「僥倖」とは? 読み方・意味・類語をまとめて確認しよう

2018/08/07

ビジネス用語

「僥倖」は「ぎょうこう」と読みます。「僥」という字には「思うこと」「請い願うこと」、「倖」という字には「幸せ」「願い」「思いがけない幸い」という意味があり、『広辞苑』では次のように説明しています。

ぎょう-こう【僥倖】
思いがけないしあわせ。偶然の幸運。「――に恵まれる」
(『広辞苑 第六版』P.728より引用)

上記のとおり「倖」という字自体に「思いがけない幸い」という意味があるのですが、「僥倖」と熟語にしても「思いがけない幸せ」「偶然の幸運」という意味になります。そこに「僥」の字の「請い願う」という意味を含めると、「非常に強く願った幸せが偶然やって来ること」というニュアンスになります。つまり、僥倖とは「あり得ないような幸運が巡ってきたとき」に使う言葉です。

「僥倖」とは?

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「僥倖」はいささかオーバーな印象を与えますから、ビジネス文書よりは小説にふさわしい言葉といえます。今回はこの「僥倖」の意味・使い方などについてご紹介します。

「僥倖」のを使った例文

では「僥倖」を使った例文を見てみましょう。

・弊社が国家の威信を懸けたプロジェクトに参加できたのは、まさに僥倖だった。
・○○専務にパーティーで会うという僥倖をきっかけに話が進みました。
・「僥倖としか言いようがない」(20連勝時に藤井聡太棋士が発言)

たしかに僥倖には「思いがけない幸せ」という意味がありますが、例文の通り「ほとんど起こらないことが起こる」というニュアンスが入るので、ある意味オーバーな表現です。藤井聡太棋士の発言では、「僥倖」という言葉によって「ほとんど勝てないと思っていたのに、偶然のように勝つことができた」という、勝利の重みが表現されています。

このように「僥倖」という言葉は、普通は「ラッキー!」程度で使う言葉ではありません。「焼きそばパンが買えたのはまさに僥倖だった」なんていうのはちょっとおかしな使い方になりますから、「僥倖」は使いどころに気をつけるようにしてください。

「僥倖」の類語・対義語は?

僥倖の類語は?

僥倖と同じような意味の言葉には以下のようなものが挙げられます。

・好機
よい機会。チャンス。「千載一遇の――」
(『広辞苑 第六版』P.930より引用)

・幸運
よい運。よいまわりあわせ。しあわせ。
(『広辞苑 第六版』P.925より引用)

・奇貨
利用すれば意外の利を得る見込みのある物事や機会。
(『広辞苑 第六版』P.659より引用)

それぞれを「僥倖」の代わりに使ってみましょう。

・○○専務にパーティーで会うという好機を得て、話が進みました。
・弊社が国家の威信を懸けたプロジェクトに参加できたのは、まさに幸運だった。

奇貨は、物事・機会の「よい」「悪い」を問わずに使いますので、例えば、

・株式市況を奇貨として、投資を拡大するのがいいだろう。

というふうに使います。もし「僥倖」を使うのであれば、

・株式市況が好転しているのは僥倖だ。投資を拡大するのがいいだろう。
・株式市況が悪いのは僥倖といえる。投資を拡大するのがいいだろう。

といった言い方になるでしょう。似ていますが、「僥倖」はあくまでも「幸運」で、「奇貨」はその物事の善しあしは問わず「ラッキーな機会(物事)」といった意味で使われるのです。

僥倖の対義語

「僥倖」と反対の意味になる「対義語」では下のような言葉が挙げられます。

・奇禍(きか)
思いがけない災難。「――に遭う」
(『広辞苑 第六版』P.659より引用)

・災難
思いがけず起こる不幸な出来事。わざわい。災厄。「――に遭う」「――が襲う」
(『広辞苑 第六版』P.1094より引用)

・難儀
1.むずかしいこと。容易ならぬこと。
2.くるしむこと。なやむこと。「倒産して――している」
3.わずらわしいこと。面倒な事柄。困難。「――にあう」「――をかける」
4.貧窮。貧乏。

(『広辞苑 第六版』P.2111より引用)

「僥倖」が「思いがけない幸運」ですから、「思いがけない災難」を意味する「奇禍」は対義語としてピッタリといえるでしょう。

・工場が大雨で水没するという奇禍に遭い、生産再開のめどはまだ立っていません。

というふうに使います。僥倖には遭いたいものですが、奇禍には遭いたくないところですね。

「僥倖」は英語ではどうなる?

「思いがけない幸せ」を意味する「僥倖」ですが、英語ではどのように表現するのでしょうか? 僥倖を「Google翻訳」に入力してみると「Good fortune(グッド・フォーチュン)」と訳されます。「fortune」は運ですので、「幸運」になりますね。

ほかにも、英語では次のような言い方が、僥倖に当たると考えられます。

・luck
そのものずばり「運」です。luck自体に「幸運」という意味もあります。

・a good luck
前にgoodを付けて「幸運」です。

・a stroke of luck
「幸運の巡り合わせ」という意味です。「a stroke of good luck」という「幸運」を強調する言い方もあります。

・windfall
風で果物が落ちることですが、そこから転じて「棚ぼた」「意外な授かりもの」という意味があります。

「思いがけない」「偶然にも」という点に注目するのであれば「by chance」という表現が使えます。

He was a success in business by chance.
彼は偶然にもビジネスで成功した。

成功する可能性が非常に低かったのであれば「chance」の前に「blind」を付けて、

He was a success in business by blind chance.
彼は全くの偶然でビジネスで成功した。
⇒ 彼がビジネスで成功したのは僥倖だった。

とするのも手です。

・Don't let this chance slip by.
好機を逃がすな!

という言い方もありますが、これも「僥倖を捉えろ!」と訳せそうです。

まとめ

「僥倖」はビジネスシーンではあまり使わない言葉ですが、知っていると語彙が豊かな人と思われるかもしれません。藤井聡太棋士が連勝記録を継続していたときに使って「難しい言葉を知っている!」と話題になっていましたからね。僥倖は「思わぬ幸運」という意味ですが、めったに起こらないというのが前提です。ちょっとしたラッキーで使う言葉ではありませんので、その点に気をつけて使いどころを間違わないようにしましょう。

(柏ケミカル@dcp)

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