生命保険料控除とは? 知らなきゃ損する仕組みをわかりやすく解説

更新:2022/09/26

税金・年金

年末調整は、生命保険料控除の申請やふるさと納税額の提出など、難しい書類とにらみ合いながら書ききる必要があります。

もしも書類に不備があり申請方法が間違っていた場合、再度やり直す必要があり大変です。

年末調整をしっかりおこなうことが、翌年の節税対策につながります。

そこで、この記事では生命保険料控除について詳細に解説しています。

年末調整をスムーズに終わらせることができるよう、今のうちに確認しておきましょう。

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【給与明細のトリセツ】よく聞く控除って何? 給与明細の正しい見方を知ろう

「生命保険料控除」とはなに?

生命保険料控除とは、税金の負担を減らすためにおこなうものです。

しかし、一体どういうものなのかわからない方も多いでしょう。

生命保険料控除について、まずは以下4つの観点から説明します。

  • ・生命保険料控除は年末調整の時におこなう
  • ・控除されるのは「住民税」と「所得税」
  • ・会社員は確定申告しない
  • ・個人事業主は確定申告で申請する

生命保険料控除は年末調整の時におこなう

年末になると「年末調整」をする必要があります。

年末調整とは、税金の納付の過不足を調整するもので、会社側が必ず行わなければならないものです。

この調整後、控除を受けられた場合は還付金を受け取ることができます。

その控除の一つとして「生命保険料控除」があります。

生命保険に加入している方は必ず確認しましょう。

生命保険料の控除には、以下3つの支払いに関して控除を受け取ることができます。

  • ・生命保険料
  • ・介護医療保険料
  • ・個人年金保険料

控除されるのは「住民税」と「所得税」

控除されるのは、「所得税」と「住民税」の2つです。

たとえば、生命保険料を支払った分の中から所得をいくらか減らすことで所得税を安くすることができます。

控除とは、支払う税金を減らすものなので現金が受け取れるわけではありません、注意しましょう。

会社員は確定申告しない

会社員は、年末調整を提出した会社側が生命保険料控除の申請をおこなってくれます。

そのため、 確定申告をする必要はありません

年末調整でしっかりと申請をおこなえば問題ないでしょう。

個人事業主は確定申告で申請する

個人事業主、フリーランスや自営業の方は確定申告で申請をしなければなりません。

年末調整とは企業に勤めている人のみがおこなうものであり、個人で働いている人は年末調整はおこないません。

確定申告は毎年3月におこなわれるため、 確定申告が始まる次期まで書類等は大切に保管しておきましょう。

生命保険料控除でいくら戻るの?

生命保険料控除がいくら戻るのかについて、以下の観点から説明します。

  • ・新制度と旧制度では条件と控除額が異なる
  • ・所得税の最大控除額は12万円
  • ・住民税の最大控除額は7万円
  • ・節税対策はどうしたら良い?

新制度と旧制度では条件と控除額が異なる

生命保険料控除は、2012年度に制度が改正されました。

そのため、2012年1月1日以降に生命保険に加入した方と、2011年12月31日までに生命保険に加入した方で、控除の金額は変わっています

「新制度」と「旧制度」における、所得税や住民税の内容を確認してみましょう。

所得税の最大控除額は12万円

所得税で控除される金額は12万円までとなっています。

新制度と旧制度の両方に加入している方は、下の3つの方法の中から選んで控除額を計算します。

  1. 1.新契約のみ生命保険料控除を適用
  2. 2.旧契約のみ生命保険料控除を適用
  3. 3.新契約と旧契約の両方について生命保険料控除を適用

新制度・旧制度での所得税控除額は以下の表の通り設定されているので、ご自分の契約された保険内容を確認してみてください。

【新制度の場合の所得税控除額】

年間の支払い保険料 控除額
2万円以下 支払い保険料の全額
2万円超 4万円以下 支払い保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超 8万円以下 支払い保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超 一律4万円


【旧制度の場合の所得税控除額】

年間の支払い保険料 控除額
2万5,000円以下 支払い保険料の全額
2万5,000円超 5万円以下 支払い保険料 × 1/2 + 1万2,500円
5万円超 10万円以下 支払い保険料 × 1/4 + 2万5,000円
10万円超  一律5万円

住民税の最大控除額は7万円

住民税の控除額は最大7万円までと決まっています。

新制度・旧制度で決められている住民税の控除額は、以下の表のとおりです。

【新制度の場合の住民税控除額】

年間の支払い保険料 控除額
1万2,000円以下 支払い保険料の全額
1万2,000円超 3万2,000円以下  支払い保険料 × 1/2 + 6,000円
3万2,000円超 5万6,000円以下 支払い保険料 × 1/4 + 1万4,000円
5万6,000円超 一律2万8,000円


【旧制度の場合の住民税控除額】

年間の支払い保険料 控除額
1万5,000円以下 支払い保険料の全額
1万5,000円超 4万円以下 支払い保険料 × 1/2 + 7,500円
4万円超 7万円以下 支払い保険料 × 1/4 + 1万7,500円
7万円超 一律3万5,000円

節税対策はどうしたら良い?

上述した通り、 所得税や住民税の控除にはそれぞれ最大限度額が決まっています

節税対策のために多くの生命保険に加入する方も中にはいますが、最大限度額が決まっているためたくさん入ることは推奨できません。

最大限度額ギリギリでおさまるように、ファイナンシャルプランナーと相談して加入する生命保険を決めると良いでしょう。

生命保険料控除の対象者とは?共働きはどうなる?

生命保険料控除の対象者は、実際に保険料を支払っている人です。

では、以下の場合はどうしたらよいのでしょうか。

  • ・共働きだとどちらで申請したらいい?
  • ・妻が働いていない場合は?

共働きだとどちらで申請したらいい?

たとえば、夫がすべての契約をまとめているにも関わらず妻も働いている場合があると仮定します。

このように共働きをしている場合、妻も所得税などの税金を払っていることになるため、妻の保険料は妻自身が支払い控除の対象者となったほうが良いでしょう。

控除額には上限があります。

上限を超えることになるのであれば控除額が減り、もったいないです。

基本的に、自分の保険料は自分で支払った方が結果としてお得だと言えます。

妻も夫もどちらも自分の保険料は自分で支払っている場合は、そのままで問題ないでしょう。

妻が働いていない場合は?

妻は働いていないが、契約者は妻であり、夫が保険料を支払っている場合はどうしたら良いのでしょうか。

この場合も、保険料を支払っているのは夫であるため、夫が生命保険料控除をうけることができます。

契約者が誰であっても、重要なのは支払っている人です。

しかし、控除額には限度があるため気を付けましょう。

生命保険料控除の申請の流れをおさえよう!

生命保険料控除を申請するためには、流れを確認しましょう。

基本的には以下の流れとなっています。

  • ・「生命保険料控除証明書」が届く
  • ・証明書とともに「給料所得者の保険料控除等申告書」を会社に提出
  • ・証明書をなくしたらどうする?

「生命保険料控除証明書」が届く

年末になると、加入している生命保険会社から「生命保険料控除証明書」という書類が届きます

生命保険料控除の申請を行うために必要不可欠な書類であるため、なくさないように大切に保管しましょう。

年末になっても届かない場合は、早めの連絡をおこなうことが大切です。

証明書とともに「給料所得者の保険料控除等申告書」を会社に提出

会社員の場合は、 証明書とともに「給与所得者の保険料控除等申告書」を会社に提出します。

「給与所得者の保険料控除等申告書」は正しく記入しなければ、無駄な税金を支払うことになりかねません。

何度も確認しながら記入し、会社に提出しましょう。

近年はなんでも電子化されており、企業によっては年末調整は電子化されていることもあります。

その場合は「生命保険料控除証明書」だけを別途提出すれば、問題ありません。

証明書をなくしたらどうする?

証明書を廃棄してしまった、もしくはなくしてしまった場合、 生命保険会社から再度発行してもらうことはできますが、時間がかかってしまい年末調整に間に合わなくなることもあります。

そのため、証明書が届いたら必ず大切に保管するようにしてください。

もしも年末調整にとどかなければ、各自で確定申告をおこなう必要があります。

確定申告は難しく、時間がかかることも多いです。

できるかぎり確定申告をする必要がないように、しっかりと申請を終わらせるようにしましょう。

年末調整でしっかりと生命保険料控除の申請をおこなおう!

生命保険料控除で節税対策ができます。

しかし、控除額には上限があるため、なんでも加入するのではなく必要なものだけを考えて決めるようにしましょう

生命保険料控除の仕組みをしっかり理解して節税対策をおこない、損をしないようにしてください!

⇒『国税庁』の 「生命保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm

▼社会人なら知っておきたい税金の仕組みって? こちらもチェック!
欠勤控除とは? 制度の概要と計算方法
https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/51980
「扶養」とはどういう意味? 扶養控除内の金額は?
https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/52233

(高橋モータース@dcp)

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