「一期一会」の本当の意味を知っていますか? 「一生に一度の機会」という意味ではありますが、この言葉が意図するテーマはもっと深いところにあると考える人は多いでしょう。
出会いの大切さを説く言葉として、これほど私たちの日常で慣れ親しんでいる言葉も他にないからです。一体、いつ頃から言われるようになった言葉なのでしょうか?
意味や由来・語源を探るとともに、使い方をマスターしましょう。
▼目次
1.一期一会とは?
2.一期一会のビジネスでの使い方・例文
3.一期一会の類語
4.一期一会の対義語
5.まとめ
「一期一会」は、「いちごいちえ」と読みます。まずは、意味をひもとくところから始めましょう。
「一期一会」には、次のような意味があります。
「一期一会」とは、「一生に一度の貴重な出会い」という意味。どのような出会いも一生に一度と考えて大切にし、相手を尊重しようという茶道の心得が一般に広まったものです。
「一期一会」は、その意味合いから考えて、仏教の言葉のように感じる人もいるかもしれません。しかし、この四字熟語は仏典にはありません。千利休(せんのりきゅう)が茶会の心得として発した言葉です。また、用例としては、幕末の大老・井伊直弼が書いた『茶湯一会集』に出てきます。
ただし「一期(いちご)」だけなら、仏教語です。「一期」には「一生涯」という意味があり、古くから『沙石集』『方丈記』『徒然草』『妻鏡』など多くの古典に用例があります。
「一期一会」を唱えた千利休は、戦国時代から安土桃山時代にかけて茶の世界で活躍した人物です。わび茶の完成者としても知られ、茶聖とも呼ばれます。
利休の名言である「一期一会」は、本人が直接書き遺したわけではありません。利休自らの書物はなく、高弟である山上宗二が利休の教えを各所に向けて書き送った書が、さらに写され、伝え継がれていきました。確実な原本は不明ですが、こうした写本は数十冊以上あり、現在私たちが目にする『山上宗二記』にまとめられたのです。
「一期一会」は、その『山上宗二記』に記された言葉で、「一期に一度の会」という書き下しの一文に由来しています。そもそもは「茶会に臨む時には、その機会を一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くしなさい」という意味です。
さらにこれを広めたのが、江戸幕府の大老であり茶人でもあった井伊直弼。彼は、著書『茶湯一会集』に次のように書いています。
利休が発し、山上宗二の書が写し継がれ、井伊直弼が広めた「一期一会」の言葉は、こうして連綿と受け継がれてきました。現代では茶道に限らず、あらゆる出会いに通じる名言として、今を生きる私たちの道を照らすものです。
その教えは、初めての人との出会いに限りません。たとえたびたび会う友や家族であっても、その時その場その人との出会いは一生に一度のものとして尊重することが大切だという深い意味合いがあります。
時々「一期一会の出会いです」「一期一会の出会いを大切に」という表現を見かけます。しかし、これだと「一生に一度の出会いの出会い」という意味になってしまいます。「一期一会」には、もともと「出会い」という意味がすでに含まれているからです。
そのため「一期一会ですね」「一期一会を大切に」のように、「出会い」を加えずに使うのが良いでしょう。
「一期一会」の本当の意味を理解したところで、実際に使ってみましょう。面接や座右の銘で挙げられることも多い「一期一会」は、どんな場面でどのように使えるでしょうか。
就職・転職の面接や、エントリーシートで座右の銘などを述べる際に、次のように使えます。
初めて取引する相手に対して、面会のお礼状などで次のように使えます。
新規の取引先だけでなく、旧来の取引先・関係者が集まる式典で来賓スピーチを頼まれた時などに次のように使えます。
部下やスタッフに対して、接客や営業での心得を伝えたい時に、次のように使えます。
一期一会のように「大切な出会い・貴重な場面」という意味を持つ四字熟語を以下に挙げます。言い換えたい時にそれぞれのニュアンスを把握して使い分けてみましょう。
読みは「いっせいちど」。一生涯に一度。またとないことという意味です。「一期一会」の教えを広めた井伊直弼もこの言葉を使っています。
読みは「いっせいちだい」。一生にただ一度きりであること。「一世」も「一代」も、「一生涯」という意味です。もとは歌舞伎役者などが引退する時に十八番を演じる時に使ったもの。人生に一度しかないほどの大きな晴れ舞台というニュアンスで今もよく使われます。
読みは「せんざいいちぐう」。千年にたった一度会えるようなチャンスのこと。絶好のチャンス。人との出会いよりは、機会との出会いというニュアンスで使います。
「一期一会」と反対の意味を持つ四字熟語を以下に挙げます。逆の意味の言葉を使いたい時に活用してください。
読みは「にちじょうさはん」。ごく平凡なありふれたこと。取るに足りないこと。出会いだけでなく、物事全般について使われ、「日常茶飯事」とも使われます。
読みは「かじょうさはん」。ありふれた物事。「日常茶飯」と意味や使われ方は同じです。出会いのみならず、物事全般について使うことができます。「家常茶飯事」とも。
読みは「ふこうまいきょ」。あまりにも数が多くて、いちいち数えきれないさま。枚挙にいとまがないという意味です。出会いだけでなく、さまざまな物事について使えます。
一生にただ一度の出会い、一期一会。初めての人だけでなく、いつも周りにいる人についてもそのように考えて接することができれば、普段見慣れた景色もまた違って見えるのではないでしょうか。
その時・その場・その人、さまざまな偶然が重なり合って今目の前にあるかけがえのない機会を大切にしたいものですね。
(前田めぐる)
※画像はイメージです
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