女優・大原櫻子が“学生の君に伝えたい3つのこと”「学生時代、友達をたくさん作っておいてよかった」
人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。
今回のゲストは、7月22日(木)より上映中の映画『犬部!』で、獣医大生からなる動物保護サークル「犬部」で猫担当を務めるほどの猫好きで、卒業後は猫のためにワクチン開発に励む大学の研究員になる佐備川よしみ役を演じている大原櫻子さんです。
2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でスクリーン&歌手の同時デビューを果たし、その後も女優として、また歌手として変わらず精力的な活動を続ける大原さんは、大学生にどんなアドバイスをしてくれるのでしょうか。
女優・大原櫻子が<学生の君に伝えたい3つのこと>
1.部活動やサークル活動をする
ーー大原さんが、学生のうちにやっておいたほうがいいと思うコトはなんですか?
高校生の頃の話になりますけど、私自身、部活に入っていてよかったなと思うんです。というのも、精神力をすごく鍛えられたなと思うから。私は水泳部だったんですけど、東京の女子高の中でも(水泳の)強豪校でしたので、朝も自主練でランニングをしたりして頑張っていましたし、とても鍛えられました。
ーー当時、厳しい部活をやめたいと思うこともあったんですか?
とてもありました! 夏合宿で、100mを100本泳がなきゃいけないっていう“耐乳酸”というメニューがあったんですけど、そのときは「今、私、生きてる!?」みたいな状況になったりして……(笑)。それがホントにしんどくて、そのときは「もう限界!」ってなったりしてました。
ーーでも、限界を超えてやり切ったときの達成感が、そのあとの自分に活かされたんですね。
そうですね。やっぱりすごく精神力を鍛えられたなって思います。大人になってから、“部活であれを乗り越えられたんだから、これもがんばれる”と思うことがすごくたくさんあったんですよ。だから、運動部に限らず、やっぱりなにかしら部活動やサークル活動はしたほうがいいと思います。
ーーちなみに、大学時代はサークル活動などはされていなかったんですか?
大学時代はもう仕事を始めていたので、サークルには入れなかったんです。
ーーもし今大学生でサークルに入れる状況だったら、どんなサークルに入ってみたいですか?
そうですね……(と少し考えて)、やっぱりこういう仕事をしているからこそ、ダンスやお芝居のサークルなんかは気になりますね。でも、動物が好きなので、ホントに犬部に……あ、“犬部”という名称のサークルはなかなかないと思うんですけど(笑)、犬部にはすごく興味があります。ただ、命を扱うってことはホントに並大抵のことじゃないと思います。出会いがあれば別れもあるというか、動物は人間よりも寿命が短いので、好きだからこそ別れの悲しみに耐えられるかなっていう気持ちもあります。
ーー辛いことも絶対ありますもんね。そこを耐えなきゃいけないというのは、かなりの精神力が必要になるんじゃないかと思います。
そうですよね。しかもサークルだから1匹だけじゃなくて何匹もお世話するし、1匹1匹に愛情があるわけじゃないですか。生き物だから“部活の時間”だけ接するというわけにもいかないですし。そういう意味では、他のサークルとはかなり違うなと思います。
2.映画『あと1センチの恋』を観てほしい
ーーでは、学生のうちに見てほしいと思うモノはなんですか?
今パッと思い浮かんだのは、『あと1センチの恋』という映画ですね。私、それまであまりラブストーリーの映画って観なかったんですけど、大学生のときにその映画を観て、猛烈に涙した記憶があって。やっぱりいろんな出会いがある時期だと思うので、多感な大学生が観たら恋愛についていろいろ考えられる映画なんじゃないかって思います。
ーーその作品のどういったところに涙したんですか?
大学時代って、友達関係とか人間関係とか、いろいろある年頃じゃないですか。初めて大人の階段を上るというか……。恋愛模様だとか、きっとそういう部分が心に刺さったんでしょうね。大学時代に観たからこそすごく感じとれたというか。
ーー観ていた当時の自分の心境とリンクする部分が多かった?
そうですね。大人になるとキュンキュンすることってあんまりないじゃないですか。いや、分からないですが(笑)。ホントにキュンキュンする映画だし、でも、中学生や高校生の頃のキュンキュンともまた違う微妙な感じというか。すごく響きましたし、“大切な人”についてすごく考えさせられた映画でした。
3.友達をたくさん作っておくこと
ーー自身の経験を振り返って、やっておいてよかったなと思うコトはなんですか?
すごくシンプルなんですけど、「友達をたくさん作っておいてよかったな」って思います。私、日本大学の芸術学部(映画学科)だったんですけど、こういうお仕事をしているからこそ、現場で結構会ったりするんですよ。
ーーすごいですね!
それに、なかにはこういうエンタメ系じゃない仕事に就く人もいるので、そういう、大学で勉強していたこととは違う仕事に就いている人と大人になってから再会したときに、たとえば一緒に何かの事業を立ち上げたり、モノづくりを一緒にやれたりすることもあると思うんです。私もまだ大学を卒業して2年ぐらいなので、これからもっともっと広がっていくんだろうなと思うとすごく楽しみですね。
芯のある、ある意味男っぽい“よしみ”は等身大の自分に近い
ーー今回、大学生のよしみと、その16年後のよしみを演じられましたが、演じてみていかがでしたか?
私が演じた佐備川よしみという女の子は、犬部の猫担当で、学生時代は女性が少ない環境だったので、元気に明るく、犬部を盛り上げたいという思いで演じました。でも、30代の大人になった研究者としてのよしみは、後輩もいて、猫のワクチンの開発を進めるという責任を持って仕事をしている大人なので、学生の弾けてる雰囲気とはちょっと違った感じにしたくて。ひとりの女性として差をつけるというか、ひとりの人間が成長しているというのを見せたいなと思って演じました。
ーーメイクや髪型でも変化をつけられてましたね。
そうですね。学生時代はポニーテールで元気いっぱいの女の子にしたいねってメイクさんとも話して、大人になったらハーフアップにして、ちょっと大人になっている感じを表現したり。衣装も、学生時代は学生のかわいらしさや活発な感じを出したいと思って、腕や足が出ていたり、肌が見える衣装が多かったんですけど、30代ではもうちょっと大人っぽく見える衣装を着たいと思って、監督とも相談しながら決めていきました。
ーー犬や猫を抱っこするシーンも多かったと思いますが、肌を出してたら引っかかれたりしませんでしたか?
多少はあったと思うんですけど、動物と一緒にいたら爪が引っかかったりするのはあたりまえだし、むしろ少し傷があった方がリアルだと思うので、かえってよかったんじゃないかと思いました。それに、愛してたら“ガリッ”とやられても痛くもかゆくもないって思ってたので、撮影中にそういうことがあっても全然イヤじゃなかったですね。
ーーよしみに似ているなと思う部分や共感できるところはありましたか?
台本を読んだとき、よしみはすごく等身大の自分に近いなって思ったんです。性格がホントに似ていて。別にすごい精神を持っているとか、そういうわけではないんですけど、颯太さんに対しても自分の意見をちゃんと言ったり、「猫を助けたい」という強い思いがあってワクチンの開発に励んでいたりするよしみは、芯のある、ある意味男っぽい女性だと思うんです。そういうところが似てるのかな、って。犬や猫に携わることって、命を預かっているので、大変なことじゃないですか。かわいいからって安易に接していいわけでもないですし。そういった意味では、覚悟を持っていないとできないことだと思うので、そういう強さみたいなものは似てるのかなって思いました。
ーー学生時代、あれだけ明るかったよしみが、16年後、研究室で落ち込むシーンがありますが、あのシーンはどんな気持ちで演じられたんですか?
あのシーンは、よしみが“自分はどうしてこの仕事をしているのか”を自問自答するという、よしみの本質に触れた大事なシーンだと思うんです。私もお仕事をしている上で、悔しいと思ったことや悲しいできごとがバネになっていたりもするので、そういう自分自身と重ねてセリフを言ってたなと思いますね。
ーー特に苦労したシーンはどんなシーンですか?
林遣都さん演じる花井颯太さんと私がお互いを「犬バカだね」「猫バカだね」ってわちゃわちゃ言い合いながらワンちゃんをシャワーで洗うシーンがあって、ワンちゃんがブルッと身震いすることがきっかけでほほえましい空気になる芝居の流れがあったんですけど、そのときになかなかブルッとしてくれなくて(笑)。最終的にはいくつかいいテイクが撮れたんですけど、すごく「格闘したな〜!」って思いました(笑)。
でも、そのシーン以外のワンちゃんのお芝居は完璧だったんです。颯太さんに寄り添ってるワンちゃんには指導する方がいらっしゃって、その方の合図で“吠える”とか“待つ”とか“近づいていく”お芝居をするんですけど、それが完璧だったので「すごいな」と思いましたし、ワンちゃんのお芝居を見るのが楽しかったですね。
命を扱うということを改めて考えさせられる映画
ーー林遣都さんや中川大志さんと共演された感想は?
遣都さんは初めましてだったんですけど、舞台やドラマをずっと拝見していたので、お会いしたときは「林遣都さんだ!」という感じでした(笑)。大志くんや浅香(航大)さんとは共演したことがあったので、すごく過ごしやすかったです。現場は男性が多かったんですけど、学生の雰囲気なんかも自然に出ていたと思いますし、いい空気感で演じやすかったです。
ーーその空気感が映画にも出ていたと思います。
そうですね。浅香さんもラフな感じで、現場ではムードメーカーのような存在というか、学生時代のはっちゃけてる感じのお芝居もすごく面白くて。みんな飾らない方々ばかりだったので、すごく居心地がよかったです。
ーーこの映画は実話が元になっていますが、主人公たちの行動をどう思いましたか?
すごいなぁと思いました。やっぱり、学生でここまで行動力のある人って今の時代でもなかなかいないですし、ゼロから1を生み出すってものすごいエネルギーだと思うんですけど、それを学生がやってることがすごいなと思うし。そういう方たちがいるから動物が幸せに生きられている今があるんだろうなと思うと、感謝でいっぱいです。
ーーどんな人にこの作品を観てもらいたいですか?
命を扱う、命を共にするということがどういうことなのか、改めてすごく考えさせられる映画だと思うので、動物を愛してる方にいちばん観ていただきたいなと思います。私自身、わかっていたことではあるんですけど、この映画と出会って「かわいい!」「飼いたい!」という気持ちだけではダメで、飼ったら本当に最後まで寄り添ってあげるということが大事だということに改めて気づかされたところがあって。動物を飼っている方が観ると、改めて命の大切さを感じられる映画になっていると思うので、ぜひ観ていただけたらなと思います。
PROFILE
大原櫻子
1996年1月10日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部映画学科卒業。『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13/小泉徳宏監督作)のオーディションで約5,000人の中から選ばれ、俳優&歌手デビューを果たす。2014年には、第56回日本レコード大賞・新人賞を受賞。以降も精力的に俳優活動と音楽活動を並行して行い、映画『舞妓はレディ』(14/周防正行監督作)、ドラマ「恋仲」(15)ほか、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17/河合勇人監督作)、『あの日のオルガン』(19/平松恵美子監督作)、「あのコの夢を見たんです。」(20)などに出演する。
絶賛上映中
映画『犬部!』(フジテレビ系)
青森県十和田市に、一人の変わり者がいた。花井颯太(林遣都)22歳、獣医学部の大学生。子どもの頃から大の犬好きで、一人暮らしのアパートには保護動物がぎっしり。周りからは変人扱いされても、目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。ある日颯太は、心を閉ざした一匹の実験犬を救ったことから、ひとつでも多くの命を救うため、動物保護活動をサークルにすることを思いつき「犬部」を設立。颯太と同じく犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)らが仲間となり動物まみれの青春を駆け抜け、それぞれの夢に向かって羽ばたいていった。颯太はひとつでも多くの命を救うため動物病院へ、そして柴崎は動物の不幸な処分を減らすため動物愛護センターへーー。 「犬部」から16年後。獣医師となっても一途に保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道をうけて、開業医として、研究者として、動物愛護センターの一員として、それぞれの想いで16年間動物と向き合ってきたメンバーたちが再集結するが、そこに柴崎だけがいなかった……。。
映画『犬部!』取材・文/落合由希
撮影/三橋優美子
編集/学生の窓口編集部