“銀行=お金を貸す”だけじゃない! SMBCグループが本気で挑む「地方創生」ビジネス

学生の窓口編集部

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「地方創生」と聞くと、なんとなく“地域を盛り上げること”というイメージはあるものの、実際にどんな取り組みが行われているのか、詳しく知る機会は意外と少ないもの。「自治体がやることでは?」「企業とどう関係あるの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、社会的価値の創造――“シャカカチ”に取り組むSMBCグループで地方創生に関わる担当者を招き、学生たちと座談会を実施。地方創生のリアルな課題や、企業が関わる意味、そして金融機関ならではの役割についてお話を伺いました。

今回お話を聞いたのは……


小野裕一朗さん

公共・金融法人部 ソリューショングループ 地方創生チームリーダー。中央省庁勤務などを経て、2024年に三井住友銀行へ入行。現在は地方創生チームリーダーとして、企業や自治体と連携した地域活性化支援に取り組んでいる。

今回お話を聞いたのは……


みくさん

経済学部4年生。就職活動中で、企業の事業内容や社会との関わり方に関心を持つ一方、「地方創生」についてはニュースなどで言葉を見聞きする程度。


せなさん

法学部2年生。企業や金融機関については、まだまだ勉強中。


銀行はお金を貸すだけじゃない! 地方創生における金融機関の役割って?

『地方創生』って言葉はよく見かけますけど、正直、具体的にはあまり知らなくて……。地方の魅力を高めて人を呼び込んでいく、というようなイメージを持っています

僕も、地方を活性化させる取り組み、みたいなイメージでした。実際にはどういうことをされているんでしょうか?

“地方を盛り上げる”というイメージは、まさにその通りです。ただ、一時的に人を集めるだけではなく、“その地域で暮らし続けられる状態をどう作るか”が、地方創生では大切になります。

地方には、食文化、自然、歴史的資源など魅力的なものがたくさんありますよね。しかし人口減少や高齢化が進むと、お店や産業そのものを維持するのが難しくなってしまうことがあります。だからこそ、地域の産業や暮らしを持続的に支えていくために、行政だけではなく、企業や金融機関も一緒になって取り組む動きが広がっているんです

私は東京出身で、正直他人事に思えていましたが、地方旅行に行った時に観光地や飲食店がなくなってしまうと考えると、身近なことだと思いました

そもそもなぜ、SMBCグループが地方創生の取り組みを始めることになったんですか?

メガバンクは大都市の企業を対象として“お金を貸す場所”というイメージが強いと思うのですが、実は地域経済とも深く関わっています。地域の企業が元気でいることは、その地域で暮らす人たちの生活や雇用にもつながっていますし、地域の産業が続いていくことは、日本全体にとっても大切なことです。

企業の社会的責任を意味する『CSR』という考え方の中では、社会活動をしている団体に寄付をするという取り組みも地方のためにはなりますが、持続可能性という観点では必ずしも解決になりません。

そこでSMBCグループでは、メガバンクのネットワークを活かして、地域の企業や自治体、地域の外にいる企業などをつなぎながら、新しい事業や仕組みづくりをサポートしています。単に資金を提供するだけではなく、その前の段階からビジネスの火付け役として“地域で様々なプレイヤーが有機的につながって新しいアイデアや事業の種がつくられる状態”を作っていくことが大事だと考えているんです

お金を貸す以外に、企業をつなげる役割も担っているんですね!

銀行のイメージがガラッと変わりました

メガバンクだからできる、企業と地域の“つなぎ役”。お金が回る仕組みをつくる

SMBCグループの地方創生ビジネスですが、具体的にどんな事例があるのでしょうか?

分かりやすい事例は、宮城県仙台市の『仙台うみの杜水族館』のプロジェクトです。仙台の松島に老朽化が進んだ水族館があったのですが、東日本大震災を機に、新たに復興のシンボルになるような水族館として建て直そう、という話が持ち上がりました。

とはいえ、地元だけで実現するのはなかなか難しいということで、SMBCグループが間に入り、プロジェクト全体をコーディネートしていったんです。

例えば、このプロジェクトに投資してくれる企業を探したり、水族館の運営企業とつないだり、行政との調整を行ったり……。SMBCグループは『地域で実現したいこと』と『実現できる企業や仕組み』を結びつけて、プロジェクトがうまく進むように調整する役割を担っていましたね

銀行ってお金のやり取りとか、融資するだけなかと思っていたんですが、企業と地方を繋げていたというのは想像できなかったです

銀行の可能性の幅広さを感じますね。実際に、このような取り組みをされたことで、地域社会にどのような影響を与えているのでしょうか?

この取り組みが具体的に社会にどんな影響を与えているのかは、SMBCグループの 『インパクトレポート』でも発信していますが、プロジェクトによって地方創生の形はさまざまですが、どの取り組みも地域に新しい人の流れや産業を生み出すきっかけになっていると思います。

例えば、地域には老朽化した施設や、人口減少によって維持が難しくなっているインフラも多くあります。行政や企業と連携しながら、魅力的な施設や事業を作っていくことで、地域の人、特に流出が話題になっている若い方々が『暮らし続けたい』と思える環境づくりにもつながっていきますよね。

観光の分野でも、単に来客数を増やすだけではなく、その地域の価値をしっかり感じてもらいながら、地域にお金が循環する仕組みを作ることが重要になっています。

また、最近では、地域における環境やエネルギー分野の取り組みも増えていますね。例えば、脱炭素や省エネルギーに関する新しい設備投資などは、地域の企業にとって新たなビジネスチャンスにもなっています

単に施設を作るだけじゃなくて、その地域でちゃんと人やお金が動き続ける仕組みまで考えているんですね

「環境にいいこと」をビジネスに? 神戸市とSMBCが進める脱炭素への新しい取り組み

脱炭素とか環境配慮って、地球にはやさしいと思うのですが、利益に直結するイメージがあまりない気がします。地方創生ビジネスにどう結び付くのでしょうか?

たしかに、“環境に配慮すること”は、直接的に利益が発生するイメージを持ちにくいかもしれません。しかし最近は、環境への対応そのものが、新しい産業やビジネスにつながるケースも増えてきています。

例えば、脱炭素に向けて建物の省エネルギー化を進めたり、再生可能エネルギーを導入したりするには、新しい設備や技術が必要になりますよね。それにより新しい仕事や投資が生まれますし、地域の企業が関わる機会も増えていきます。

一方で、こうした取り組みは『環境にいいこと』だけではなく、“事業としてどう成立させるか”も大事になります。そこで最近は、自治体や金融機関が連携しながら、環境分野の取り組みにお金が流れやすい仕組みづくりも進められています。

その代表的な事例のひとつが、『神戸サステナブルファイナンス・フレームワーク』です

サ、サステナ……? それってどういうものですか?

神戸のお話について、公共・金融法人部の西井さん・石井さんに聞いてみました

今回お話を聞いたのは……


西井健司さん

公共・金融法人部 業務推進グループ グループ長


石井智也さん

公共・金融法人部

『サステナブルファイナンス・フレームワーク』というのは、簡単にいうと、“環境や社会に良い取り組み”に対して、企業がお金を集めたり、銀行が融資したりする際の“ルールブック”のようなものです。

例えば、再生可能エネルギーの導入やCO2排出量の削減、省エネルギー化など、脱炭素に向けた取り組みを企業が進めようとした時に、『どういう目的ならサステナブルファイナンスの対象になるのか』『どんな基準を満たせばいいのか』等を整理した枠組みになっています。

通常、こうしたサステナブルファイナンスを活用する場合、企業ごとに第三者機関の評価を受けたり、独自のルールを整備したりする必要があり、特に中小企業にとってはハードルが高いものでした。実際、評価を受けるだけでも数百万円単位のコストがかかるケースもあるんです

なぜその取り組みを神戸市とおこなったのですか?

神戸市とは、以前から地域活性化に向けた連携を進めてきた経緯があります。また神戸市は、SMBCの前身である『神戸銀行』の創業の地でもあり、SMBCグループにとって非常に縁の深い地域なんです。
その中で、神戸市では阪神・淡路大震災からの復興をきっかけに、医療やバイオ分野など新しい産業を育てながら、地域経済を活性化する取り組みが進められてきました。一方で、脱炭素やエネルギー問題への対応も大きな課題になっていて、『環境に配慮した投資をもっと地域全体で進めていきたい』というニーズがあったんです。

そこで神戸市では、もっと幅広い企業にとって取り組みやすい仕組みを作るため、市全体で使える共通のフレームワークを整備しました。神戸市があらかじめルールを作り、第三者評価も取得しているので、その基準に沿って進めれば、企業はより円滑にサステナブルファイナンスを活用できるようになっています。

市全体を対象にした環境に優しい資金調達、設備投資に絞ったローン形態は全国的にも初めてで、地域の脱炭素を進めながら、中小企業も参加しやすい仕組みづくりを目指した点が大きな特徴になっています

なるほど、神戸市がルールを作ったことから、コストや手間をかけずに中小企業も脱炭素に向けた取り組みを始められるようになったんですね! 実際、この取り組みでどんな効果が見られているのですか?

やはり、これによって中小企業も、サステナブルファイナンスに取り組みやすくなったことですね。参加した企業は神戸市のサイトに掲載され、自社の『環境に配慮した取り組み』を社外に発信しやすくなりますし、地域全体で脱炭素への意識を高めていくきっかけにもなると考えています。実際に、フレームワークの運用開始後には、すでに2件融資契約も実行されています。

これにより、神戸市内で脱炭素に向けた設備投資や環境配慮型の取り組みが、より進んでいくことを期待しています

今回は神戸市との取り組みでしたが、今後は他の地域や日本全国に広がっていくといいですね

そうですね。このフレームワークは神戸市だけで終わるものではなく、他の自治体でも活用できるような考え方で設計されています。今後はこのノウハウを活かし、他の地域にも広がっていくことで、全国的に脱炭素が進んでいけばいいなと考えています。

環境問題や脱炭素というと、どうしても難しく感じてしまう部分もあると思うのですが、“企業が取り組みやすくする仕組み”を作ることで少しずつ社会全体のハードルを下げ、それぞれが自分事として捉えていただけたらいいですね

地域課題解決と経済活動の両立を目指して- SMBCグループが目指す未来とは

持続可能な社会と言われると抽象的なイメージですが、具体的な取り組みを伺って、地方創生ビジネスにおける金融機関の役割がよく理解できましたし、感動しました!

持続可能性というポイントでは、“地域の価値をどう次の世代に残していくか”もすごく大事だと考えていて、最近取り組んでいるのが、富山県氷見市の棚田に関するプロジェクトです。棚田は、美しい日本の原風景として人気の観光地になっているところもありますが、一方で農業を支えているのは高齢の方が中心で、維持するには多くの課題があります。

そこで、棚田百選にも選ばれた素晴らしい景観を望む棚田の遊休地で宿泊施設を開発し、事業で得た利益の一部を地域に還元するプロジェクトを企業・行政と連携して進めています。この事業のポイントは2つあって、太陽光と雨水で完全にエネルギーを自給できる技術を使うので環境に悪影響を与えないこと、泊まる人の数を追うのではなく小規模で高付加価値な施設にすることで、無理なく地域で受け入れ可能なものにすることです。こちらも 地域内外の企業や人とのつながりを生かしながら、地域でお金が循環する新しい事業づくりを進めている例です。

今後も、地域課題の解決と経済活動の両立を目指しながら、地方創生に取り組んでいきたいと思っています

お金を扱ったり貸したりすること以外にも、得意なことがあるんですね。銀行は堅いイメージで、都心での取り組みが中心なのかと思っていました。でも地方創生って、働く人にとってもやりがいが大きそうですね

今回ご紹介した地方創生プロジェクトは最終的によいかたちになった事例ですが、一直線に成功することはほぼありません。紆余曲折など様々な経験も含めて、一つ一つ積み重ねながら、新しい事業を生み出していくことが大切です。

そのためにも、各地域の担当者が挑戦しやすい環境をつくったり、情報共有や勉強会を通じて後押ししたりすることが必要だと考えています。地域課題に向き合う仕事を、銀行員自身にとっても楽しく、やりがいのあるものにしていきたいですね

地方創生の取り組みがやりがいになるって、素敵ですね! 貴重なお話をありがとうございました

SMBCグループの地方創生は“未来へとつないでいく取り組み”

銀行は“お金を貸す機関”という印象が強かった学生たち。事例から、SMBCグループが企業や自治体、人をつなぎながら、新しい事業や仕組みづくりを支えていることを学びました。

今回の座談会を通して見えてきたのは、地方創生は“地域を盛り上げる”だけではなく、その土地の暮らしや産業、文化を未来へつないでいく取り組みだということ。SMBCグループでは、「社会的価値創造のフロントランナーとして、人々の幸せがあふれる社会を次世代に受け渡す」という想いで、今回紹介した地方創生の取り組み以外にも、社会課題の解決に向けたさまざまな活動をおこなっています。気になった方は、ぜひサイトをチェックしてみてくださいね。

シャカカチって?

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