いよいよ出発の『はやぶさ2』。どんな特徴&何のために宇宙に行くの?

更新:2018/05/22

社会人ライフ

いよいよ出発の『はやぶさ2』。どんな特徴&何のために宇宙に行くの?

60億kmの苦難の旅を終えて、2010年6月地球に帰還した小惑星探査機『はやぶさ』の物語は、日本中を感動させました。その後継機『はやぶさ2』が、本日11月30日(日)に、いよいよ宇宙へ旅立つときが来ました! この『はやぶさ2』は、『はやぶさ』の成果を継承し、さらなる小惑星探査技術の確立のために打ち上げされます。そこで、今回は『はやぶさ2』の特徴やミッションについてご紹介します。

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■『はやぶさ2』のここに注目!

・小惑星『1999JU3』を目指して行く
・小惑星『1999JU3』のサンプルを持ち帰る
・衝突装置(SCI)を搭載
・平面アンテナを採用

■目標天体『1999JU3』とは!?

『はやぶさ』では小惑星『イトカワ』が目標天体でしたが、この『イトカワ』は「S型小惑星(石室)」でした。今回の目標天体『1999JU3』は「C型小惑星(炭素質)」。「C型小惑星」は太陽系が誕生したころの状態を保っていることに加えて、「その表面に有機物や含水鉱物を多く含んでいる」と考えられています。

そのため『1999JU3』を調査し、サンプルを持ち帰ることで、太陽系が生まれたころの太陽や地球の状態、もしかしたら生命の起源に関する情報も得られるのではないかと期待されているのです。

■衝突装置は日本のオリジナルの発想です!

『はやぶさ2』には「衝突装置」(SCI:Small Carry-on Impactor)が搭載されています。インパクターと縮めて呼ばれますが、この装置は、衝突体を秒速2kmというスピードで小惑星にぶつけてクレーターを作るために使われます。

小惑星表面を掘り起こして、クレーターに露呈する小惑星の中に埋もれていた物資をサンプルとして採取するのです。衝突体を打ち込む装置を搭載した探査衛星はすでに海外にありますが、今回『はやぶさ2』に搭載されるインパクターは、長い加速距離が不要で、秒速2kmまで加速するのにわずか1/1000秒しかかからないという優れた装置なのです。

■平面アンテナは探査機に最適!

『はやぶさ』では、お椀形の「パラボラ」アンテナだったのですが、今回の『はやぶさ2』では「平面アンテナ」になっています。平面アンテナには以下のようなメリットがあります。

●熱を集めない!

パラボラ形のアンテナは電波を1点に集めて受信しますが、実は熱も集めてしまいます。受信装置が熱くなって、最悪の場合は過熱で装置が壊れてしまう可能性もあります。意外に思うかもしれませんが、宇宙では空気がないため放熱できず、熱問題は非常に深刻なのです。平面アンテナではこの問題を避けることができます。

●指向性の問題を解決できる!

実は、平面アンテナというのは小さなアンテナを集めて大きなアンテナとしています。この構造で有利なのは、小さなアンテナそれぞれに流れる電力量を変化させて、全体としてのデータ送受信の方向(指向性)を変えることができるのです。

パラボナアンテナの場合は、アンテナの方向を変えることでしか指向性を変化させることができません。また、アンテナを動かすために機械的な装置が必要になります。ところが、平面アンテナの場合にはそのような装置が不要なのです。

最後に『はやぶさ2』のスケジュールを見てみましょう。

■『はやぶさ2』航海スケジュール

・2014年11月30日に打ち上げ!
・2018年6-7月に『1999JU3』に到着

 1年半ほど小惑星に滞在

・2019年11-12月に小惑星を出発
・2020年11-12月に地球に帰還

総飛行距離は52億4,000万kmになる旅です。うまくいけば「東京オリンピックの年」に地球にハッピーリターンするはずです。無事な航海、また航海の成功を祈りたいですね。bon voyage!

(高橋モータース@dcp)

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