「行く」の尊敬語・丁寧語・謙譲語は? 正しい敬語表現を知ろう【例文つき】

更新:2021/11/26

ビジネス用語

「行く」という言葉を丁寧に言いたいものの、自分の使っている「行く」の敬語は正しい敬語か心配になっているのではないでしょうか?

敬語は誰に対して発しているのかどうかで、丁寧度合いが異なります。

中には、敬語は誤った使い方をしている場合も散見されるため、それぞれの使い方を正しく把握することで、社会人として恥をかくことも少なくなるでしょう。

そこで今回は、敬語表現の中でも「行く」に焦点を当てて、正しい敬語表現を例文付きでご紹介します。

「行く」の敬語の種類


「行く」の敬語はビジネスシーンで使用する機会が多いため、一度整理して正しい使い方を把握したいですよね!

敬語には「尊敬語」「丁寧語」「謙譲(けんじょう)語」があります。

「行く」をそれぞれの敬語表現にした場合、どのように変化するかを順を追ってご紹介します。

「行く」の尊敬語

「尊敬語」とは一般的に目上の人に対して使う言葉で「相手を高めて」敬意を示します。

しかし、ビジネスシーンでは社内の人間である上司に使うより、お客様や取引先に対して使うことがマナーです。

「行く」の尊敬語は以下の通りです。

「来る」の尊敬語も同じ表現

「行く」の尊敬語の表現として登場する「いらっしゃる」「おいでになる」は、実は「来る」の尊敬語でもあります。

「行く」の丁寧語

「丁寧語」は「話している相手」に対して敬意を示す際に用います。

ビジネスシーンでもっとも使うことが多い表現で、語尾が「ですます調」あるいは「ございます」に変換されるのが特徴です。

社内の会話では、どちらかというと「丁寧語」のほうが使われる傾向にあります。

「行く」の謙譲語

謙譲語(けんじょうご)とは、自分を下にへりくだることで相手を敬う表現です。

自身あるいは自社の人間が取引先や顧客先へ行く際に使うことが一般的です。


「行く」の敬語表現の使い方【例文つき】

「行く」の敬語表現をひと通りおさらいしたところで、「行く」の正しい敬語表現について、例文を交えながら見てみましょう。

「行く」の尊敬語の使用例

尊敬語は他者の行動について使うので、「○○さんが特定の場所に行く」を尊敬語で表現するのであれば「○○さんが行かれる」になります。

「来る」と「行く」の見分け方

上記でも触れましたが、「いらっしゃる」「おいでになる」は「来る」の尊敬語でもあるので混同しないよう注意が必要です。

見分け方としては、

・A社の会長が国際見本市にいらっしゃった

・○○さんが会合においでになった

というように、相手が自身あるいは特定の場所に「来る」行動をしているかどうかがポイントです。

「行く」の丁寧語の使用例

内容や相手に関わらず使えますので、使い勝手が良いのが丁寧語の特徴だと言えます。

しかし、改まって敬意を表したようには受け取られないかもしれません。

ビジネスシーンで、取引先など外部の人と話す場合には、

「はい。国際見本市に伺います」 

のように「謙譲語」を用いて、へりくだった表現にするのがよいでしょう。

「行く」の謙譲語の使用例

「伺う」も「参る」もどちらも使えそうですが、立てる相手の状況も加味したうえで言葉を選ばなければなりません。

もう少し深堀してみましょう。

「伺う」と「参る」どっちがいい?

どちらも使えそうに見えますが、立てる相手が行き先にいる人なのか、話を聞いている状態の人なのかによって異なります。

「伺う」は行き先に相手がいるのに対し、「参る」は電話や会話などで話を聞いている人がいる、または行き先に敬意を払うべき人がいない場合に使うのが一般的です。

「行く」の謙譲語「参る」の誤った使い方

謙譲語は話者がへりくだるためのものですから、話者以外の行動に使うのは間違いだと言えます。

時々、相手に対して「国際見本市に参られますか?」などと言う人がいますが、残念ながら間違いです。

「参る」「伺う」のはあくまでも「話し手である自分」であって、「相手」ではありません。

謙譲語では相手をへりくだらせてはいけませんので、尊敬語「シアトルの国際見本市には行かれますか?」で尋ねる必要があると言えます。

「行かせていただきます」は正しい敬語表現?

「行かせていただきます」という表現を日常的に見聞きするという人もいるでしょう。

相手に対して低姿勢で印象がよさそうな「行かせていただきます」という表現。

社内ではOKですが、社外の人に対してはNGです。

「○○(さ)せていただきます」は本来「他者の許可を得た上で自分が行動(この場合は、行く)し、行動したことで自分が恩恵を受けることに対してへりくだる」というさまを表しています。

ピンとこない人もいるでしょう。もう少し詳しくご紹介しますね!

例文で解説!「行かせていただきます」が社外でNGなワケ

例えば社外の人に対して

「国際見本市に行かせていただきました」

という表現を例に挙げましょう。

一般的に見本市に行く際は上司や先輩の許可があって実現するものです。

見本市に行くことに対して、上司や先輩の許可なく勝手に行くということはないでしょう。

したがって、社内ではOK表現ですが、取引先などの他者に対して社内の許可をへりくだって話す必要はないと言えます。

「○○させていただきます」は使いすぎもNG

「行かせていただきます」など「○○(さ)せていただきます」という表現は、使いどころによっては丁寧さがかえって失礼に当たる「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」にあたるため、使いすぎNGです。

使いすぎることで相手に違和感を与える可能性があることを考慮しなければなりません。

「行かさせていただきます」はそのものが誤用

また、「行かさせていただきます」という表現は文法の誤り表現「さ入れ表現」とされていますので注意しましょう。

まとめ

敬語表現は日本語の大きな特徴で、「相手を敬う表現がこれほど豊かな言語は他にない」といわれます。

敬語は、日本人の「相手を慮(おもんぱか)る気持ちを表現するもの」ですが、丁寧にしようという気持ちが強すぎると、かえって失礼に当たる場合もあるため注意したいものです。

特に「行く」の敬語表現は言い換えも多いのが特徴的です。

先生や先輩に対してかける敬語表現はもちろん、アルバイトをしている人はアルバイト中の言葉遣いを意識するなど、普段の生活から正しい敬語を意識することをオススメします!

(高橋モータース@dcp)

▼こちらもチェック!

「了解です」は、敬語として正しい? メールでの正しい言い換えのコツ

関連記事

新着記事

もっと見る

HOT TOPIC話題のコンテンツ

注目キーワード

 ビジネス用語・カタカナ語80選

 キャリアロードマップの一歩目

  • ピックアップ