複利とは?若い世代におすすめの「時間を味方につける」資産運用の仕組み

更新:2023/12/13

投資・ローン

資産運用は、将来の生活の安定を図る上で非常に重要な要素です。その中でも、複利という仕組みは若い世代にとって特に効果的です。

この記事では、複利とは何か、複利と単利の違い、複利の計算方法、複利運用の注意点、期間別資産運用シミュレーション、そして初めて資産運用を始める際に何から始めればよいのかについて解説します。

さらに、NISAや変額保険などの資産運用ツールを活用した資産運用パターンについても触れます。

複利と単利とは?

資産運用において、時間を味方につけることは非常に効果的です。なぜ時間を味方につける事が重要なのか理解するために、まず複利と単利の違いを明確にしましょう。

複利とは

元本に対して利息や利益が加算され、その合計額に対してさらに利息や利益が計算される仕組みです。つまり、元本が成長するにつれて利益も増加し、成長率が上昇します。これは、時間が経過するにつれて資産が急速に増加する要因となります。

単利とは

元本に対して一定の金利や利益が加算され、その合計額がそのまま維持される仕組みです。元本が成長しても、利益は一定のままで増加しません。時間が経過しても利益が蓄積しないため、複利に比べて成長が遅い特徴があります。

単利と複利の計算方法とは

 

(出典:FP Office)


ここで、単利と複利の簡単な計算方法をご紹介します。

単利での運用の場合

元本×(1 + 年利率 × 運用年数)

例:100万円を年利10%で3年間運用する場合、100万×(1+0.10×3) = 130万円

複利での運用の場合

元本 × (1 + 年利率)^運用年数

例:100万円を年利10%で3年間運用する場合、100万×(1+0.10)3 = 133.1万円

複利運用の注意点とは?

単利より資産の増加スピードが速い複利運用ですが、注意すべきポイントもあります。

利率の重要性

運用において利率は非常に重要な要素です。将来の資産を大きく増加させるには、高い利率を維持できる商品を選ぶことが大切です。まずは、その利率か固定なのか変動なのかをチェックしましょう。

固定利率の金融商品例としては、定期預金や国債、積立型の保険などがあります。変動利率の金融商品例としては、投資信託や利率変動型の個人年金保険などがあります。

長期間の投資

複利の効果を最大限に活かすには、長期間の投資が必要です。次項のシミュレーションのように時間が経過するにつれて、複利の効果が顕著になります。短期で利益が出た時に利益確定(途中解約など)することも投資においては重要ですが、一般的に短期投資はリスクが大きくなる傾向があるので注意してください。

年齢別資産運用シミュレーション

以下は、同じ条件で毎月5万円を年率5%の複利で運用した場合の年齢別のシミュレーション結果です。

(出典:FP Office)

(出典:FP Office)


Aさん(30年間積立): 約4181万円(元本:1800万円)
Bさん(20年間積立): 約2078万円(元本:1200万円)
Cさん(10年間積立): 約788万円 (元本:600万円)


これらのシミュレーション結果からも、早く資産運用を始めることの重要性が明らかです。時間を味方につけて複利を活かすことで、将来の経済的な安定を築くことができます。

まずは何から始めればよい?

若い世代の方は収入もまだ低く、預金も少ないと思います。時間を味方につけるためにまず何から始めればよいのか、解説したいと思います。

1.緊急予備資金の構築

まずは緊急時に備えるための緊急予備資金を構築しましょう。3〜6カ月分の生活費をカバーできるように資金を用意します。手元の予備資金が無ければ、運用資産が目減りしたタイミングで取り崩さなければならない必要が出てくるかもしれません。予備資金があれば、換金タイミングの調整など行いリスクを回避することができます。

2.積立投資

定期的に一定額を積み立てて投資を開始しましょう。これにより、複利の効果を活かすことができ、ドルコスト平均法によるリスク低減効果も得られます。

具体的な方法としては、iDeCoやNISAなどの制度を活用すると良いでしょう。特に2024年からの新NISA制度は運用益が非課税(通常は利益の20・315%が課税)となり、制度が使える期間も恒久化となりますので、若い方には特におすすめです。

一方でiDeCo(確定拠出年金)も長期積立投資を行う制度ですが、積立金が60歳まで引き出せない点に注意してください。

3.金融教育

資産運用についての知識を高め、リスクを理解するために金融教育を受けることが大切です。最近では金融機関などで無料のセミナーなども定期的に開催されているので、時間のある時に参加してみるのもいいでしょう。

まとめ

時間を味方につけて複利を活かす資産運用は、若い世代にとって特に有効です。複利と単利の違い、計算方法、注意点、年齢別シミュレーション、などまずは資産運用の基本を理解し、少額からでも資産運用を始めて、将来の安定した財政を築く一歩を踏み出しましょう。時間が味方になれば、資産は成長し、将来への不安も軽減されるでしょう。

(石井 悠己也)


※画像はイメージです

【著者プロフィール】
石井 悠己也(FP Office株式会社)

ファイナンシャルプランナー。新卒で会員制の住宅メンテナンス会社に入社し、最年少で支店長に就任。 2010年から外資系金融機関にてコンサルタントとして従事、教員を中心に2000件以上の相談実績を重ねる。 その後、2021年よりFP Office所属。 住宅から金融、その他暮らしに関する幅広い経験と知識を活かし、顧客に寄り添ったわかりやすい説明には定評がある。 得意分野は、コンサルティング力を活かしたリスクマネジメントとアセットアロケーション。

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