね。