「青天の霹靂」とは? 意味やビジネスでの使い方、類語を解説【例文つき】

2024/06/17

ビジネス用語

「青天の霹靂」という言葉を聞いたことがない人はあまりいないでしょう。社会を驚かせた事件に使われている時もあれば、「〇〇にとって青天の霹靂」のように、個人的な出来事に使われている時もあります。衝撃的な出来事に使われることは何となく分かっていても、「青天とは? 霹靂とは? いい意味? 悪い意味?」と問われると答えに詰まる人も多いかもしれません。「青天の霹靂」の意味や由来、使い方について解説します。

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「青天の霹靂」とは?

「青天の霹靂」とはどのような意味があるのでしょうか。詳しい意味や由来を調べてみましょう。

「青天の霹靂」の意味

「青天の霹靂」は「せいてんのへきれき」と読み、次のような意味があります。

【青天の霹靂】せいてんのへきれき
(青天ににわかに起こるかみなりの意)突然に起こる変動、または急に生じた大事件。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


「青天」「霹靂」には、それぞれ次のような意味があります。

【青天】せいてん
晴れた青空。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
【霹靂】へきれき
1)急激な雷鳴。
2)はげしい音響の形容。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


以上のことから、「青天の霹靂」とは「晴れた青空に突然雷鳴が走るように、思ってもいなかった大事件が唐突に起きたり、想定外の衝撃を受けたりすることのたとえ」という意味です。

「青天の霹靂」の由来

「青天の霹靂」は、中国・南宋第一の詩人・陸游(りくゆう)による詩句『九月四日鶏未鳴起作(九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る)』の中の「青天飛霹靂(せいてんにへきれきをとばす)」という言葉に由来しています。

当時、病床にあった陸游は、詩を読みました。その勢いを「青天に霹靂を飛ばす」、つまり「青天に雷鳴が走るようだ」と自然現象にたとえたとされています。筆の勢いを示していた言葉は、やがて現在のように「思ってもいない大事件」という意味で使われるようになりました。

「青天の霹靂」の使い方・例文

「青天の霹靂」は、社会的な大事件だけでなく、個人や組織にとっての衝撃的な出来事でも使える応用範囲の広い言葉です。良い意味でも悪い意味でも使えます。単に「突発的な」というだけでなく、「衝撃的な影響を与える出来事」であることが条件です。ふさわしい場面で使えば、強く長く印象に残るでしょう。

就職・転職の面接で

就活の面接で志望動機を述べる際、その会社のニュースや製品に影響されたことを伝えることがあります。「青天の霹靂」はその影響の大きさを述べるのにぴったりの言葉です。

御社の新製品〇〇は車業界にとって青天の霹靂だっただけでなく、一消費者の私からみても革命的にうつりました。

新規開拓の営業で

新規客の営業では、自社のポジティブな状況を伝えると相手にも好意的に受け止められます。

先日弊社のCEOが、青天の霹靂ともいえるDX化プロジェクトを発表いたしました。

上司への報告で

取引先との商談結果を上司に報告する際、次のように使えます。衝撃的なことであれば、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使えます。

(ポジティブな使い方)
・今回のプロジェクトを70%の工期で早期に終えたことは、A社にとっても青天の霹靂だったようです。ぜひこれからも協働したいと好感触でした。
(ネガティブな使い方)
・パートナー候補として名が挙がっていたB社ですが、進行中の案件が頓挫しそうだという話を漏れ聞きました。もしそうなら青天の霹靂です。

スピーチなどの挨拶で

記念式典や各種イベントのスピーチを求められた際、今後を展望するあいさつの切り出しの言葉として使えます。

世界中の人々にとって青天の霹靂だったパンデミックを乗り越え、共に新たな未来を創造してまいりましょう。

衝撃的な人事を報じる場面で

不確実な時代には、発想を転換しようと衝撃的な人事が行われることがあります。思いもよらぬ昇進のニュースなどで、次のように使えます。

このたびC社でアルバイト員が社長に大抜擢されたことは、青天の霹靂だ。

「青天の霹靂」の類義語・言い換え表現

「晴天の霹靂」と似たような意味を持つ言葉を次に挙げます。言い換えたい時に使ってみましょう。

1)寝耳に水

読みは「ねみみにみず」。寝ている時に不意に水を入れられて驚くように、突然の思いがけない出来事に驚くことのたとえ。

2)耳目を驚かす

読みは「じもくをおどろかす」。多くの人を驚かせること。

3)驚天動地

読みは「きょうてんどうち」。世間をひどく驚かせること。「青天の霹靂」は思ってもいなかったタイミングに焦点を当てていますが、「驚天動地」ではその驚きの大きさに焦点を当てています。

4)生き胆を抜く

読みは「いきぎもをぬく」。ひどく驚かせること。「青天の霹靂」は思ってもいなかったタイミングに焦点を当てていますが、「驚天動地」ではその驚きの大きさに焦点を当てています。

「晴天の霹靂」と書くのは間違い?

オンラインで「晴天の霹靂」と検索すると「青天の霹靂ではありませんか?」と返ってきます。多くの辞書では「青天の霹靂」が正しく、「晴天の霹靂」を誤りとしているからでしょう。しかし、漢語としては「青天」も「晴天」も「青く晴れた空」を意味し、中国でも「青天霹靂」と「晴天霹靂」の両方が使われているようです。

『日本国語大辞典』(小学館)でも “<青く晴れた空に突然おこるかみなりの意から>思いがけず起こる突発的事変。晴天の霹靂”とあります。ただし、日本では故事に基づく「青天の霹靂」のほうが一般的なため、ビジネス文書ではこちらを用いるほうが無難です。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者】前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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