よく聞く「三々五々」ってどういう意味? 使い方、類語も解説【例文つき】

2024/02/01

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「三々五々」という言葉は、よく使われますよね。子供の頃、遠足が終わって解散する時、先生から「三々五々帰りましょう」というフレーズを聞いたことがある人もいるでしょう。

少人数のかたまりで帰ることで安心感があったものです。今回は、そんな「三々五々」の言葉を、意味や由来、類語なども含めて掘り下げてみましょう。

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「三々五々」とは?

「三々五々」にはどんな意味があるのでしょう。意味や由来をひもといていきましょう。

「三々五々」の意味

「三々五々」は「三三五五」とも書き、読みは「さんさんごご」です。次のような意味があります。

【三々五々】さんさんごご
あちらに3人、こちらに5人と人が行き交ったり、集まったりしているさま。また、物や人があちこちに点在している様子。
(『用例でわかる四字熟語辞典 改訂第2版』学研教育出版)


「三々五々」は、厳密な時間を決めて集まったり、一斉に解散したりするのではなく、パラパラと集まったり、帰ったりする様子を表す言葉です。集まっているその状態も意味しています。また、人だけでなく物や家などの様子についても使えます。

「三々五々」の由来

「三々五々」の語句は、唐の詩人・李白(りはく)の『採蓮曲(さいれんきょく)』にある一節に由来しています。

三三五五映二垂楊一
書き下し文:三三五五垂楊(すいよう)に映ず。
意味:楊の木の影に、あちらに三人、こちらに五人の人が見え隠れしている


「あちらに3人、こちらに5人、あちらに5人、こちらに3人……、3人、5人」という感じで、人が点在していたのでしょう。「三五」を繰り返した熟語が「三三五五」となり、一般的に「三々五々」と書くようになりました。

また、「三五」だけでも、「三々五々」と同じ意味を表すことができます。

さんご【三五】
4)こちらに三つ、あちらに五つとちらばること。まばらなこと。三三五五。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


ただし、同じまばらとはいえ、「三五」よりも「三々五々」と繰り返すほうが何となく賑やかな印象です。「三三」の2文字は、古来より吉数とされる三を重ねたもの。結婚式の「三三九度」にも含まれており、見た目や語感からめでたい響きを感じる人もいるかもしれませんね。

「三々五々」の正しい使い方・例文

「三々五々」はビジネスや日常の場面で次のように使うことができます。特に、会や集いなど人が集まる際には、【集まる・とどまる・解散する】の場面でその様子を表すことができます。

なお、「三々五々」は副詞として働くため、「三々五々に」「三々五々で」ではなく「三三五五」だけで使うようにします。

例文1

人が少しずつ集まる時に「三々五々」を使うことができます。

その日、私たちは三々五々、連れ立って出かけた。


また、物についても使うことができます。

バザーの品を募集したところ、三々五々さまざまな品が集まってきた。

例文2

人が集まり、その場で会話や食事を楽しんでいる場面で、次のように「三々五々」を使うことができます。

本日はお越しいただきありがとうございます。特に席は定めておりませんので、お飲み物やお食事を召し上がりながら、ゆったりと三々五々ご歓談ください。

例文3

会や集いで解散する時に、次のように「三々五々」を使うことができます。

ここでいったん会はお開きです。まだご歓談の方もいらっしゃいますが、三々五々解散いたしましょう。

例文4

家のように大きなものについても、次のように「三々五々」を使うことができます。

集落の上空からは、三々五々点在する家々が見えた。

「三々五々」の類義語・言い換え表現

以下に挙げるのは、「三々五々」と同じような意味を持つ類語です。「三々五々」とは微妙にニュアンスが異なる言葉も含まれています。場面に合わせて言い換えたい時に役立ててください。

1)ぱらぱらと

空間的・時間的にまばらなさま。「三々五々」とよく似ていますが、小さなかたまりごとにという限定はありません。

2)ぽつぽつと

まばらに現れたり、見えたりするさま。「三々五々」と似ていますが、一人ずつ、一つずつで点在する様子を表す時に使います。

3)ちらほらと

あちこちに少しずつ、きわめてまばらにあるさま。「三々五々」よりもまばらな印象があります。

4)飛び飛びに

点在するさま。石など小さなものから島など大きなものまで、空間的に脈絡なく点在する様子を表す時に使えます。

「三々五々」の対義語

「三々五々」と反対の意味を表す言葉です。逆の状況を表現したい時に、使ってみましょう。

1)一斉に

読みは「いっせいに」。「いちどきに。同時に」という意味。時間的にまばらに集まったり解散したりする「三々五々」とは逆の状態です。

2)一同に

読みは「いちどうに」。「そこにいる人、仲間全体、みな」という意味です。人に対して使います。

3)一遍に

読みは「いっぺんに」。「もれなく同時に」という意味です。人だけでなく、物事が一度に進んだり片付いたりする時などにも使います。

4)一時に

読みは「いちどきに」。ある時に集中して、いっぺんに。人だけでなく物事についても、時間的な様子を表す際に使います。

5)一丸

読みは「いちがん」。「集まった人々が塊になっているさま」という意味です。

まとめ

人や物が小さなまとまりで集まったり離れたりする「三々五々(三三五五)」という言葉。どんな印象を受けましたか。昨今、ビジネスではリモートワーク化が進み、離れた場所でも会えたり、途中からでも加わりやすかったり、自由度が高まっています。「三々五々」の小さな話で自由な発想を軽快にやりとりしながら、オンラインでの全体的なコミュニケーションを育むと良いかもしれませんね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです。

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【著者プロフィール】
前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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