寒いこの時期は「おでん」がおいしい季節です。しかし一言でおでんと言っても、地域によってその個性はバラバラ。他の地域の飲食店でおでんを注文して、自分の知っているものとは違ったおでんが出てきた、なんて話もあります。そこで今回は、日本の各地域の代表的なおでんをピックアップし、特徴をまとめてみました。

■関東関西で根本から違う！

●関東のおでん

関東のおでんの特徴は、かつおの風味の利いただし。また、スジ、ちくわぶといった他の地域ではあまり見ない具が入っています。スジは、魚のすり身にサメなどの魚の軟骨を入れたもので牛スジではありません。牛スジだと思って注文し、驚く人も多いそうです。また、小麦粉で作られたもっちりとした食感のちくわぶも人気の具材です。

●関西のおでん

関西地域のおでんは、かつおだけでなく昆布のだしも利いたもの。大根などの定番の具以外では牛スジやタコなどが入っているのが特徴です。現在ではあまり一般的ではありませんが、かつてはコロ(クジラの皮)やさえずり(クジラの舌)も使われていました。また京都ではえびいもなどの京野菜が具材として使われるおでんも多く見られます。

●北海道のおでん

北海道のおでんは昆布がベースになっただしが使われています。他の地域よりも海の幸が多く使われており、例えばホタテなどの貝類やタラの白子などが入っています。野菜の他に山菜を入れるのも特徴の一つです。また、北海道のおでんはそのまま食べる他に甘辛い「みそだれ」を付けて食べます。このみそはショウガの風味が利いているのだそうです。

●東北地方のおでん

東北地方では青森県の「青森風おでん」が有名。貝などの魚介や山菜、また大角天と呼ばれるさつま揚げの一種が入っているのが特徴です。これらの具材は北海道のおでんと同じくみそだれを付けて食べます。他にも煮干のだしが利いている仙台おでんも有名。東北地方の南側では関東のようにちくわぶを入れる地域もあるそうです。

●中部地方のおでん

中部地方では、静岡県静岡市の「静岡おでん」が有名です。アジやイワシを使った「黒はんぺん」などの具材を、濃口しょうゆを使った黒いつゆで煮込んだもので、削り節や青のりを掛けて食べます。具には全て竹串が通されているのも特徴です。また、愛知県では一般的なおでんの他に、八丁みそがベースのだしで具を煮込む「みそおでん」もおなじみです。

●北陸地方のおでん

北陸地方の特徴的なおでんとしては、富山県の「白とろろ昆布」を載せて食べるものが挙げられます。薄切りのこんにゃくを串に刺した「あんばやし」など珍しい具が入っているのも特徴的。また、同じ北陸では石川県金沢市の薄味が特徴のおでんなどがあります。こちらにはカニをまるごと使った「カニ面」という具材が入っています。

●四国・中国地方のおでん

四国・中国地方で個性的なのは、香川県の「白みそを使った甘いみそだれ」で食べるおでんが挙げられます。香川県では、うどん店におでんを置いていることがほとんどで、うどんのお供におでんを食べることがおなじみです。他には、鶏がらや昆布で取った濃厚なだしで具材を煮る高知県の高知風おでんも特徴的です。

●九州地方のおでん

九州地方のおでんの特徴としては「ギョーザ巻き」が入っていることが挙げられます。これは福岡県や佐賀県などで出されるおでんに見られる特徴で、ギョウザの濃厚な風味が楽しめます。まただしも他よりも甘みが強いことが挙げられます。他にも、長崎県ではトビウオで取った上品なだしでおでんを作る地域もあります。

●沖縄地方のおでん

沖縄県のおでんはテビチ(豚足)が入っているのが大きな特徴。そのため他の地域よりもコクのあるだしになっています。また、ソーキ(豚のあばら肉)や昆布、ソーセージを入れるのも特徴の一つです。

各地域のおでんの特徴を挙げ、まとめてみました。地域によって個性的な具材があるだけでなく、だしにあっさり・こってりの差がある、また何かを付けて食べるなど、かなり異なるようです。各地方を旅行した際は、その地域ならではのおでんを食べてみるのも面白いかもしれませんね。

(中田ボンベ＠ｄｃｐ)