おどおどしてしまうのはなぜ? 原因と対処法5つ 

2023/11/08

社会人ライフ

環境が変わり新しい生活がスタートすると、慣れるまではどうしても不安や緊張を感じて「おどおど」してしまうことがあると思います。

「おどおど」した態度や雰囲気は、周囲にネガティブな印象を与え、評価を下げることにもつながりかねません。何よりストレスにさらされるので、精神的にもよくありません。

では、「おどおど」しないようになるためにはどうすればいいのでしょうか?

なぜ「おどおど」するのか、どんな人が「おどおど」しやすいのかを明らかにしながら、「おどおど」への対策を考えていきたいと思います。

おどおどとは?

まずは、「おどおど」するのはどういった状態なのかを確認しておきましょう。

若手社会人が「おどおど」してしまう典型的な5つの場面を紹介しながら、心の中で何が起きているのか探ってみます。

1) 職場にかかってきた電話に出る時

若手の頃は、電話が鳴ったら極力出るようにと指導されている。相手が誰で、要件は何なのかを聞いて取り次げばいいからと言われたが、正直言って怖い。「電話を受ける時は、会社の代表である意識を持って対応すること」と、研修で言われたのがプレッシャーになっている。電話の着信音が鳴るたびに緊張が走り、「おどおど」してしまう。

2) 取引先や顧客などの社外の人に電話する時

少しずつ仕事を任されるようになり、取引先や顧客に電話をする機会が増えてきた。アポをとったり、要件を伝えるだけの簡単なやりとりでも、緊張感がハンパない。勇気をふり絞って電話をしても、話しているとどうしても「おどおど」してしまう。頼りない人だと思われたのではないかと不安になる。

3) クレーム対応をする時

電話に出たら、クレームだった。相手がものすごく怒っているのが受話器越しに伝わってくる。その剣幕に圧倒されて「おどおど」しながら、しどろもどろに受け答えしてしまう。下手なことを言って炎上させないように、ひたすらサンドバッグ状態。怖くて怖くて生きた心地がしない。

4) 会議の場で発言を求められた時

本来は自分が参加するような会議ではないのに、上司の代理で出席。大人しく黙っていようと思っていたのに、突然指名されて発言を求められた。若手の意見も聞いてみたいと言われて、ものすごくプレッシャーを感じた。的外れなことを言って無能な奴だと思われたくない。
「おどおど」しながら発言したが、自分でも何を言ったか覚えていない。

5) 普段は顔を合わせない会社の上層部の人と話す時

担当する得意先への挨拶回りで支店長が同行することになった。支店長とは社内で顔を合わせる機会がなく、会話したこともない。訪問日時の調整をするために、支店長のスケジュールを確認しなければならない。失礼にならないように意識しながら連絡をとったが、緊張して「おどおど」してしまった。いったいどう思われただろうか。


これらを見て分かるのが、「おどおど」するときには、「恐怖」「不安」「緊張」「プレッシャー」などを感じているために、心臓がドキドキするような状態になっているということです。

電話で何を言われるか分からない恐怖。
下手な対応をして悪く評価されたくないという不安。
うまく対応できなかったらどうしようという不安と恐怖。
失礼なことをしてはいけないと思うことでの緊張。
会社に迷惑をかけたらマズいというプレッシャー。

「おどおど」している時は、このようなイヤな感覚が心の中いっぱいに広がっていて、それを必死に耐えながら、なんとか切り抜けようとがんばっているのです。

おどおどしてしまうのはなぜか?

では、なぜ「おどおど」してしまうのか、その理由について明らかにしていきたいと思います。「おどおど」するのは、「恐怖」「不安」「緊張」「プレッシャー」を感じている時です。それらを感じる背景には、「私はちゃんとやりたい」という思いがあります

任された仕事を適切に、効果的に、完璧にやりたい。
自分がちゃんとやれるところを見せて認められたい。

このような思いを強く持っているために、「緊張」や「プレッシャー」を感じてしまったり、「本当にできるだろうか?」「できなかったらどうしよう?」という「恐怖」や「不安」を感じてしまっているのです。

「私はちゃんとやりたい」という思いは、「私はちゃんとやれる人間でありたい」という自分自身への期待の表れです。

この期待があるからこそ、努力を惜しまず、意地でもがんばろうとするのですが、同時に自分を追い込んでしまうことにもなっているのです。

おどおどしている人の5つの特徴

次は、どんな人が「おどおど」してしまうのかを見ていきましょう。「おどおど」している人には、次のような特徴が見られます。

1)自信がない

自信がないのは、経験不足、知識不足、スキル不足が原因です。やったことがない、詳しい知識がない、うまくやる技術が身についていない、そういう時は、うまくできる感じがしなくて、不安や緊張が生じて「おどおど」してしまうものです。若手の頃は、経験、知識、スキルのいずれも足りません。だから、自信が持てないのは当然であり、「おどおど」しやすいのも仕方がないことかもしれません。

2)他者評価が気になる

他人からの評価が気になっていると、否定や批判されると落ち込み、逆に、褒められたり賞賛されると嬉しくなります。このように、他者評価に敏感に反応してしまうクセがあると、ダメ出しされることを恐れて、何をするにも失敗しないように自分で自分にプレッシャーをかけてしまい、それが「おどおど」した態度につながってしまいます。

3)打たれ弱い

打たれ弱い人は、自分に対する否定的な評価を受け入れることが不得意です自分が否定されることに耐えられず、だから、否定されないように常に慎重になります。慎重になることは大事ですが、過度になりすぎると、それが「おどおど」した態度に表れてしまいます。

4)プレッシャーに弱い

「ちゃんとやらなきゃ」というプレッシャーを感じることで、必死に頑張ってうまくできる時もあれば、緊張してうまくできなくなる時もあります。プレッシャーに弱い人は、プレッシャーを感じると緊張してうまくいかなくなりがちです。頭の中が混乱してパニック状態になってしまい、「おどおど」した態度を示すことになります。

5)人付き合いが苦手

人見知り、よく知らない人と話すのが苦手、複数の前で話すのが怖い、といった性質が影響して「おどおど」することもあります。小さい頃からそうだった人もいれば、大人になってからそうなった人もいますが、あまりにも深刻なときは、医療機関(メンタルクリニックなど)に行って相談してみると役に立つことがあるかもしれません。

これらの特徴の中に、あなたに当てはまるものはあったでしょうか?これらは「おどおど」すること以外にも、悩みやストレスにつながる要因になります。これから仕事をしていく上で克服すべき心理的課題として覚えておくといいかもしれません。

おどおどした態度を改善するための対処法

最後に、おどおどした態度を改善するための対処法を5つご紹介します。

大前提として、「おどおど」しなくなるためには、実力をつけることが必要です。また、経験を積んで仕事に慣れることも必要です。そうなることによって、普段の仕事をこなす際には「おどおど」しないようになります。要するに、急がば回れ、ということです。

その意味では、実力がつくまでの間や、経験を積んで仕事に慣れるまでの間に、「恐怖」「不安」「緊張」「プレッシャー」に負けないようになることが重要になってきます。

以下にご紹介するのは、「おどおど」したときや、「おどおど」する状況になりそうなときに、心を安定させる方法です。

心を安定させることができれば、「恐怖」「不安」「緊張」「プレッシャー」を感じても耐え抜けるようになります。ぜひ活用してみてください。

1) 自分自身をねぎらう

「恐怖」「不安」「緊張」「プレッシャー」を感じて「おどおど」しながらも、頑張っている自分に対してねぎらいの言葉をかけましょう。

やり方はこうです。

目を閉じて、3回大きく深呼吸をします。そして、目の前に、頑張っている自分がいることをイメージします。その自分に対して、次のようにやさしく語りかけましょう。

「私はちゃんとやりたい」と思っているんだよね。
だからこそ、「おどおど」してしまうんだよね。
なんて前向きで責任感が強い人なんだろう。
本当によくやってるよ。

このように、自分の良い部分を言葉に表しながら、自分をねぎらいます。すると、心が落ち着いてきて、温かい気持ちになるかもしれません。つらいけど、もう少しがんばってみようと思えたら最高です。そう思えなくても問題ありません。今はそう思えないだけです。

この感覚をじっくり味わったら、深呼吸をして目を開けて、大きく伸びをしたら終了です。

2) アファメーションを唱える

アファメーション(肯定的自己宣言文)を紙に書き出して、それを声に出して読み上げます。次の文章を参考にして、自分にとってしっくりくる文章を考えてください。

大丈夫、なんとかなる。
今までも、なんとかやってこれたじゃないか。
私ならきっとできる。
私は私を信じる。
私が私を信じなければ、誰が私を信じるのか。
私はあきらめない。
すべてはうまくいくようになっている。

このように書いた文章を、毎朝起きた時と、毎晩寝る前に声に出して読んでください。
それから、「おどおど」しているときや、「おどおど」しそうになったときにも読んでください。

繰り返し読むたびに、何か新しい気づきが得られるかもしれません。そして、自分の中に、何か確実な変化が起きていることにも気づけるはずです。

3) 勇気が湧いてくる歌を歌う

あなたにとって、気持ちが上がる曲、心の底に熱いものを感じる曲、勇気が湧き上がってく曲がきっとあると思います。アニメやドラマ、映画の主題歌に、そういう曲が多いかもしれません。

勇気が湧いてくる曲は、歌詞の中に感動的で素敵な箇所があります。その箇所をしっかり噛みしめながら歌ってみてください。

カラオケに行って大声で歌っても、自分の部屋で口ずさんでも、どんな方法でも構いません。

「おどおど」していた後で、へこんだ時などには、特に効果があります。気持ちが落ち着いて、また明日も頑張ろうと思えてくるものです。

4) 身近な理解者を持つ

「おどおど」している時は、自分一人だけがツライ思いをしているような感覚になっています。

そんなときに思い出したいのが、誰もが多かれ少なかれ「おどおど」するようなツライ思いを経験しているということです。

こんな思いをしているのは私だけじゃないんだ。そう思えることも、「おどおど」を耐え抜いて乗り越えるために役に立ちます。

同期入社の友人や年の近い先輩などの身近な人に、自分が「おどおど」した体験を話してみてください。たいてい「私も同じ」という言葉が返ってきます。

お互いの体験を共有するだけで、安心した気持ちが戻ってきます。

それから、「おどおど」したときにどうやって対処しているか、他人の話を聞くことも参考になります。

身近に良き理解者を持つことで、私も負けずに頑張ろうと思えてくるものです。

5) 定期的にカウンセリングを受ける

カウンセラーの人に、身近な理解者になってもらうというのも良い方法です。

カウンセラーに対して、誰にも話せていない自分の正直な気持ちを伝えるだけでも、気持ちがガラッと前向きに変わります。

また、カウンセリングでは、自分一人では向き合うことが難しい心理的課題の克服に、一緒に取り組むこともできます。

心の専門家が、メンタルの安定化だけでなく、メンタル強化のサポートをしてくれるのです。

私たちが持っている心理的課題はひとつだけではありませんので、定期的にカウンセリングを受けることは、今感じているストレスを解消することに加えて、今後同じようなストレスを感じなくなる体質改善にも役に立ちます。

今は、ネットでのカウンセリングもありますので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか?

まとめ

不慣れな状況では、誰でも「おどおど」することがあります。「おどおど」するのは、「ちゃんとやりたい」という思いがあるからです。

その思いは、責任感や向上心の表れであり、成長していく上で不可欠な要素を自分は持っているということになります。

問題は、まだ実力が伴っていないことと、経験が足りないことだけです。自分が学ぶべきことを学んで実力がついていけば、必ずや、周りからの信頼が得られて活躍できる人になるでしょう。

歩みを止めず、成長するための努力を続けていってほしいと思います。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

【著者】笹氣健治

メンタルトレーナー・心理カウンセラー
1967年生まれ。国際基督教大学を卒業後、NTT(東京支社)に入社。その後、地元の仙台に戻り、スポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。企業を経営する上で人間心理を理解する必要性を痛感して心理カウンセリングを学び、現在は、ストレスやコミュニケーション問題の解消をテーマにした講演やカウンセリング、目標達成のためのメンタルトレーニングを行っている。『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『仕事の悩みを引きずらない技術』(PHP研究所)など、著書19冊。

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