心がもやもやするのはなぜ? 原因と7ステップ解消法

2023/11/08

社会人ライフ

誰でも「もやもや」する時が必ずあります。

特に、社会人になったばかりの若い人ほど、仕事やプライベートで「もやもや」を感じる時が多いかもしれません。

そもそも「もやもや」とはどういう状態なのか、なぜ「もやもや」するのか、「もやもや」する原因は何なのか、どうすれば「もやもや」を解消できるのかについて、一緒に考えていきたいと思います。

もやもやとは?

「もやもや」とは、 自分の気持ちが整理できておらず、自分が今どんな気持ちになっているのか、うまく表現できなくなっている状態のことです。

たとえば、次のようなケースがそうです。

・仕事でミスをしてしまった。周りからは「次から気をつければいいよ」と言われたが、なぜか「もやもや」する。

・プレゼンを明日に控え、やるべきことはやったと思うのだが、なにか「もやもや」している。

・会議で意見を言ったら否定された。確かに考えが浅かったことは認めるが、なぜか「もやもや」する。

・上司から詳しい説明がないまま「とにかくやって」と言われ、「もやもや」しながら仕方なく対応した。

・社員全員に配布される資料が私にだけ届いていなかった。担当者のケアレスミスだとわかったが、なんとなく「もやもや」する。

・飲み会で割り勘になった。一般的にそういうものだと理解はできるが、私はそんなに飲んでいないのに同じ金額を払わなければならないことに「もやもや」する。


社会に出て何年も働いている人なら、よくあることだと割り切って「もやもや」しないようなことでも、社会人になりたての若い人にとっては、どうしても「もやもや」してしまうことがあります。

この時に何が起きているかと言うと、 思考と感情の不一致です。

思考では、現実を受け入れているのに、感情では、イラ立ち、落胆、不安などが生じています。頭では分かっているはずなのに、心のどこかに感情的な「しこり」が残っているということです。

この 感情的な「しこり」が、「もやもや」の正体です。

もやもやするのはなぜか?

「もやもや」の正体は、感情的な「しこり」ということでしたが、なぜ、そのような「しこり」が生じるのでしょうか?

感情的な「しこり」とは、イラ立ち、落胆、不安などのネガティブな感情のことです。これらの感情は、「こうあってほしかった」「本来こうあるべきだ」という期待があるのに、その通りにならなかった(あるいは、期待通りにならない気がする)ことで生じます。

たとえば、先ほど示した「仕事でミスをしてしまった」ケースでは、心のどこかに「私はミスをしない人間でありたかった」という期待があったと考えられます。でも、その通りにならなかったので、自分自身にイラ立ちや落胆を感じています。

「プレゼンを明日に控え、やるべきことはやったと思う」ケースでは、「私はプレゼンをうまくやるべきだ」という自分自身への期待を持っていて、でも、本当にうまくできるのだろうか、という不安を感じています。

このように、 期待が満たされないことによって生じた感情が「しこり」となって、それが「もやもや」につながっているのです。

もやもやの原因となる5つの心理的傾向

「もやもや」の原因となっている感情的な「しこり」が生じる時の5つの心理的傾向を解説します。ちなみにこれらは、若手の社会人によく見られる心理的傾向でもあります。

1) 自分への期待の高さ

自分がミスをした時や、ライバルの活躍を見聞きした時などに「もやもや」することがあります。この時の心理的傾向として、自分への期待の高さが考えられます。

どういうことかと言うと、自分への期待が高いことで、「私はもっとできるはずだ」「私は能力が高いはずだ」といった自意識が心のどこかにあり、そのために、自分がミスをしたことを受け入れられなかったり、ライバルの活躍を認めたくなかったりしているのです。

しかし、ミスをした事実やライバルに負けている事実があるので、「自分への高い期待」と「認めたくない現実」との間で、気持ちを整理するのが難しくなって、それが感情的な「しこり」となり、「もやもや」へとつながっています。

2) 成功願望の強さ

プレゼンをする前や、何かにチャレンジする際などに「もやもや」するのは、「うまくできるだろうか?」という不安を感じているからです。

この不安の心理的背景には、成功願望の強さがあります。

「絶対に成功したい」という気持ちが強くなればなるほど、「本当に成功できるだろうか?」という疑問も大きくなってくるものです。

「成功願望の強さ」に対して「成功できない恐れ」が生じていて、それが感情的な「しこり」となって「もやもや」を生み出しています。

3) 承認欲求の強さ

自分の意見が否定された時や、自分の行為を注意された時などに「もやもや」するのは、承認欲求の強さが関係しています。

自分が完璧でないのは分かっているので、意見や行為がダメだという評価は受け入れることができます。

ですが、承認欲求が強いと、意見や行為に対する低評価を、心のどこかで自分自身に対する否定的評価として受け止めてしまいます。

頭では、あくまでも意見や行為の評価でしかないと分かっていても、自分という人間が受け入れられなかった感覚になっている。それが感情的な「しこり」となって「もやもや」が生じる原因となっているのです。

4) 自尊心の低さ

全員に用意されるべきものが自分だけ用意されていなかったり、いつまでも待たされたりした時などに「もやもや」することがあります。

相手の単純なミスだったり、仕方ない事情が相手にあったことを頭では理解できても、自分が雑に扱われた感覚になっていて、感情的な「しこり」が生じているのです。

この時の心理的傾向として、自尊心の低さがあります。

自尊心が低いとプライドが傷つきやすくなります。こういった不運な出来事によって、自分が大事に扱われなかった感じがして「もやもや」してしまうのは、プライドが傷つけられたという感覚があるからなのです。

5) モラル意識の強さ

納得できない時や、理不尽だと思う時などに「もやもや」することがあります。

ちゃんと説明されないまま「とにかくやれ」と言われたり、飲み会で不平等な割り勘を求められたことに対して「その考え方はおかしい」「その態度は間違っている」という考えを持っていると、それが感情的な「しこり」となって「もやもや」するということが起こります。

この時の心理的傾向としては、モラル意識が強くなっていることが考えられます。

人は他人に配慮しなければならない。それが大人としての常識ある態度だ。そんな考えが強くなっているということです。

このようにモラル意識が強いと、頻繁に「もやもや」を感じやすくなります。なぜなら、誰もが多かれ少なかれモラルに欠ける行為をするものだからです。

もやもやを解消する7つのステップ

「もやもや」を解消するためには、感情の「しこり」を取り除くことが必要です。

感情の「しこり」は、自分の期待通りになっていない現実によって生じています。

期待と現実を一致させることができれば、「しこり」は消えますが、現実を変えることは簡単ではありませんし、かと言って、期待しないようにあきらめようとするとフラストレーションが生じます。

では、どうすればいいのかと言うと、期待と現実を「統合」します。具体的な7つのステップを「仕事でミスをして『もやもや』しているケース」で例示しながら紹介していきます。

ステップ1) 「もやもや」を明確化する

何がきっかけで「もやもや」が生じたのかを特定します。具体的に何があったのか、その時、自分としてはどうなってほしかったのか、でも、実際はどうなったのかを考えながら、紙に書き出して言語化します。これからのことを不安に思っている場合は、どうなってほしいと思っているのか、でも、どうなる可能性があるのかを考えます。

⇒仕事でミスをして、周りからは「次から気をつければいいよ」と言われたが、「もやもや」している。自分としては「私はミスをすべきではなかった」と考えていて、実際にミスをしたことを悔やんでいる。

ステップ2) 期待を自覚する

自分にどんな期待があったのかを考えて、これもまた文字にします。「私はこうすべきだった」「私はこうしてはいけなかった」「あの人にはああしてほしかった」「あの人はああすべきではなかった」といったように、自分や相手に対する期待を言葉にして表現します。

⇒「私はミスをしない人間でありたかった」という自分自身への期待があった。

ステップ3) 期待を正当化する

自分の中にあった期待を正当化します。「私はこうすべきだったと思うのは、当然のことである。なぜなら、〇〇だから」「あの人にああしてほしかったと思うのは、当然のことである。なぜなら、〇〇だから」といった感じです。

⇒「私がミスをしない人間でありたかったと思うのは、当然のことである。なぜなら、私は仕事ができる人だと思われたいからだ」

ステップ4) 期待に反論する

自分の中にあった期待に対して、自分自身で反論します。「私はこうすべきだったと思っていたが、それは現実には、難しいことだった」「あの人にああしてほしかったと思っていたが、相手には相手の事情や考えがあるので、必ずしもそうなるとは限らない」といったように、自分の期待通りになるのは難しいと、薄々感じていたことを言語化します。

⇒「私はミスをしない人間でありたいと思っていたが、現実には誰もがミスをするのだ」

ステップ5) 期待も反論もどちらも正しいことを認める

自分の期待とその期待への反論が、どちらも正しいことを認めます。「私がこうすべきだと思っていたことは、悪いことではない。一方で、その期待が常に実現するのもまた難しいことだ」「あの人にああしてほしかったと思っていたことは、まったく正しい。一方で、あの人がそうしなかったのも間違ってはいない」といった感じで、どちらか一方だけが正しいわけではなく、ある意味、どちらも正しいことを認めます。

⇒「私がミスをしない人間でありたいと思っていたのは、悪いことではない。一方で、絶対にミスをしないことは難しい、というか不可能だ」

ステップ6) 自分はどうしたいかを考える

ここまでのステップは過去について考えてきましたので、いよいよ、これからのことを考えます。自分の期待と、その期待への反論を受けて、自分はこれからどうしたいのかを考えてみましょう。この時、気をつけたいのが、「どうすべきか?」「どうした方がいいと思うか?」を考えるのではなく、「どうしたいか?」を考えることです。自分の素直な気持ちに気づくために、「私はどうしたいんだろうか?」と、自分自身に問いかけていてください。これが「統合」の作業です。

⇒「私は、ミスした事実を受け入れて、この経験を次に生かしたい。そして、これからもミスをするだろうが、すべてを糧にして成長していきたい」

ステップ7) 自分の決定を宣言する

自分がどうしたいのかを考えたら、これからそうしていくことを決めます。そして、「私はこれから〇〇していく」と宣言しましょう。文字にしてもいいですし、言葉を発することをしても構いません。決定して宣言したからには、もうアレコレ悩んだり、引きずるのはナシです。私はこう決めたのだから、もうこのことで悩むのはやめる。こう考えることができたら、感情的な「しこり」はなくなり、「もやもや」も解消されるはずです。

⇒「私はこれからも積極的にチャレンジしていく。たとえミスをしても、前を向いて努力を続けていくと決めた」


「もやもや」を解消する7つのステップのイメージはつかめましたでしょうか?

もし「もやもや」がどうしても解消できないと悩んでいるなら、実際にやってみてください。

まとめ

「もやもや」するのは、「こうありたい」「こうあるべきだ」という期待を持っているからであり、それは理想を追い求める前向きさがあるということです。

しかし、現実は常に理想通りにはいかないものなので、これからも「もやもや」を感じることはなくならないでしょう。

そんなときは、「もやもや」の背景にある自分自身の良い部分に気づき、それをうまく生かせるように考えながら、自分を成長させ続けていってほしいと思います。

(笹氣健治)


※画像はイメージです

【著者】笹氣健治

メンタルトレーナー・心理カウンセラー
1967年生まれ。国際基督教大学を卒業後、NTT(東京支社)に入社。その後、地元の仙台に戻り、スポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。企業を経営する上で人間心理を理解する必要性を痛感して心理カウンセリングを学び、現在は、ストレスやコミュニケーション問題の解消をテーマにした講演やカウンセリング、目標達成のためのメンタルトレーニングを行っている。『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『仕事の悩みを引きずらない技術』(PHP研究所)など、著書19冊。

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