国境を越えたグローバル採用、世界規模で展開されるWEBサービスの登場……。ここ数年で、さらに日本の学生に身近になった"海外"では、今一体どんなことが起きているのでしょうか。また、海の向こうでは、どんな経験やチャンスが得られるのでしょうか? 世界一周の旅を続けた旅人「太田英基」さんが、日本の若者に伝えたいと思った"海の先で見つけたもの"を紹介します。
皆さんは、これから日本社会の中で働き始める人がほとんどだと思います。あなたは今、日本社会での働き方に、どんなイメージを持っていますか?
「入社後しばらくは長期休暇も取らずに、サービス残業も覚悟して死ぬ気で闘い抜くぜ!」
そう思っている人が多いのではないでしょうか?
僕も、以前はそう思っていましたし、それが世の中のスタンダードだと思っていました。
しかし旅に出てみると、日本の労働環境がだいぶ厳しめだということに気づきました。
例えば、一般的な日本の企業で働いていると、1ヶ月以上の長期休暇を取得しようとすると、運が良ければ休職できますが、多くは会社を辞めざるを得ないのが現実です。そんな事情もあり、日本人の長期旅行者は皆、会社を辞めてから旅に出る人が多いです。
ところが、僕が中南米で遭遇した多くのヨーロピアン旅行者は、不思議なことに会社を辞めていないのです。ドイツ人やフランス人を筆頭に、皆1年に1ヶ月の長期休暇が取れるのが当たり前だと言い切っていましたし、実際にその休暇を使って旅行に来ていました。3ヶ月の休暇を取ってきているドイツ人もいました。
▲洞窟探検アクティビティに一緒に参加したヨーロピアン達(グアテマラ)
▲タイヤ川下りアクティビティに一緒に参加したドイツ人(グアテマラ)
旅先で知り合った、あるドイツ人旅行者は僕にこう言いました。
「日本人の長期旅行者は皆、半年とか1年間とか長い時間をかけて世界一周を旅していて、すごいよね!」と。
僕は言い返しました。
「日本人は長期休暇が取れないから、会社を辞めて一気に旅行せざるを得ないんだよ......。僕らは、君達が羨ましいよ」と。
その後、西欧や北欧の人達と出逢うたびに、彼らと日本の休暇制度について考えさせられました。彼らはサービス残業もほとんどしないようで、平日の仕事後の時間をしっかりと楽しんでいる人が多いです。
(もちろん、忙しくしている業種や業界もあると思いますが)。
もっとも衝撃的だったのは、スペインの、設立2年目のベンチャー企業で働いているイタリア人に逢った時でした。
「私は今年、休みが取れないのよね......」と嘆いていたので、同じく日本のベンチャー企業で働いていた僕も、「うんうん。ベンチャーはガッツリ働かないといけないものね! 頑張ろう!」と同じ境遇ならではの悩みに共感。しかし、その後、「ちなみに、今年の長期休暇はどれぐらい取れるの?」と尋ねたら、驚くべき返答が。彼女は、「25日しか取れないの。来週から2週間休暇を取って、あとは年末に取るわ。本当に少なくて」と......。
衝撃でした。飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになりました。
「25日しか」って......。何かがおかしい。何かが......。
日本で設立2年目のベンチャー企業なら、長期休暇はあって無いような存在になりがち。しかし、ベンチャー企業とはいえ、彼らはしっかりと休暇を取るのです。驚きました。
これが、ヨーロピアンの当たり前の感覚なんだなと。
僕ら、日本人とはだいぶ異なることに気づきました。
ドイツは、それだけ休んでいても世界の経済大国の一員です。(GDP4位※2010年)
最近、日本でもプライベートと仕事のバランスを取ろうという声があがり始めていますが、仕事においての"生産性"というものを、僕らは改めて考え直してみるべきなのかもしれません。そして、僕や皆さんを含めた若い世代の人間が、新しい社会や働き方を創っていければ! と。
もちろん、僕のような仕事が大好きな人(趣味=仕事)は、働きまくっていても良いと思うんです。ただ、世の中皆がそうではないので、選択権が必要かなと。日本は、その選択権を持っている人が少ない印象です。
今回は、日本とヨーロッパの「長期休暇」の違いについて触れてみました。みなさんは、ヨーロピアン旅行者達の話を聞いて、将来、どんな働き方をしたいと思いましたか?
太田英基
【バックナンバー】
>>そこは、まさに「天国」だった。世界屈指の絶景、南米・ウユニ塩湖。
プロフィール: 太田 英基(Hideki Ota)
大学在学中の2005年11月、広告サービス「タダコピ」を運営する株式会社オーシャナイズを仲間と共に創業。取締役を経て、2010年1月に退社。
2010年9月15日に出国し、世界一周の旅にシュッパス。その一方で、海外で働く日本人("異国のサムライ")100人を探す旅「SAMURAI BACKPACKER PROJECT」を遂行。
他、様々なWEBメディアでもコラムを連載し、好評を得ている。2011年夏、東洋経済新報社より「
1か月10万円留学の衝撃!『フィリピン「超」格安英語留学』を上梓。
SAMURAI BACKPACKER PROJECT:
http://samuraibp.com/
Twitter:
@mohideki
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