ボディタッチ、女性のお酌はNG?! 英語研修講師が教える、異文化コミュニケーションのコツ
仲間うちの飲み会に出かけると、友だちの友だちという外国人の女性が参加していました。言葉の壁はともかく、楽しんでもらえたかどうか気がかりになりますよね。そこで、企業や大学で英語コミュニケーションを教える英語研修講師の村田志乃さんに、お酒の席や遊びの場で、外国人とコミュニケーションをとる際のNGポイントや、自然に交流するコツを聞きました。
■気軽に肩をたたく、年齢を聞く、政治と宗教の話題は控える
村田さんはまず、外国人との接し方について、こう注意を促します。
「日本と海外の国々では文化、風習が異なります。そのため、日本人が無意識でとった行動が、相手に失礼になる、マイナスの印象を与える場合があります。初めて話すときは、相手の国籍や出身地に関わらずマナーとして配慮したいことがあります。次に挙げる行為をしないように気を付けてください」
続いて、次の「初対面の外国人と交流するときの6つのNGポイント」を挙げます。
(1)ボディタッチ
欧米の人は日本人よりフレンドリーなイメージがありますが、パーソナルスペース(他人に近付かれると不快に感じる空間)は、国、文化的背景、年齢のほか、その人の性格によっても異なります。気軽に肩をたたく、肩に手を回すなどのボディタッチは避けましょう。
(2)年齢を聞く
日本では、年齢による上下関係の意識が強く、相手の年齢を気にしがちですが、外国人に年齢、血液型などのパーソナルデータを尋ねると、失礼な人だと思われる可能性があります。自分からは聞かないようにしましょう。どうしても知りたいことがあれば、大学の学年や卒業した年を聞いてみるといいでしょう。
(3)政治、宗教の話をする
海外には政治情勢が緊迫している国が多く、宗教の問題も絡んで、民族間で対立が起こっている状況もあります。政治や宗教の話は、相手を怒らせる、傷付ける可能性のあるデリケートな話題なので、口にしないようにしましょう。
(4)女性がお酌をする
日本の飲み会では日常的な風景ですが、レディファーストの習慣がある国では、男性が女性にビールやワインを注ぐことはあっても、女性がお酌をすることはまずありません。恋愛感情を持っていると誤解されることもあるので、女性が男性にお酌をするのは避けましょう。また、男性が女性にお酌を求めるのもNGです。
(5)力の弱い握手
欧米では、初対面でのあいさつとして握手をする習慣があります。このとき日本人は、相手の手をふにゃっと弱く握ることが多いのですが、力の弱い握手は自信のなさの表れ、元気がないと受け取られます。相手の目を見て、右手で相手の手を痛くない程度に力強く握り、2、3回振って離すのが適切な方法です。
(6)相手と目を合わさずに話す
外国人、特に欧米の人は、アイコンタクト(感情や意思を目で伝達し合うこと)をとりながら会話します。日本人は相手と目を合わさずに話す傾向があり、外国人には、話に興味がない、何を考えているか分からないと思われることがあります。相手の話に興味があることを示すには、眉間にしわがよらない程度に目に力を入れて、相手の目を真っ直ぐに見て、目の表情で会話を楽しんでいる気持ちを表現しましょう。
また、村田さんは、「相手の出身国別に気を付けるポイントもあります」と、次のアドバイスを続けます。
「例えば、韓国では、日本以上に年齢による上下関係が厳しいと言われます。年上の相手に同世代の友だちのような口調、態度で話すのは控えましょう。また、中国では、外食するときには年長者が支払うか、順番におごり合うのが常識です。割り勘を要求するとケチと思われることがあります。友だちになったら、相手の文化的背景を理解するようにしましょう」
筆者は以前、飲み会でアメリカ人男性と同席したとき、気を利かせたつもりでビールをお酌したのですが、誤解をまねく行動だったのだと今ごろ知りました。これらのNGポイントやコツを頭に入れた上で、多くの国の人たちと、文化や習慣の違いを乗り越えて心を通わせたいものです。
(日暮ふみか/ユンブル)
取材協力・監修 村田志乃氏。英語接遇研修講師。株式会社RADIANT(レディエント。東京都文京区)代表。相手への敬意、尊重などを重視する「こころ」のコミュニケーションの重要性を取り入れて「上質なコミュニケーターの育成」に取り組む。接客力・対応力が求められる大手ホテルの研修では、10年におよぶ実績を継続。英検1級、TOEIC975点、カラー・イメージコンサルタントなどの資格、スコアを持つ。http://radiant-svc.com/