国のキャッシュレス・消費者還元事業や、コロナ禍での接触を避ける新しい生活様式により、キャッシュレス決済が一段と普及しています。キャッシュレス決済と言えば、何かと“お得”が強調されることが多いですが、気になって調べてみると“クレジットカードとの連携”が効果的と言われているものが多いもの。
しかし、キャッシュレス生活にしようと思っても、学生という立場ではクレジットカードを作ることに抵抗があったり、そもそも持っていない人も多いかと思います。ここではクレジットカードを作らずに、キャッシュレス決済を活用する方法について解説します。(記事中の情報は2020年8月時点のものになります)
まず、そもそも的な話になってしまうのですが、キャッシュレス決済の基本を説明しておきましょう。
「キャッシュレス決済」には電子マネーを含む交通型ICカードやQRコード決済、クレジットカードなどがありますが、簡単に言うと「現金を使わないで決済を行う方法」になります。キャッシュレス決済は、支払うタイミングによって、「前払い」「後払い」「即時払い」の3つに分けることができます。
前払いはプリペイド方式と呼ばれるもので、あらかじめICカードやアプリなどに金額をチャージして決済を行います。チャージ方法は店舗や専用端末での現金チャージをはじめ、アプリであれば連携した銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いも選択可能です。
代表的なものとしては、Suicaのような交通系ICカードやnanacoのような流通系ICカード、PayPayやLINE Payといったアプリなどが挙げられます。
後払いはポストペイ方式と呼ばれるもので、支払った金額を後日クレジットカード会社などから請求されるスタイルです。クレジットカードに加え、iDやQUICPay、楽天ペイといったアプリでも利用できますが、クレジットカードとの連携が必須になります。
しかしメルペイに限っては、「メルペイあと払い」という独自の後払い方式を導入しており、例外的にクレジットカードがなくとも後払いが利用できます。
即時払いはデビット方式と呼ばれ、デビットカードや電子マネーアプリで決済を行った直後に、銀行から自動で引き落とされる仕組みになっています。なので、銀行口座に残高がなければ支払いはできません。
デビットカードをそのまま使うか、決済アプリにデビットカードを連携すればこの形で利用可能。デビットカードはクレジットカードと違い、規定の年齢以上であれば、ほとんどのカードが審査なしで申し込みできます。
クレジットカードなしで使う電子マネーの賢い利用方法
クレジットカードを作らなくても、前払い(プリペイド)式の電子マネーや、QRコード決済を行えるアプリなどを利用すれば、キャッシュレス決済をすることはできます。
ただ、お得に使いたいのであれば、利用シーンに応じた決済方法を準備しておくのがおすすめです。
例えば、代表的な電子マネーでよく名前の挙がるSuicaについては、JR東日本の路線乗車およびJREポイント加盟店でのSuica支払いのときにポイントが付与されますが、それ以外ではポイントはつきません。
クレジットカードと前払い式電子マネー(カード・アプリ)を連携させるとお得、というのは電子マネーへのクレジットカード払いでのチャージによりポイントが得られ、さらに電子マネーでの支払い時にもポイントが戻ってくるという2重取りが基本。
また、電子マネーの還元率が低い(もしくはポイント還元対象でない)支払いであっても、チャージ時にはクレジットカード利用分としてのポイントがつくので、ポイントがまったく得られないということはなく、あまり考えなくてもある程度のお得が得られる楽さもメリットと言えます。
クレジットカードを使わないということは、上記のようなメリットを得られませんので、クレジットカードなしでキャッシュレス支払いによるお得を得ようとすると、それなりに支払い方法の使い分けをする必要が出てくるのです。
ここでいくつか、主要サービスの支払いよるポイント還元内容をざっくり紹介しましょう。
モバイルSuica・・・JR東日本の乗車料金50円につき1ポイント≒2%(カードタイプSuicaの場合200円につき1ポイント≒0.5%)
WAON・・・対象店舗での支払い200円につき1ポイント≒0.5%(イオングループ一部店舗で会員登録済みWAONを使うと200円につき2ポイント≒1%)
nanaco・・・対象店舗での支払い200円につき1ポイント≒0.5%(商品や店舗によりプラスのボーナスポイントあり)
楽天Edy・・・200円ごとに1ポイント≒0.5%
楽天ペイ・・・1%
PayPay・・・0.5%(前月使用実績により最大1.5%)
LINE Pay・・・0%(支払い以外の方法でポイントを得る必要あり)
このように、サービスによってポイントがどこでどのくらいもらえるか微妙に異なっています。例えば、JR線をよく利用する場合にはSuicaはもっておきたいですね。
しかし、東京メトロが主な利用区間の場合、PASUMOを使わないとほとんどポイントは貯まりません。 交通系電子マネーともうひとつで、決済手段を2種類は用意しておきたいところです(自家用車、自転車等が基本の交通手段なら1種類でもOK)。
セブンイレブンやイトーヨーカドーなどの店舗をよく利用する場合にはnanacoが向いていますし、イオン系列の店舗をよく利用するのであればWAON、楽天でのネットショッピングが多い人は楽天Edyか楽天ペイが使いやすいでしょう。
プリペイド式の電子マネーにはSuica、nanaco、WAON、楽天Edyなどがあります。行きつけの店舗や利用している交通手段によって、この中から選択します。例えば、JRを含めて電車をよく利用する場合にはSuicaが向いていますし、セブンイレブンやイトーヨーカドーなどの店舗をよく利用する場合にはnanacoが向いています。イオン系列の店舗をよく利用するのであればWAON、といった具合です。
LINE Payは以前の還元率ではPayPayと並ぶほどでしたが、2020年5月からは「Visa LINE Payクレジットカード」と連携させないとポイントが得にくくなっています。
キャッシュレス決済は、支払いの手間が減るだけでなく、ポイント還元によりお得に買い物をすることができます。一般的な電子マネーでは、200円ごとに1ポイント貯まり、1ポイント=1円として電子マネーの支払いに使えるものが多くあります。
では、具体的に月々の生活費の支払いをキャッシュレス決済にした場合、どのくらいのポイント還元を受けられるのでしょうか。大学生の1か月の収支を参考にシミュレーションをしてみましょう。
【想定支払い額】合計9.5万円
食費:2.5万円×0.5%×2倍 = 250円(WAONカード、イオンの「お客様わくわくデー」にまとめ買い)
昼食代:1万円×0.5% = 50円
飲み会代:1万円×0.5% = 50円
交際費:2万円×0.5% = 100円
衣服代:3万円×0.5% = 150円
趣味代:2万円×0.5% = 100円
★1か月のポイント還元合計:700円
合計で700円が還元されることになりました。
この数字だけ見ると小さいように思いますが、毎月ランチ1回分(学食なら2回分?)程度は戻ってきますし、この想定のまま1年を過ごすと8400円の還元となり、飲み会2、3回分くらいのお金が浮くと思うと、真面目に取り組む価値を感じられるのではないでしょうか。
まとめ
クレジットカードがなくても、プリペイド式と呼ばれる電子マネーやQRコード決済を利用すれば、キャッシュレス生活を送ることができます。
ただし、店舗によっては利用できない電子マネーや、逆に多めにポイント還元が得られるものがあるので、生活のスタイルに合わせ複数のキャッシュレス決済を使い分けてお得にキャッシュレス生活を始めてみましょう。
(学生の窓口編集部)
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