【空き缶と引き換えに株主になれる?!】日常生活で活きる、資源を無駄にしないSDGsの海外事例4選  #Rethinkとは?

2023/01/17

社会人ライフ

持続可能な社会を実現させるには、私たち一人一人が日頃からサステナブルな行動を取る必要があります。それは一見難しいように思いますが、視点を変えて考えれば、生活の中の小さな物事からでもSDGsに繋げることができます。

今回は、国内外のサステナビリティに関する情報配信メディア「IDEAS FOR GOOD」にて掲載されている中から、日常生活で活きる、資源を無駄にしないSDGsに取り組む事例を紹介します!

企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」のチーフデザイナーを務める宮木志穂さんにお話を聞きました。

【制限速度を守ると、〇〇が当たる?!】ヘルメットに似合う髪型や車内に音楽が流れる仕組みなど、ユニークな方法でSDGsに取り組む海外の3つの事例を紹介!  #Rethinkとは?

PROFILE

宮木 志穂 (みやぎしほ)

ハーチ株式会社 IDEAS FOR GOOD Business Design Lab開発責任者

◉―― 1994年東京生まれ。大学在学中に東北ボランティア、イギリス留学を経験。社会を良くするアイデアを発信する自社メディア「IDEAS FOR GOOD」の編集者兼ライターを経て、2020年3月に企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」を立ち上げる。現在は、開発責任者として企業の サステナブル・トランスフォーメーションの支援を行う。

【事例1】リサイクル率を上げるための新たな“紙パック”アイデアって?

宮木さんは、日用品のデザインを少し工夫するだけでもサステナブルな行動に繋げることができるといいます。

資源がより循環しやすくなる事例として教えてくれたのは、簡単に分解できる紙パックです。

プラスチックが海の生態系に悪影響を及ぼすと広く知られるようになった今、マイボトルを携帯したり、ペットボトルより紙パックを選んだりする人が増えています。

しかし、環境保護の観点から紙パックを選んだつもりでも、結果的に環境を守る行動にはならない場合があるそうです。

実は紙パックの回収率は38%ほどで、ペットボトルが98%であることと比較するとかなりリサイクル率が低いんです。というのも、紙パックは解体して洗って乾かす工程がペットボトルほど簡単ではなく、しかも回収してくれる場所もあまり多くはありません。

紙パックの飲料は、中から液体が染み出さないように内側がプラスチック製の薄い膜でラミネートされています。そのためリサイクルする際には、紙とプラスチックを完全に分離する必要がありますが、それには思いのほかコストや手間がかかるのです。しかも、リサイクルで作られるトイレットペーパーやティッシュペーパーは単価が低いため、リサイクルのメリットが大きくないという問題もあります。

そこで、アメリカのデザイン会社Pushan Panda社が開発したのが、誰でも簡単に分解できる「Bruk」という紙パック。飲み終わった紙パックは2つに割ることができ、中のプラスチックパッケージと完全に分離することが可能です。

できるだけ資源を廃棄せずに循環し続けるためには、商品の設計から考えていくことが大切だと思います。できるだけ回収しやすいパッケージにするといった簡単にリサイクルできる仕組みを作れば、自発的にサステナブルな行動をとる人が増えるのではないでしょうか。

→Brukが目指したパッケージのデザインに対する想いって?

【事例2】ビールの空き缶と引き換えに、あなたも〇〇になれる?!

自発的にリサイクル活動に協力したくなる事例が、もうひとつあります。それが、スコットランド発のブルワリーであるBrewDogが行う、アルミ缶のリサイクルキャンペーンです。

アルミ缶は比較的リサイクルが簡単で、わずか60日ほどで新しい缶へと生まれ変わります。そのため、世界的に見ても、アルミ缶のリサイクル率は高い水準を誇ります。しかし、ひとたびリサイクルされずに埋立地に捨てられてしまうと、分解されるまでおよそ500年の月日がかかるという実情もあります。

「クラフトビール大手のBrewDogは、自社ビールの空き缶50個と交換で自社の1株式を付与するキャンペーン『Cans for Equity(缶と引き換えに株)』を行いました。そうすることでアルミ缶のリサイクルを推進するとともに、サステナブルな経営方針に興味がある株主を増やしていこうという試みです。

キャンペーンで株式を手に入れた人は、BrewDogの株主コミュニティ「Equity Punks」に加わることができ、新しいビールをいち早く試飲できたり、誕生日にビールが1杯無料で飲めたりと、特典を受けることができます。

「短期的な売り上げや収益を得たいと考える株主も多いとは思いますが、この取り組みは、長期的にBrewDogとコミュニケーションを取る株主を増やすことを目的にしています。サステナビリティに興味関心を持つ株主が増えていくことで、今後の経営のしやすさに繋げていこうという視点が面白いなと思いました。

→BrewDog共同創業者が語る「Cans For Equity」の魅力のユニークなメッセージとは?

【事例4】靴は誰しも両足必要とは限らない!! “片靴”だけ購入できるECサイト

視点を変えて考えることで、無意識な思い込みを見つめ直すきっかけにもなります。
宮木さんが紹介してくれたのが、中国最大のECプラットフォーム「Tmall」が行う「#TheOneShoeProject」というチャリティープロジェクトです。

中国には、片足を切断するなど身体的な障がいを持っている方が2400万人います。彼らは左右1足のみの靴を必要としていますが、2足分の価格を払って購入しているのです。こうした課題を解決するために、中国では、年に一度11月11日の独身の日に、ナイキやリーボックなど名だたる国際的ブランドや中国のブランドの靴を1足ずつ販売するプロジェクトをスタートしました。

このプロジェクトでは、片靴用の専用ボックスが用意され、左右1足のみ靴を購入できるシステムも実装されています。これまで2足分の金額を支払っていた人々が、自分の欲しい靴の価格だけを支払い購入できるようになりました。

「マジョリティ重視のサプライチェーンの設計を見直すいいきっかけになる事例だと思います」と宮木さんはいいます。「靴は2足売りが当たり前」といった無意識な先入観に、視点を変えて一つ一つ向き合っていく姿勢でいることが、SDGsな社会の実現にはとても大切です。


文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
取材協力:ハーチ株式会社  「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」
出典・引用:
【事例1】
・引用:PUSHAN PANDA(公式サイト)
【事例2】
・引用:BrewDog 公式instagram
【事例3】
・引用:East West Market 公式instagram
【事例4】
・参照サイト:HEAVEN & HELL CHINA LAUNCHES TMALL’S ‘ONE SHOE PROJECT’ THAT ALLOWS DISABLED PEOPLE WITH ONE FOOT TO BUY ONE SHOE

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