「ご所望(ごしょもう)」とは、ほしいと思うという意味の「所望」に、丁寧を表す接頭語が付いた言葉です。自分ではなく、相手に対して使う言葉だということがわかりますよね。本来は「ほしいと望む」「それをほしいと思っている」という意味の言葉になります。
丁寧語でついているため、当然「私は○○をご所望です」とは使えず、第三者に対して使うことになります。「ご所望ですか?」「ご所望なさいますか?」と質問にすることも可能で、「ほしいですか?」という意味になります。言い換える場合は「ご希望」「ご入用」などもあります。
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「ご清栄」「ご清祥」の意味の違いと正しい使い方【例文つき】
普段あまり聞きなれない言葉は、意味を正しく知って使っていかないと、どんどん忘れてしまいます。例えば「ご所望」という言葉、ちゃんと意味を答えられるでしょうか。どんな場面で使うと効果的か、例文付きでご紹介します。紛らわしい類語についても、合わせて覚えておいてください。
「ご所望の商品のご用意ができました。」(あなたがほしがっていた商品の用意ができた)
「こちらがご所望の商品です。」(これがあなたがほしがっていた商品です)
このように、「ご所望」というのは「ほしがっていたもの」「希望していたもの」を示し、目に見える品物をリクエストする場面に多く使われます。また、以下のように質問に使うこともできます。
「ご所望の商品はこちらでお揃いですか?」(あなたがほしがっていた商品はこれで全部揃ったか?)
本来は希望するものは「物」でも「状況」でもよく、時代劇では「我が殿はご休息をご所望じゃ」のように「その状況を希望する」場合にも使います。しかし、現代では「状況の希望」には「ご要望」「ご希望」という言葉を使うことが多くなってきました。
類語について整理しておきましょう。以下に3つ取り上げ、それぞれの意味合いや使い方をご紹介します。
・ご所望:ほしいと望むこと。主に「目に見える物」を望む場合。
・ご希望:ご要望と同じように使えるが、どちらかというと「目に見えない状況」を望む場合が多く、さらに「お願いしたい」というパーセンテージが「ご要望」より低いイメージ。
・ご要望:その状態、状況を強く望む場合。
ご希望は「お客様から、禁煙にしてほしいとご希望がありました。」のように訴えが弱い表現。それに対し、ご要望は「お客様から、禁煙にしてほしいとご要望がありました。」のように、強くリクエストをする場合に使われます。「ご希望」がさらに強くなると「ご要望」にシフトするイメージです。言い換えとしては、以下のようなものが挙げられます。
「ご希望の商品のご用意ができました」
「ご要望の商品のご用意ができました」
「ご所望」という言葉はパソコンでも一発変換できない場合が多く、なかなか厄介な存在です。しかし、辞書登録をしてどんどん使う機会を増やすと、とても便利な言葉となるでしょう。使い分けができるようになれば、あなたもワンランク上のビジネスパーソンですよ。
・執筆者:山河丸々(さんが まるまる)
海外で外国人に日本語を教えている兼業ライター。現在はアジア某国在住。日々生まれてゆく新しい日本語と、日本語能力試験に出る日本語との乖離に悩む。趣味はB級グルメ食べ歩き。
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