「ご期待に沿う」の正しい使い方 沿う・添うの違いは?

2023/03/01

対人マナー

就活中や仕事中に「ご期待に沿う」という言葉を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

「ご期待に沿う」は、ビジネスシーンだけでなくさまざまな場面でよく聞かれる言葉です。

ですが、「沿う」なのか「添う」なのか、正しい漢字はどちらなのか分からなくなることもありますよね。

国語辞書によっては「期待に沿う」と「期待に添う」の両方が併記されている場合があるだけでなく、メールでも「期待に沿う」を使う場合と「期待に添う」を使う場合があります。

そこで今回は、「ご期待に沿う」という言葉について例文を挙げながら、正しい使い方について解説していきます。

「沿う」なのか「添う」なのかについても併せて解説していますので、この機会に違いを把握しましょう!

「ご期待に沿う」と「ご期待に添う」の違いは?

口に出してしまえば明確な違いが分かりにくい「沿う」と「添う」。

厳密に言うと、「期待に沿う」と「期待に添う」は意味に若干のニュアンスの違いがありますが、実際にはどちらを使っても差し支えないと言えます。

「ご期待に沿う」とは?

「沿う」という漢字を使った「ご期待に沿う(ごきたいにそう)」は、「基準になるものから離れない状態」あるいは「期待される理想像とひどく違わない状態を保つ」「流れに従って動くこと」などを指します。

したがって、「ご期待に沿う」の場合は「相手に期待された内容や要求にぴったり従い、はずれないようにする」といったニュアンスです。

ビジネスシーンでは「沿う」が頻出!

ビジネスにおいては、「沿う」のニュアンスで使用することが圧倒的に多いので、「期待に沿う」と覚えておいて間違いないでしょう。

「ご期待に添う」とは?

「添う」という漢字を使った「ご期待に添う(ごきたいにそう)」は、一般的に「ご期待に添える(ごきたいにそえる)」と書きます。

「添える」という漢字を使うことで「なにかに付け加えること」や「そばを離れずにいる」、「(人と)親密な関係を築くこと」などの意味に。

そのため、「ご期待に添う」とした場合は「相手に期待された内容や要求に寄り添う」といったニュアンスで使われることが一般的です。

【例文あり】ビジネスシーンで頻出「ご期待に沿う」の使い方

メールでお礼やお断りをする場合に、「ご期待に沿う」をうまく利用すると丁寧で、失礼のない文面に仕上げられます。

まずは「ご期待に沿う」のほうから確認しましょう。

お礼を述べる際の文面

例えば、サービス商材を導入した顧客に対するお礼メールの例文を見てみましょう。

このたびは、たくさんあるサービスの中から当社の○○をお選びいただきまして、誠にありがとうございます。みなさまのご期待に沿えますよう、今後より一層のサービスの拡充に努めてまいります。

お断りする際の文面でも使える

注文を断ったり、仕事をキャンセルしたりする場合には以下のように使用します。

面接を断る場合

就活や転職活動の面談の決まり文句と言っても良いでしょう。

・このたびは、当社の面接に参加いただきまして誠にありがとうございました。人事部で慎重に検討を重ねてまいりましたが、残念ながらご希望に沿えない結果となりました。末筆ながら、今後の貴方様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
・このたびは、当社のプロジェクトに参加いただきまして誠にありがとうございました。残念ながら○○様のご期待に沿いかねる結果となってしまい、深くお詫び申し上げます。次の機会には、検討させていただく所存ですので、その節は何卒よろしくお願い申し上げます。

商談を断る場合

商談の提案を丁寧に断る場合にも活用可能です。

このたびは、ご商談にお時間をいただきまして誠にありがとうございました。社内で検討したところ、喫緊の課題ではないとの結論に至り、今回の導入を見合わせていただくことになりました。ご期待に沿えず誠に申し訳ございません。また機会がございましたらその節はよろしくお願いいたします。

明らかにお客様側に落ち度がある場合の商品の返品や交換のメール

顧客とのやりとりが発生する業務の方も活用できます。

このたびは、当社の○○をご購入いただきまして、誠にありがとうございます。商品到着後にお客様のミスによって破損されたとのこと、誠に申し訳ございませんが、このケースの場合はお客様都合の返品扱いとさせていただいております。したがいまして、交換というお客様のご要望には沿いかねます。何卒ご了承くださいませ。なお、サポート室の方で修理の対応を承っております。お客様の実費とはなりますが、誠心誠意サポートをさせていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます。

お客様から期待しているという声をかけられた場合

後述する「ご期待に添える」と同じようなニュアンスでも使用可能です。

・今後も、お客様のご期待に沿えるように精進してまいります。
・ご期待に沿えるように努力する所存です。
・みなさまのご期待に沿えるように社員一同努力してまいります。今後とも変わらぬご愛顧をたまわりますよう、お願い申し上げます。

相手の要望に応えられなかった場合

結果として相手の要望に応えられなかった場合についても、「沿う」という言葉が使えます。

・ご依頼の件につきまして、ご希望に沿えず誠に申し訳ございません。

「ご期待に沿う」を使わないほうがよいシーンは?

「ご期待に沿う」は、ビジネスシーンなどあらたまった場面で使用する言葉です。

したがって、具体的な仕事の依頼を受けた際に使用する場合は不自然になることがあります

例えば、上司から「今月の君の売り上げ目標は○○円だよ。期待しているからね」と言われた場合です。

「はい、ご期待に沿えるように努力いたします」という返答では、上司に対して失礼にあたるだけでなく不自然です。

この場合は「はい、目標の○○円を達成できるように努力いたします」と、具体的な数字を挙げて返答するのが正しいでしょう。

【例文で確認!】「ご期待に添える」の使い方

あえて「ご期待に添える」を使い分けようとする場合、以下の意味で使うことが多くあります。

・相手に期待された内容や要求に寄り添う

したがって、「添える」とした場合は相手が期待する内容や要求に寄り添えるかどうかがカギとなります。

何かを任された際に決意表明をする場合

会社内での新規事業を任された際や、目標達成など決意表明をする際に「ご期待に添える」という言葉が使われます。

社内での自己紹介でも使えますので、この機会に覚えておきましょう。

・ご期待に添えるように努力いたします
・ご期待に添えるよう頑張ります
・ご期待に添えるように尽力いたします
・ご期待に添えるように精進いたします

相手の期待に応えられた場合

「添える」という言葉は、相手が期待する内容や要求に寄り添えた、という意味から事後報告にも使用可能です。

・ご期待に添えましたようで、幸甚です
・ご期待に添えましたようで幸甚の至りです

最初に断りを入れる場合

相手から要求を受けた際に、期待に応えられない場合があるときは「ご期待に添えない」を使うことが一般的です。

・ご期待に沿えない場合もございますので、ご了承ください

「ご期待に添える」を使わないほうがよいケース

「ご期待に添える」も「ご期待に沿える」と同様、ビジネスシーン以外では使わないほうが無難です。

「ご期待に添える」とした場合、上司など目上の方から業務上「期待しているよ」などと声をかけられた際の返し文句として使われることが多くあります。

したがって、相手(特に目上の方)から数字を伴わずに活躍を期待された場合には「ご期待に添える」を使うことがおすすめです。

まとめ

今回は「ご期待に沿う」の正しい使い方や「ご期待に添う」との細かなニュアンスの違いについて、例文を交えながら解説しました。

「ご期待に沿う」と「ご期待に添う」は同じように使われる場合もありますが、細かなニュアンスの違いがあることがわかりました。

「ご期待に沿う」も「ご期待に添う」も、相手に言いにくい文章を丁寧で礼儀正しい文面に整えてくれるビジネス用語です。

しかし、両者ともあらたまった言葉なので、対面で使用する場合には注意が必要です。

上手に使って円滑なメールのやりとりや決意表明などに活用してくださいね!

(マイナビ学生の窓口編集部)

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