「すいません」と「すみません」はどっちが正しい? ビジネスでの適切な言い換え表現を解説【例文つき】

2024/03/27

ビジネス用語

「あ、すいません」「すみませんが、ちょっと今お時間いいですか」

人とぶつかりそうになった時、通路を空けてほしい時、何らかの依頼をしたい時……「すいません」「すみません」はいたるところで話し言葉として聞こえてきます。

しかし、文字になった「すいません」「すみません」は、あまりに見かけません。はたして、文書に使える言葉なのでしょうか。また、ビジネスで使っても失礼にならないのでしょうか。「すいません」「すみません」の意味や言い換え表現を考えてみましょう。

「すいません」と「すみません」の意味・語源

「 すいません」と「すみません」を辞書で調べると、次のような意味があります。

【すいません】
スミマセンの訛。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
【すみません】
「済まない」の丁寧語
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「すいません」は「すみません」の発音が転訛した言葉で「すみません」より砕けた言葉です。また、「すみません」は「済まない」の丁寧語であると分かります。

次に、「済まない」の意味を見てみましょう。

【済まない】
(このままでは終わらない意から)相手に悪く、自分の気持ちが片づかない。申しわけない。謝罪や依頼の時にいう。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

以上のように「すみません」は相手に申し訳ないという謝罪の気持ちを表したい時、何らかの依頼をしたい時の言葉です。また、実際には何かをご馳走になったり、教えてもらったりした時に感謝の気持ちを表す言葉としてもよく使われます。

「すみません」は敬語なの?

謝罪や依頼、感謝の意味で使う「すみません(すいません)」は、敬語としても通用するのでしょうか。

まず、「すみません」は丁寧語にあたり、言葉の上で敬語に分類することはできます。例えば、次のような使い方をよく耳にしますね。

【謝罪】遅れて、すみません。
【依頼】ちょっと、すみません。このドアを開けていてもらえませんか。
【感謝】あ、すみません。ごちそうになってしまって。

丁寧語とはいえ、いずれの用法も「すみません」では軽い印象を受けるのではないでしょうか。「すいません」も然りです。ビジネスシーンで取引先や目上の相手に対して使うには、十分とはいえませんね。

また、意味の上からも謝罪なのか、感謝なのか、どのような意思を伝えたいのかがあいまいになることも多い言葉です。大切な場面で使うと誤解を招くおそれもあるため、的確に伝わる別の表現に言い換えるようにしましょう。

「すみません」のビジネスシーンでの適切な言い換え表現・例文

「すみません(すいません)」は、ビジネスシーンで使うには不十分な敬語です。ポイントは謝罪・感謝・依頼などを、しっかり分かるように述べることです。どう言い換えればスッキリ的確に伝わるのでしょうか。言い換えたい時に使える言葉をさまざまな場面で紹介します。

謝罪の場面で使う時

失敗などの謝罪が必要な場面でうっかり「すみません(すいません)」を使ってしまうと、相手の印象を損なうことがよくあります。あいまいに濁さず、しっかりおわびの気持ちを表すほうが賢明です。

失礼いたしました

つい長居をしてしまった。近くに来たからと約束なしで訪問した……礼を失したと感じた時にメールや電話で使える節度ある言葉です。「先ほどは、すみませんでした」よりも好印象ですが、重大な失敗では使いません。謙譲語である「……いたしました」は、目上の相手にも使える表現です。

先ほどはアポイントもなしに失礼いたしました。お目にかかれてうれしく存じました。

申し訳ございません(ありません)

相手の名前を間違えたり、返信を忘れていたりした時など、しっかり謝罪をすべき場面で使える言葉です。「申し訳ございません」「申し訳ありません」のいずれも丁寧語ですが、「申し訳ございません」のほうが敬度の高い表現です。深く謝罪したい時は、「誠に」「大変」などを前に付けます。対面・メール・手紙のいずれでも幅広く使えます。

誠に申し訳ございません。すぐに返信をお送りしたつもりでしたが、エラーで戻ってきておりました。

お許しください

相手の許しを請う表現です。面識のない段階で手紙やメールを送る時に、非礼を詫びる表現としてよく使われます。

ぶしつけにメールをお送りする失礼をお許しください

お詫びいたします

「お詫びをする」という意味の謙譲語です。さまざまな場面で幅広く使える表現です。文面では「お詫び申し上げます」のほうがかしこまった印象です。

このたびはご迷惑をお掛けいたしました。心よりお詫びいたします(申し上げます)。

依頼の場面で使う時

依頼の場面で「すみません」と述べるのは、どんな場面でしょうか。依頼そのものより、言葉を切り出す時に使われることが多いでしょう。

恐れ入ります

「無理を言って、すみません」という表現は気の置けない間柄でよく使われます。フォーマルに言い換えたい時は「恐れ入ります」を使ってみましょう。恐縮しつつも依頼するイメージです。

恐れ入ります。ご無理申します。

失礼いたします

通路を空けてもらいたい、立ち止まってもらいたいなどに「すみません」を使ったことがある人は多いでしょう。軽い依頼と捉えられる場面で、「すみません」の代わりに声をかける言葉として使えます。

後ろから失礼いたします

お忙しいところ、恐縮です

「すみませんが、この後時間よろしいですか」は相手の時間をとるような対面の場面でよく使われる言葉です。しかし、相手によっては失礼になることがありますね。特に目上の相手に対しては、恐縮する気持ちを伝えつつ依頼の言葉を述べましょう。

部長、お忙しいところ恐縮ですが、この後少々お時間をいただけないでしょうか。

感謝の場面で使う時

お茶を出してもらった、先にコピーを取らせてもらった……本来お礼を伝えるべき場面でも「すみません」はよく使われます。口ぐせになっている人も多いかもしれませんが、好意で何かをしてもらったことに対しては、しっかり感謝を告げるほうが相手もうれしいはず。

ありがとうございます

寒い時にカイロがほしい、自販機前で小銭が見つからない……そんな時近くにいる人から「はい、これどうぞ」と配慮してもらったことはありませんか? 思いがけないタイミングに「あ、すみません」と言いがちですが、お礼を言う絶好のタイミングです。「助かります」「うれしいです」などと併用しても良いでしょう。初対面の相手から目上の相手まで幅広く使うことができます。

ありがとうございます。助かります。

ありがたく甘えさせていただきます

「先に帰っていいよ」「ここは払わなくていいよ」……上司や目上の人の許可や配慮のおかげで早めに帰らせてもらったり、ごちそうになったりという場面で使える敬語です。「……させていただく」は頻発すべきではありませんが、思いやりをありがたく受け止めるタイミングで次のように使えます。

ごちそうさまです。ありがたく甘えさせていただきます

大変助かりました

仕事がなかなか終わりそうにない時先輩に手伝ってもらった。上司のサポートで早く終わることができた……謝罪とも感謝ともつかないような場面です。相手の時間を取ってしまう申し訳なさからつい「すみませんでした」で済ませてしまいがちです。謝罪の気持ちだけでなく、こんな場面でこそ感謝の気持ちをしっかり伝えましょう。

お手間をかけて申し訳ありませんでした。おかげさまで大変助かりました

まとめ

「すみません」「すいません」は、誰もが日頃よく耳にし、よく使う言葉の筆頭ではないでしょうか。今回は、ビジネスで使う際の言い換えを紹介しましたが、根っこにある「すみません」の気持ちがとても大切だと感じました。

もともとの意味である「このままでは終わってしまっては相手に悪い。自分の気持ちが片づかない。申し訳ない」という気持ちや思いやりをその都度、感謝や謝罪の言葉に変えられたら素敵です。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者プロフィール】
前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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