「福島のために一人一人ができることは何か」大学生記者の「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム(東京開催)」潜入レポート
学窓ラボ、学生ライターの清水彩由です。私は現在、環境省が主催するプロジェクトである『福島、その先の環境へ。』のメンバーとして活動しています。
私自身、福島と何か関わりがあったわけではありません。では、なぜ参加することを決めたのかというと、『福島、その先の環境へ。』というプロジェクトを知った際に、現在の福島はどうなっているのか疑問に思い、実際に福島を訪れてみたいと思いました。そして、自分に何かできることを見つけたいと思ったからです。
12年前の2011年3月11日に、東日本大震災が発生したことは皆さんご存じだと思います。では、除去土壌が福島県外で最終処分されることは知っていますか。
私は除去土壌の県外最終処分については、このプロジェクトを通して初めて知りました。ニュースで大々的に報道されるわけでもなく、「除去土壌」という言葉自体を初めて耳にする方が多いと思います。
震災から12年が経過しましたが、私たちの知らないところには、まだ多くの課題が残されています。そこで、今回は2023年8月19日に東京の「THE GRAND HALL(品川グランドホール)」で行われた「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」の様子をお伝えしたいと思います。
『福島、その先の環境へ。』対話フォーラムとは?
「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」とは、環境省が行っている、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からの今後の福島の復興・再生に向けた取組のうちの一つである、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた全国での理解醸成」を目的としたフォーラムになります。今回、9回目の東京開催に会場参加しました。
ちなみに、「福島、その先の環境へ。」自体が、国が行う福島復興に向けた取り組みの合言葉になっており、それに関連して様々な活動が行われてきました。
より詳しく知りたい方は、環境省のホームページをご覧ください。
また、以前学窓ラボのメンバーが他のエリアのフォーラムに参加しましたので、是非そちらのレポートもチェックしてみてください。
⇒「福島に行ったことがない人にこそ見てほしい。」大学生記者の「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム(新潟開催)」潜入レポート
↑会場の様子。品川のTHE GRAND HALLにて。

↑登壇者の方々。左から、東京大学大学院情報学環准教授 開沼博氏、長崎大学原爆後障害医療研究所教授 東日本大震災・原子力災害伝承館館長 高村昇氏、環境省 環境再生・資源循環局長 前佛和秀氏、環境大臣 西村明宏氏、フリーアナウンサー 政井マヤ氏、フリーアナウンサー 中野美奈子氏、一般社団法人 HAMADOORI13代表理事 吉田学氏、大学院生 東北大学工学研究科量子エネルギー工学専攻 遠藤瞭氏、北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門 資源循環材料学研究室教授 佐藤努氏。タレントで福島環境・未来アンバサダーのなすび氏は後半からオンラインで参加されました。

↑会場の参加者は疑問や感想を書いた付箋をこの対話ボードに貼ることができます。また、オンライン参加者の意見も貼られます。
フォーラムの様子
今回のフォーラムはオンライン参加も可能であったため、現在もそのアーカイブが残っており誰でも視聴可能です。
フォーラムの様子や専門的な説明など、直接体感できますので、ぜひ以下のYouTubeリンクからアーカイブを視聴してみてください。
それでは、まずフォーラムの構成についてです。
今回のフォーラムは
(1)県外最終処分に向けた取組の説明
(2)対話セッション
という2つのパートから構成されています。
(1)は、環境省が福島県内で行ってきた環境再生事業と今後の課題について説明するところから始まりました。
↑除染作業により出てきた除去土壌が、一時的に集められ、保管されている中間貯蔵施設。敷地面積は16平方キロメートルにも及び、渋谷区とほぼ同じ大きさになります。
↑中間貯蔵施設が立地している大熊町・双葉町の住民の方々には、中間貯蔵施設の受け入れの際に重い決断をしてもらいました。復興のためにも、県外最終処分は解決すべき課題であります。
↑大量の除去土壌の県外最終処分を実現するためには、再生利用を行い、最終的に処分する量を減らす必要があります。
(2)はまず、開沼氏進行のもと、登壇者による対話セッションが行われます。また、対話に先駆けて、事前に多数寄せられた質問への回答がなされました。
↑ファシリテーターの開沼氏。
↑高村氏による放射線と健康影響についての解説。
皆さんが一番気になるのは安全性についてだと思います。放射線は危険で、体に悪影響を及ぼすイメージが強いでしょう。
↑しかし、私たちは胸のレントゲン写真を一度撮影すると、0.1mSvの被ばくをします。また、CT検査をすると、5~10mSvの被ばくをします。自然放射線もあるため、被ばく線量が全くないというわけではありません。
↑では、どのくらいの放射線が健康に影響を及ぼすのでしょうか。放射線の線量が100mSvを超えるとガンになるリスクが高まります。しかし、100mSvよりも低い線量では、ガンのリスクが小さすぎるあまり、証明することができません。
除去土壌を扱うときの放射線の線量の基準は年間1mSvとなっています。これは、100mSvよりもなるべく少ない被ばく線量に抑えるために、様々な研究で明らかになった事実をもとにして、このような基準になっています。

↑回答する遠藤氏。原発の事故で特別になった場所が、特別でなくなることが復興ではないか、という発言が印象的でした。
その後は、会場・オンラインで参加された方々の声をもとに、登壇者と参加者の対話セッションが行われました。
会場に用意されたボードに参加者の声が書かれた付箋が貼られ、その付箋に対して登壇者が回答していきます。

↑除去土壌をそのまま再利用するイメージを持っている人が多いのではないかという声がありました。
↑再生利用するのではなく、県外に貯蔵施設を作るべきだと考える人もいました。

↑「30年経過した除染された土の放射線量は小さくなるという認識は正しいか」という質問に対して、「正しい」と回答する佐藤氏。
などなど、様々な対話がなされました。ここで紹介したものは対話の一部ですので、気になる方は動画をチェックしてくださいね。
そして、最後は今回の総括に入ります。
全9回に及ぶこのような対話フォーラムという形式での「対話」は、今回で一区切りとなります。そのため、登壇者の方々のコメントは、今までのことを踏まえた総まとめのような印象を受けました。それぞれの立場から、福島のこれからについての真っすぐな想いが伝わってきました。どのコメントも心に残っていますが、その中でも特に印象に残っているのが、なすび氏の「福島第一原子力発電所の電力は首都圏に供給するものだった」というコメントです。このことも1つの要素として、除去土壌の県外最終処分について考えていきたいですね。
↑コメントをするなすび氏。
↑関氏によるグラフィックレコーディング
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の対話フォーラムで印象的だったところを取り上げてみました。
除去土壌の福島県外での最終処分について前向きに考える人もいれば、当然不安に思う人もいるでしょう。ただ、これは福島だけでなく、日本全体で考えていかなければならない課題です。まずは、一人一人が除去土壌について知り、考え、そして誰かと話すことが大事なのではないでしょうか。
私は『福島、その先の環境へ。』のメンバーとして、何かできることがないかとずっと考えていました。今回の対話フォーラムに参加して、私にできることは、福島のために「対話をする」ことだと思いました。誰かに話してみることで、福島の課題について知ってくれる人が増えると思います。まずは家族や友人に、福島について話してみようと思います。そして、これからも環境省のホームページを見るなどして、情報を集め、福島の未来について考えていきたいです。
この記事を読んだ皆さんも、動画を視聴して、ぜひ家族や友人と福島について話してみてください。
文:清水彩由(学窓ラボ)
編集:学生の窓口編集部
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