【朝日新聞の先輩社員】社会部 記者:國吉美香さん 2ページ目
國吉さんの「ガクチカ(学生時代一番力を入れたこと)」は?
学生時代に力を入れたことは2つあります。1つは、学生だけで運営している「東京学生映画祭」のスタッフだったときのことです。他の大学の方々と、学生自作の映画を上映してコンペをしたり、映画界の有名な方をゲストに呼ぶために企画を立てて交渉したり、映画祭開催のためのあらゆることを学生たちだけで運営していました。もう1つは、大学のゼミ活動です。ケーブルテレビに月一度放送する10分間の番組を作っていました。大学がある多摩地域について、企画から取材交渉、実際の取材から編集まで、一貫して行なっていました。
仕事で役立っている大学時代の経験は?
ゼミでの活動が、結果として今の仕事に役立っているかもしれません。番組作りのための取材は、基本的に初対面の方に話を聞くので「なぜこのような取材をしているのか」という趣旨から説明しなくてはなりません。当時の私は、初対面の人と積極的に話せるようなタイプではなかったので、最初は自信がなく、うまく説明ができませんでした。でも、地域のおじいちゃんたちが、わざわざ時間をとってくれて、学生相手に話してくれることを考えると、きちんとあいさつをすることや、ハキハキとわかりやすく話して企画の趣旨を伝えなくてはと思うようになりました。
ゼミ活動では頭で考えているイメージを具体的に映像にするために、一番何を伝えたいのかを繰り返し考えました。そうして取材をして完成した番組で、制作に協力してくださった方々が喜んでくれるのを見ているうちに、人の話を聞くのがだんだん楽しくなってきたんです。結果として、そのときの経験が今の仕事にも役立っていますし、初対面の人とでも積極的に話をすることができるようになったのはよかったと思います。
就活前にやっておいたほうがいいことは?
就職したい企業や業界が絞り込めているならば、それに関連するアルバイトはしておいたほうがいいと思います。学生のうちは企業に関する知識が足りないのは当たり前ですし、その仕事をしている社会人からしたら面接時は突っ込みどころだらけです。でも、志望している業界や企業のバイトで、その会社の雰囲気や実際に仕事について理解していけば、自分に合うかどうかもわかると思います。面接時にも「あなたとだったら、一緒に働いてみたい」とか「うちの会社のセンスに合ってるな」と思ってもらえるチャンスが増えると思います。また、自分がその企業や業界に入った場合、どんなふうに働くことになるのかを見ることもできるので、やってみてもいいかもしれません。私はアルバイトではなく、「学生記者体験」というプログラム(現在の朝日新聞のインターン「学生1日記者体験」にあたる)でしたが、朝日新聞の記者という仕事を見る機会があったのでよかったです。
実は私、朝日新聞社の春の採用で一度落ちているんです。最終面接で落ちて、すごくショックで……就職活動を辞めてしまいたいなと思ったのを覚えています。でも、自分で思っていた以上に朝日新聞に入りたかったみたいで「もう一回頑張ってみよう」と秋採用を受けて内定をもらうことができました。就活ほど自分のことを考える時期というのは、人生のうちにそうそうないので、自分のやりたいことをじっくり考えるにはいい機会なんじゃないでしょうか。私も就職活動を始めたときは、不安や迷いを抱えていましたが、最後には「もし落ちたら留年してでもいいから新聞記者になりたい」と思うようになっていました。就職活動を通して、大学卒業後に一番何がしたいのかを気づくことができたからだと思います。本気になれれば、あとは黙々と頑張ればいいと思います。
本来は故郷に帰るはずだった國吉さんですが、現在はたとえ留年してでもなりたかった念願の新聞記者となり、充実した日々を送っているといいます。今は、帰る機会が少なくなった故郷のご両親に親孝行をしたいそうですが、たとえ離れていても、國吉さんの努力の結晶の署名原稿を見るたびに、きっとご両親は喜ばれると思います。これからも、記者としてますます活躍していくことでしょう。
趣味:休日の部屋の掃除、物を捨てる。ただ本と漫画は捨てられません
特技:立ち直りが早い
就活で受けた企業:全国紙や地元の新聞、NHKなど8社
志望していた業界:報道に関係する仕事、変化がある仕事
今の会社の魅力:尊敬できる先輩、目指したいと思える先輩がいること
文:イマーゴ
写真:中邨誠
取材協力:株式会社朝日新聞社