「もやもや」とは? 意味、使い方、類語、対義語を解説【例文つき】

2023/11/22

ビジネス用語

「もやもや」と聞いて、どんな情景が浮かびますか? 窓の外に朝もやが立ち込める風景でしょうか。気持ちが落ち着かない心象風景でしょうか。

自然と心、どちらの景色も「もやもや」という4文字で表現できます。また、事の真相があいまいな時にも使うことができます。

活用範囲の広い「もやもや」という言葉の正確な意味や使い方を解説します。

もやもやとは?

「もやもや」という言葉にはどんな意味があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

「もやもや」の意味は?

「もやもや」は、物事の状態を言語音で表す擬態語です。また、疑問・推量の助詞「も」「や」を重ねてできた言葉で、次のような意味があります。

【もやもや】
(1)もや・湯気・煙などがたちこめて、辺りがぼんやりとするさま。
(2)実体などがはっきりしないさま。
(3)心にわだかまりがあって、すっきりしないさま。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)


自然・物事・気持ちに関して、はっきりしていない、もうろうとした様子を意味する言葉です。

また「もやもや」は、日本語の中で「擬音語・擬態語」である「オノマトペ」に分類されます。

「もやもや」が属する「オノマトペ」とは

オノマトペとは、「わんわん」「しとしと」のような擬音語や擬態語のことです。『擬音語・擬態語辞典』の著者である金田一春彦氏は、オノマトペをさらに細かく次の5つに分けました。

【擬声語】人間や動物の声を表す(例:ぎゃあぎゃあ、わんわん)
【擬音語】物音や自然界の音を表す(例:がたがた、ざーざー)
【擬態語】無生物の状態を表す(例:つるつる、さらさら)
【擬容語】生物の状態を表す(例:のろのろ、くどくど)
【擬情語】人の心理状態や身体感覚を表す(例:はらはら、ずきずき)


1語で複数にまたがる場合もあります。例えば、「ひゅーひゅー」は「風がひゅーひゅー(擬音語)」、「喉がひゅーひゅー(擬声語)」と2つの分類にわたります。

「もやもや」はどんな様子や気持ちを表したい時に使う?

「もやもや」は、オノマトペ(擬音語・擬態語)の中でも、無生物の状態を表す擬態語心理や身体の感覚を表す擬情語の両方で使うことができます。

・もやや霧・湯気などが立ち込めて、目の前がクリアではないさまを表したい時
・心に何かつっかえているものがあり、すっきりしないさまを表したい時
・身体の働きが何となく鈍っているさまを表したい時

などです。

▼こちらも合わせてチェック!
心がもやもやするのはなぜ? 原因と7ステップ解消法

もやもやを使った例文

「もやもや」の意味を理解したところで、次は使い方を見ていきましょう。次のような場面で使えます。

例文1

事情がはっきり分からない時、次のように「もやもや」を使えます。

事故の原因は、もやもやしたままです。

例文2

心に何かはっきりしない怒りや悩みがある時、次のように「もやもや」を使います。

彼とけんかしてからずっと、もやもやしています

例文3

頭や胃など、体の働きが鈍っている時、次のように「もやもや」を使えます。

今朝から胃がもやもやしています

例文4

もや・湯気・煙などが立ちこめている時、次のように「もやもや」を使えます。

もやもやとした湯気とともに、おいしそうな匂いが漂ってきました。

もやもやの類語・言い換え表現

「もやもや」の類語を以下に挙げます。言い換えたい時に、使ってみてください。

1)ぼうっと

輪郭がはっきりせず、ぼやけているという意味です。景色そのものが霧やもやなどでぼやけている時、視覚の働きが鈍っていてぼやけて見える時、どちらの場面でも使います。頭の働きが鈍っているさま、見た目が眠そうなさま、気が利かないさまを表す時にも使います。「もやもや」と違うのは、他人から見た印象を表す時にも使える点です。

2)おぼろげ

物の形をしっかりと捉えにくいという意味です。記憶がおぼろげである時にも使います。「もやもや」と違い、胃などがはっきりしない意味では使いません。

3)もうろうと

意識や景色がぼんやりしているという意味です。「もやもや」と違い、原因がハッキリしないさまを表す時には使いません。

4)くよくよ

心にわだかまりがあるさまを表す言葉です。「もやもや」と違い、景色などには使いません。

もやもやの対義語

「もやもや」と反対の意味を持つ言葉を以下に挙げます。

1)くっきり

もやなどがなく、物の輪郭がはっきりしていること。視力がよく、輪郭をはっきり捉えられること。輪郭がぼやけている「もやもや」とは逆の意味です。

2)はっきり

物、人物、景色などが明確に区別できること。意識・気持ち・問題など、形のないものについても使えます。「もやもや」とほぼ反対の意味を持つ言葉です。

3)しっかり

頭や意識、気持ちがしゃんとして確かであるさま。「もやもや」と違い、景色については使いません。

まとめ

オノマトペ(擬音語・擬態語)は、便利な言葉です。例えば、「何となくはっきりしない不安な気持ちです」と言わなくても「もやもやしています」だけで意味がパッと伝わります。

とはいえ、いくらでも使えるだけ使えば良いというわけでもありません。「雨がザーザー降ってきた。彼女はドアをそろそろと閉めると、スタスタやってきてボソボソとこちらに話しかけてきた」のように、使い過ぎると文章が幼い印象になってしまうこともありますね。

使うべき箇所で効果的に使いましょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者】前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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