「捲土重来」とは? 意味、由来、使い方、類義語、対義語を解説【例文つき】

更新:2024/06/07

ビジネス用語


「捲土重来」とは、土煙が巻き上がるような勢いを取り戻して、巻き返していく様子を表した四字熟語です。読み方は「けんどちょうらい」、あるいは「けんどじゅうらい」。

難しい漢字を含む言葉ですが、最近では人気ゲーム「ウマ娘」のスキル名にも採用され「さあ、ここから捲土重来!」といったSNS投稿を目にするようになりました。

今回は、この「捲土重来」の意味や使い方、類義語や対義語をご紹介します。ビジネスシーンでも登場する言葉なので、覚えておくと便利ですよ。

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捲土重来の意味とは

捲土重来(けんどちょうらい)とは、一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを取り戻して巻き返すことを意味します。

捲土重来の「捲土」は「捲(まく)る」に「土」で土煙を巻き上げること。これは勢いが激しいことのたとえです。「重来」は「再びやって来る」こと。

このことから「土煙を巻き上げるような勢いをもって、今一度盛り返して攻めてくる」といったニュアンスを持っています。

捲土重来の由来

「捲土重来」は、唐の詩人・杜牧(とぼく)による詩「題烏江亭」の一節「捲土重来、未だ知る可(べ)からず」が基になってできた故事成語です。

この詩は「劉邦(りゅうほう)と天下を争うも、垓下(がいか)で戦いに敗れ自決した、秦末期の楚の人・項羽(こうう)」をしのび、杜牧が烏江亭を訪れたときに作ったものだといいます。

「捲土重来、未だ知る可(べ)からず」

(意味)
負けた者(項羽)が土煙を巻き上げるような勢いで再び攻めてきていたならば、(勝敗は)どうなっていたかわからない。

このような杜牧の思いが詠われています。

現代では、そこから転じて、「一度敗れた(失敗した)者が、再び勢いを盛り返して巻き返す(再起をはかる)」意味の言葉として使われています。

捲土重来と臥薪嘗胆の違い

臥薪嘗胆(がしんしょうたん)も中国の故事にまつわる四字熟語です。漢字が難しいので分解すると、

「臥」→ふし寝る
「薪」→(固い)たきぎ
「嘗」→なめる
「胆」→(苦い)きも

となります。

固いたきぎの上で寝て、苦いきもをなめることであえて苦労を重ね、復讐心や悔しさを忘れずにいようとする様子をあらわしています。そこから「仇(あだ)を打つために苦しい状況に耐え忍ぶこと」という意味になっています。

この「臥薪嘗胆」も「捲土重来」も、ともに「一旦は敗れている」という点で共通していますが、そこから先が異なります。

捲土重来が「勢いよく反撃に出る」ニュアンスなのに対して、臥薪嘗胆の方は「苦しい状況であってもくさらず、地道に努力する」というニュアンス。捲土重来の方がよりアクティブなイメージであることが分かりますね。

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捲土重来の使い方を例文でチェック

捲土重来の使い方と例文

「捲土重来」の例文を見てみましょう。

基本の例文

・前回敗者が、捲土重来で初戦を突破した。

上記は、前回の大会では負けてしまったが、今大会ではまた盛り返して初戦を突破した、という意味になります。

「捲土重来を期す」の例文

非常によく使われているのが、「捲土重来を期す」というフレーズです。まずはこのフレーズから覚えることをおすすめします。

読み方は「けんどちょうらいを きす」となり、「これからの巻き返しを心に誓うという意味合いです。

・捲土重来を期すA社が、大胆な戦略を打ち出した。

・昨シーズンが振るわなかったB選手にとって、今年は捲土重来を期す年である。

上記のいずれも、「これから勢いよく巻き返したい(そのために努力する)」というニュアンスで用いられています。同じように「捲土重来を期待する」と表現することもあります。

・選挙に敗れたC氏には、今後の捲土重来を期待したい。

「捲土重来を果たす」の例文

さらに、「捲土重来を果たす」のフレーズでも使われます。

・新製品の投入で、捲土重来を果たした。

上記は「新製品の投入という戦略によって、見事に巻き返すことができた」の意です。例えば売上がV字回復したようなときにピッタリの表現でしょう。ライバル会社を追い抜いたときにも「捲土重来だ!」と言いたくなりますね。

このように、「捲土重来」はビジネスやスポーツや政治などで「満を持して挑んだ勝負ごとに敗れた人が、巻き返しを図る様子」をあらわす表現として使われます。

捲土重来の類義語と言い換え表現

捲土重来の類義語と言い換え表現には、次のようなものがあります。

●起死回生
⇒今にもダメになりそうな局面から復活すること
例)起死回生を図る。

●反転攻勢
⇒守りの情勢から翻って、攻めに転じること
例)反転攻勢に向けて〜

●リベンジ
⇒復讐・仇討ち・一度負けた相手に勝つこと
例)何とかリベンジしたい。

●名誉挽回
⇒失った名声をとり戻すこと
例)名誉挽回のチャンスだ。

そのほか、シンプルに捲土重来の意味である「巻き返す」「盛り返す」「反撃に出る」などと言い換えることもできます。

捲土重来の対義語

捲土重来と反対の意味を持つ対義語には、次のようなものがあります。

●再起不能
⇒失敗や挫折から元の状態に戻れないこと

●一蹶不振(いっけつふしん)
⇒一度の失敗で挫折し、二度と立ち直れないこと

英語で言うと?

もとは中国語に由来する「捲土重来」ですが、英語でも「make a comeback(盛り返す)(返り咲く)(復活する)」、「regain lost ground(失地回復する)」など、いずれも「捲土重来」に非常に近いニュアンスを持つ言葉があります。例を挙げてみましょう。

・The player made a splendid comeback.
(その選手は見事な再起を果たした)

・The company should regain lost ground.
(その会社は失地回復を図るべきである)

まとめ

争いごとに負けても、大切なことに失敗しても、めげずに挽回を図るのが「捲土重来」。そんなハングリーな精神を忘れず、勉強やスポーツにも取り組みたいですね!

(マイナビ学生の窓口編集部)

学生の窓口編集部

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