あなたは「これまでの福島」と「これからの福島」がわかりますか? 大学生記者の「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」潜入レポート

学生の窓口編集部

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皆さんは、一年前の今日、何をしていたか覚えていますか? 
私は全く覚えていません。
ですが、今から11年前の2011年3月11日のことは覚えています。

当時まだ小学生の私は、あの日のお昼過ぎ、理科の実験の準備をしていました。先生からやっと実験の開始が告げられ、意気揚々とマッチに手をかけようとしたまさにその時、大きな揺れが私たちを襲いました。それが、東日本大震災だったのです。

今でも鮮明に覚えているくらい衝撃的な日でした。私と同じように、あの日のことだけはしっかり覚えているという方も多いのではないでしょうか。

そして、11年経った今でもなお解決すべき問題が多く残っています。

今回は、環境省が主催する福島県の除去土壌問題とその解決に向けた取り組みに焦点を当てたフォーラム「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」の様子を学窓ラボ所属の学生ライター佐々木雄将がお伝えしたいと思います。

そもそも「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」って何?

 まず、「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」とは、環境省が行っている、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からの今後の福島の復興・再生に向けた取組のうちの一つである、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた全国での理解醸成」を目的としたフォーラムになります。今回、五回目の広島開催にオンライン参加してきました。

 ちなみに、「福島、その先の環境へ。」自体が、国が行う福島復興に向けた取り組みの合言葉となっており、それに関連して様々な活動が行われてきました。

そのあたりも詳しく知りたい方は、環境省のホームページをご覧くださいね!

福島、その先の環境へ。|環境省

 また、以前学窓ラボのメンバーが別の活動に参加しましたので、是非そちらのレポートもチェックしてみてください!↓

学生が福島の”今”と“未来”を知るためのツアーを企画! 被災経験のある学生記者が環境省の次世代会議に参加してみた

 フォーラムに話を戻しますと、今回は、福島県の除去土壌処分に向けた取り組みについて、より多くの一般の方に知ってもらいたいというのが、開催の目的です。

内容は、山口壯環境大臣をはじめとした、そうそうたる方々が登壇し、専門家の講演や登壇者と一般参加者との対話によって福島の除去土壌問題の現状とこれからについて理解を深めることが出来るイベントになっています。

 

↑会場の様子。広島国際会議場にて。

登壇者は左から、室石泰弘環境省参与、土居健太郎環境省環境再生・資源循環局長、山口壯環境大臣、元プロ野球選手 高橋慶彦氏、広島大学原爆放射線医療研究所所長 田代聡氏、原爆後障害医療研究所教授 高村昇氏、東京大学大学院准教授 開沼博氏、HITOkumalab代表 佐藤亜紀氏。

↑会場の参加者は対話ボードに自分の意見・感想を貼って、登壇者の方々に自分の思いをぶつけます。また、オンライン参加者の声もこちらに貼られるため、全国の声がこの対話ボードに集まりました。

「フォーラムの概要はだいたい分かった。でも、福島の除去土壌っていったい何? 」「それを自分が知って何になるの?」 と思った方! 参加するまでは、私自身もそう思っていました。

今回のフォーラムはまさに私たちのような人に向けて開催されたものです。自分には関係がない! と思っている人にこそ、このフォーラムと「福島、その先の環境へ。」の活動について知ってもらいたいと感じました。

それでは、そんな私の目を通して、今回のフォーラムの内容や感想をお伝えできればと思います

福島の今を知って、対話しよう

 今回のフォーラムはオンライン参加も可能であったため、現在もそのアーカイブが残っており誰でも視聴可能です。

フォーラムの様子や専門的な説明など、直接体感できますので、ぜひ、以下のYouTubeリンクからアーカイブを視聴してみてください!

興味はあるけど、動画を視聴している時間がないという方やまだちょっと興味を持ち切れていないという方は、本記事内で、フォーラムの大まかな内容と動画の再生時間を紹介しますので、気になったところだけでも視聴してくださいね。

それでは、まずフォーラムの構成についてです。

今回のフォーラムは

(1)福島除去土壌問題について知る

(2)現状を知った上での対話セッションを行う

という2パートで構成されています。

(1)は、福島の今について周知を行うべく、馬場康弘氏による環境省が行ってきた福島での環境再生事業と今後の課題についての説明から始まります。(フォーラムYouTubeリンク内(以下、「動画内」)6:22~)

汚染が発生してしまった経緯、除去土壌問題についての説明など、予備知識のない方にとっては必見の内容になっています。

↑福島にいったい何が起きたのか。

↑改善したこともある。しかし…

↑処分を待つ除去土壌は、中間貯蔵施設へ。

馬場氏の講演後は画像にある大熊町、双葉町の町長さんによるメッセージが放映されます(動画内8:10~)。現地の方の生の声を聴く貴重かつ重要な機会となっていますので、こちらだけでも視聴してもらいたいです。

 除去土壌問題についての今と今後の方針について理解した後は、満を持して(2)の対話セッションに移ります。

(2)はまず、開沼氏進行のもと、登壇者による対話セッションが行われます。また、対話に先駆けて、事前質問で多数寄せられた質問に対する回答がなされました(動画内36:11頃~)。

↑開沼氏

↑回答する山口環境大臣。

↑質問:フォーラムの目的は?

回答:除去土壌等について多くの人に知ってもらうこと。

↑質問:除去土壌処理の安全性について(動画内42:11頃~)

 回答:動画参照のこと。要約すれば安全。

ちなみに、私がフォーラム終了後、安全基準策定の方法について質問を投げかけたところ、以下のような回答が返ってきました。ご参考までに。

「質問:除去土壌の国の安全審査の基準の定立にあたっては、第三者による査定は行われたのでしょうか。行われたとしたら、どういった機関がその査定に与したのでしょうか。

 回答:除去土壌の再生利用の安全性については、有識者からなる検討会※での議論を踏まえ、2016年(平成28年)6月に再生利用の安全な実施に係る「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方」を示しています。この中では、周辺住民、施設利用者及び作業者に対する追加被ばく線量が年間1mSvを超えないよう、再生資材の放射能濃度は8,000Bq/kg以下と原則とすること等を示しています。現在、本基本的考え方を指針として、実証事業等により放射線に関する安全性の確認や具体的な管理の方法の検証を行っているところです。

 今後、実証試験の結果等を踏まえ、さらに有識者からのご意見をいただきながら、除去土壌の再生利用の基準を策定する予定です。

※中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会

事前質問への回答が終わるとすぐに登壇者同士の対話が始まります。この道の第一人者として活躍される方々の声は必聴です!

↑元広島東洋カープのプロ野球選手高橋氏

↑現地で活躍されている佐藤氏

 その後は、会場・オンラインで参加された方々の声をもとに、登壇者と参加者の対話セッションが行われます。(動画内1:15:29~)

会場に用意されたボードに参加者の声が書かれた付箋が貼られ、その付箋に対して登壇者が回答していきます。

↑広島ならではの疑問。確かに気になりますね。(動画内1:18:26頃~)

↑どうやって、国内外に向けて発信したらよいのだろう?(動画内1:20:52頃~)

↑除去土壌は福島だけの問題ではありません。全国で協力し合って解決を目指していきましょう。(動画内1:32:07~)

↑除去土壌についての福島県民の気持ちを代弁し、問題解決に向けた展望を語る山口環境大臣(動画内1:34:21頃~)

↑県外処分については、今のところ最終決定には至っていません。しかしながら、センシティブな内容なためか、県外処分は既定路線であるというような、様々な誤解が生まれているようです。県外処分について、今一度学び直しましょう(動画内1:29:45~)

などなど、様々な対話がなされました。ここで紹介したものは対話の一部ですので、気になる方は動画をチェックしてくださいね。

そして、最後は、今回の総括に入ります。総括では、登壇者の方々がそれぞれフリップボードに今回のまとめをしてくれました。(動画内1:52:20~)

今後この問題にどのように取り組んでいくのか。登壇者の方々のまとめを参考に私たち一人一人も考え、実践に移していく必要があると強く感じました。

↑関氏による今回のグラフィックレポート(動画内1:49:10~)

今回のまとめ

フォーラムに参加してみて、印象的な質問と回答、また全体の流れをレポートさせて頂きました。いかがだったでしょうか?

私は、福島についてまだまだ知らないことや知らなければならないことが沢山あることを改めて実感しました。このフォーラムで満足せず、自分でも情報を集め、もっと福島のことについて知ろうと思いました。

また、今回のフォーラムのキーワードは「対話」です。

フォーラムに参加しても、それで終わってしまってはただの自己満足です。知識を行動に変えること、まずは、周りの友人や家族と一緒に福島の除去土壌問題について「対話」したいと思います。

これをお読みの皆さんも、是非動画本編を視聴して頂き、お友達やご家族と「対話」してみてくださいね。

文・佐々木雄将(学窓ラボ
編集・学生の窓口編集部
福島再生・未来志向プロジェクト https://fukushima-mirai.env.go.jp/

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