英語で話すとき、自分では意味が通じていると思っていても、実はネイティブからすると失礼で無愛想な態度に受け取られていることがあります。『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』の著者であるデイビッド・セイン(David A. Thayne)先生に、勘違いされがちな表現や、少し言い方を変えればネイティブとのコミュニケーションがもっとスムーズにいく会話術を教えてもらいました。
【「good」の使い方に要注意】
レストランでウェイターに食事はどうだったかと聞かれ、おいしかったと伝えたいときに、「It's good.」と答えた覚えはないでしょうか。実はこの表現は「まあまあおいしかったですよ」というニュアンスを持つので、ウェイターは少し残念に思うでしょう 。本当においしいと思ったときは、「It's really good.」、もしくは「I love it.」と伝えれば、誤解もなく気持ちが通じるでしょう。
「good」は言い方や状況によっては、「まあまあ」、「悪くはない」と言った意味になってしまいます。素晴らしいと思ったときには、「great」や「excellent」を使う方が気持ちが伝わります。
もう一つよく使う表現に、別れのあいさつ「Good bye.」があります。これは、恋人たちが破局を迎えたときに使われるような表現で、「もう二度と会わない」といったネガティブな意味合いも含んでいます。もちろん言い方にもよりますが、突き放したニュアンスになることもあるので、「See you later.」や「Good luck.」などの表現の方が、親しみがこもっていてオススメです。これは、街で会って立ち話をしただけで、二度と会わない人にも使えます。
【直接的な表現は避けよう!】
「What is your name?」、「Where do you live?」、「What is your job?」のような直接的な表現で相手に質問をしたことはありませんか? このような事務的な表現だと、相手はまるで取り調べを受けているように感じてしまう可能性があります。
相手の名前が知りたいのなら、「I'm Taro Yamamoto, and you?」とまず自分の名前を伝えてから尋ねると良いでしょう。住んでいる場所を聞くときは、「Do you live near here?」のように遠回しに聞くのがネイティブ流。同様に、職業を聞きたいときも「What do you do?」と聞くのがオススメです。
【「Oh!」を上手に使えば、グッとネイティブに近づける】
たとえば「Thank you.」。感謝の言葉なのに、言い方によってはイヤミっぽく聞こえることもあります。しかし、英語に慣れていない人は、言い方なんて気にしていられないのではないでしょうか。そんなときにオススメの表現が「Oh!」です。
「Oh! Thank you.」と満面の笑顔で言えば、間違いなく気持ちは伝わります。「I'm sorry.」も社交辞令に聞こえることがある表現ですが、「Oh! I'm sorry.」と言えば心から謝っていることが伝わります。レストランの例で出た「It's good.」も、「Oh! It's good.」の方が、気持ちが伝わるでしょう。
「Oh〜!」と、少し大げさかなと思うほど感情を込めて言えれば、後に続く言葉はその意味通りのニュアンスで通じるものです。自然に言えるようになれば、グッとネイティブの表現に近づきます。
【あいづちにもバリエーションを】
あいづちが入れば会話のリズムが良くなるものですが、このとき日本人がよく使う「yes, yes」のあいづちは避ける方が無難。「yes, yes」は「はいはい」、「分かった、分かった」のようなぶっきらぼうなニュアンスを持つからです。ネイティブがよく使うあいづちの表現には次のようなものがあります。
「I see.」(なるほど)、「That's right.」(そうだよ)、「I know.」(そうだね)、「No way!」(うそでしょう?)、「Really?」(ほんと?)
このような表現を会話の間に挟めば、会話はもっと盛り上がるでしょう。日本語のあいづち「ええ」や「はい」は必ずしも「yes」ではありません。「yeah」や「uh-huh」の方が近いニュアンスになります。これはカジュアルでもフォーマルでも使える表現です。また英語圏の人たちはあいづちよりアイコンタクトを使うので、会話をする際には相手の目をしっかりと見ながらアイコンタクトを意識すると良いでしょう。
中学や高校の教科書で習った表現が必ずしもその通りに通じるとは限りません。使うときには、棒読みではなく、大げさかもと思う程しっかりと感情を込めて言いましょう。旅行の前には映画やドラマを見て表情やしぐさ、それにあいさつやあいづちで使われている言葉などを学んで行くのもいいでしょう。ネイティブが日常で使っている表現を身に付けて、もっと海外旅行でのコミュニケーションを楽しんでみませんか?
取材協力:デイビッド・セイン (David A. Thayne)
『その英語ネイティブにはこう聞こえます』(主婦の友社)を始め数多くの著書を手がけるほか、翻訳、通訳、英会話学校経営など多岐にわたり活躍中。エートゥーゼット英語学校 http://www.atozenglish.jp
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