好きが仕事に直結。P&Gが仕掛けた大学生向けビジコンが優しくて厳しかった
どうも! わりとNHK的と言われることの多い、編集部のぱいんです! 夜のEテレが好きです。ときどき外に出かけて行ってイベントの取材とかしています。
P&G主催のビジネスコンテスト「マーケッターズ・ハイ2019」を覗いてきました。
最近のビジネスコンテストは、就活解禁日よりも前に、学生と接点を持ちたい会社が行う例が増えてきています。
成績優秀者にはES免除や二次面接からといったように、就職活動において有利な権利が得られることが多くあります。中にはその場で内々定を出しているという噂も。
今回のビジネスコンテストに興味を持ったのが、そのような“採用”をちらつかせるワードがないこと。”大学1,2年生対象のビジネスコンテスト”という冠を付けており「グローバルに活躍する人材の育成」が目的です。
「リアルなビジネスの機会に触れていただくことで、学生の皆さまが未来を考えるきっかけとなるよう願っております」と言われたら、学生にさまざまな“きっかけ”を届けたい学生の窓口編集部としても一緒に応援したくなる取り組みです。
とはいえ、就職活動の早期化はどんどん進んでいくだろうと見込まれています。
そんな中行われる大学1,2年生向けビジネスコンテストと言えば、早くも囲い込みが行われるのでは?という邪推も働きますね。
と、いうわけで、実際の現場を見に足を運ぶことにしました。
4組に絞り込まれ行われる決勝プレゼン
行われていたのは、事前の審査を経て本選考発表に進んだ15組のチームを、4つの部屋に分けての予選プレゼンと、そこで最も優秀だった1組ずつ、計4組が全参加者を前にしての決勝プレゼンを披露しました。
今回のビジネスコンテストのお題は、「P&Gの中の4ブランドの製品を対象とした、大学生の新規購入者を獲得するマーケティングプランを作成せよ」というもの。
決勝4組のプレゼンは、大学生にとって身近なフリーペーパーを使う案や、親からの仕送りに目を付けたキャンペーン展開を行う案、体育会系の部活を対象とした案など、それぞれ違った目の付け所で展開。
全力を尽くす学生チームと、まだ足りないを突き付ける審査員
決勝に残ったチームのプレゼンは、どれも学生でここまで深く考えるのか、という驚きが1番。仮説立てからマーケット調査、売るまで戦略まで、しっかり時間をかけて練られてきたのが見て取れました。
そして、2番目に驚いたのは審査員からのフィードバック。マーケティング強者として業界で知られるP&G社員さんからの本気の質問やフィードバックがあり、近くにいた取材者の中からは「えげつない」という声もささやかれるほど。
それもそのはず、今回のビジネスコンテストで最も重視されるのが“実行性”。優勝チームには300万円の予算が与えられ、P&G社員と協力して進めていくことになっています。
単に気合の入ったプレゼンを披露してはい終わり。おめでとう。ではありません。
大学1,2年生向けだからこそ、早くにビジネスの世界を肌で感じてもらって、意識をアップデートさせていきたい、という本気の育成意識が審査員からビシビシと発せられていました。
優勝は制約の中で最もスケールの大きさを感じさせたチームに
学生チームも審査員も気合の入った熱い戦いを制し、優勝に輝いたのは複数の大学の学生が集まった混成チームのプレゼン。「P&G新生活応援キャンペーン~仕送りでつながる親子の絆~」と題した、これまでにない商習慣の定着を狙ったプランです。
選定理由は、実現可能性もしっかりあり、かつP&G社員の中からはこれまで生まれてこなかった“仕送り”という目の付け所。
そして、うまくいった場合のスケールの大きさが特に評価されたようです。
惜しくも優勝を逃したチームからは、「実現性を重視しすぎてしまって、これまでにない発想や大きなスケール感にまではたどりつけなかった。」という声。
優勝チームは、4月から今回のマーケティングプランを実行していくのだそうです。みなさんの目につくこともあるかもしれませんね。
参加者は“就活狙い”だったの?
イベントが終わり、事前に気になっていた“就活”について学生に聞いてみると
「あまり意識になかった。ゼミでマーケティングを勉強しているので、マーケに強いと言われるP&Gの人と直接話せることに魅力を感じて参加した。」という回答もあれば、
「就活だけで参加したわけではないが、今回のビジネスコンテストを経験して、自分の領域ではこういう人達と競うのかというイメージがついて刺激になった。」という意見も。
なかには、すでにビジネスを展開していて、力試しかつ、予算をもらってマーケティングをやらせてもらえることに価値を感じて参加した人もいました。
このように全体を通してみると“マーケティング好き”が集まった場になっていて、よくテレビでも見るロボットコンテストやクイズ大会などと同様に、それが好きという人が集まった印象でした。
良い就活は、やらされ感から脱出を
やはり自分の好きを仕事にできるのは、理想的な将来と言えるのではないでしょうか。これから就活を始めなければいけないと思っている人の多くは、仕事に対する漠然とした「やらされ感」があるかもしれません。
やらされ感の原因としてひとつ、仕事に対する実体験の少なさというのはあるでしょう。普段から仕事のことを勉強している学生に比べれば、多くの学生にとって就職後のことは知らないこと。P&Gも「リアルなビジネスの機会に触れる場をもっと」ということを、今回のイベントで掲げるメッセージのひとつにしています。
自分がどんな仕事をしているのかイメージがわかない、ネガティブなイメージが強いという人は、楽しそうに仕事している大人や楽しそうに生きている大人を探して話を聞いてみてください。きっと今までと違った景色が見えてきますよ。