BBQの醍醐味とは……BBQのプロ『日本バーベキュー協会』の下城民夫さんに聞いてみた 2ページ目
――バーベキューの醍醐味とはなんでしょうか?
下城さん:「人とのつながりを深められること」ですね。バーベキューは単なる食事・調理のスタイルのことではありません。「遊びの文化」なのです。
つまり、肉を焼いて食べることに主眼があるのではなくて、集まった人たちが楽しい時間を過ごすことこそがバーベキューの目的です。だからこそアメリカでバーベキューが愛され、文化として根付いているといえます。
アメリカにはいろんな人がいます。その人たちを楽しませ、楽しい時間をできるだけ長く一緒に過ごしてもらう、そのためにバーベキューをするのです。コミュニケーションを深めるための遊び、その一つのスタイルなのです。
■バーベキューのホストは「ミキサー」であれ!
――初心者がバーベキューを楽しむためのコツを教えてください。
下城さん:すごく具体的に言いますと「焼くものばかり持っていかない」ことです。焼いて食べて終わり、という食材ばかり持っていきますと、すごく短時間で終了してしまいます。
前と後ろに焼かなくてもいいものを持っていくべきなのです(上記九則の4を参照)。みんなでちょっとつまめるものがあると落ち着きますよ。焼けるのを待っているとみんな落ち着かなくて、いらんことを言いだしますからね(笑)。
終わりにも焼かなくていいものがあるか、あるいはみんなをもう一度束ねられるものを用意しておくといいですね。「end BBQ(エンド・バーベキュー)」と言うのですが、アメリカの場合にはマシュマロを焼いてみんなで食べます。マシュマロは小さな火で焼けますから、残った炭を真ん中に集めて(mountain fireと呼ぶ)、その火力であぶるのです。
バーベキューってみんながバラバラになっていくことが多いんです。もう食べられないと言って火から離れていくとかね。ですので、終わりにマシュマロのようなものがあると、もう一度みんなで集まって心を近づけることができ、うまく締まるいいバーベキューになります。
――なるほど。
下城さん:ですのでホストは、みんなが盛り上がる「山」をいくつもつくるようにバーベキューをリードしていかないといけません。
――ホストの役割は重要ですね。
下城さん:重要です。アメリカではホストの役割を「mixer(ミキサー)」といいます。集まったみんなをうまく混ぜ合わせるもの、という意味ですね。集まった人をよく見て、「ビールは足りているか?」「焼き加減はどうだ?」「君にあの人を紹介しよう」とか、みんなの心を近づけるように配慮をするのがホストです。ホストのリードがうまくいくとバーベキューは本当に楽しくなります。みなさんもバーベキューをするのであれば、参加者の心がお互いに近づき合うような、いいバーベキューにしてください。
――ありがとうございました。
バーベキューの始め方、醍醐味などをプロに伺いましたがいかがだったでしょうか? バーベキューは単なる食事のスタイルではなく、イベントであり、遊びの一つであり、そして何より「人同士のつながりを深めるもの」であるのです。言われてみると、たしかにバーベキューは実にアメリカらしい文化に思えてきませんか? ぜひみなさんも、集まった人がお互いに親しくなれる、いいバーベキューを楽しんでください。
⇒『日本バーベキュー協会』公式サイト
http://www.jbbqa.org/
(高橋モータース@dcp)