議事録の作成を頼まれたけど、はじめてで要領がわからず戸惑ってしまったという経験はないでしょうか。議事録は会議の内容を文字にするだけでなく、見やすくわかりやすくまとめる必要があります。ここでは、議事録を上手に作成するポイントとコツを紹介します。
まずは議事録の目的を改めて確認していきましょう。あなたが考える議事録の目的は、下記3つの項目を押さえられていたでしょうか? チェックしてみてください。
会議で決定した事項でも、自分のタスクではない仕事は忘れがちなもの。そこで「あの案件、そういえば会議で誰がやるって決まったのだっけ?」というときに振り返ることができるツールとして使うことができます。また、重要な発言記録も押さえられているため、過去を振り返って確認が必要なときにも役に立ちます。
会議では、スケジュールが重複したり、他に優先すべき対応事項ができたりと、欠席の人が出ることも日常茶飯事。会議に出てくれる人が概要をまとめてくれていれば、会議に出ていない人でも情報共有することができます。組織をスムーズに運営・管理していくには欠かせないものといえますね。
関係者の多い会議の場合、決定事項を全体が把握しきれていないケースもあります。全員が会議の流れ、全体像をすべて把握しているとは限らず、自分が主体となる会議の一部分しか追いきれていない、ということは往々にしてあるものです。
誰でも・いつでも・決定事項がまとまっているファイルにアクセスができる状態を作っておくことは、スムーズな組織運営にも繋がってきます。そのため、みんなの共通認識となる議事録を作れることは大変重要なスキルといえます。
議事録を書くときにフォーマットがある場合もありますが、参考のために議事録で押さえておきたい項目を紹介していきます。下記の内容がしっかり書かれていれば、「議事録をしっかり書ける人」という認識をもってもらうことができるはずです。
会議名は会議の要旨を表しますので、何のための会議かをひと目でわかるようにするために必要です。
開催日時を起点として「いつまでに」という決定事項が決まるケースもあるため、開催日時は欠かせません。
開催場所については、その場所の設備環境や収容人数などを見ることで、その会議の重要性がわかるという副次的な効果もあります。
社内の場合、同じグループ内などで欠席者の方が少ない場合は欠席者だけを書くのもよいでしょう。また部署を横断した会議などであれば、部課名やお名前を書いていくのが当たり前です。社外の場合はメールと同じように社名、役職、名前と社外に共有する文書ということも考えて丁寧な言葉遣いで対応しましょう。
会議が何のために行われたのか、会議の議題を書いておきます。
この会議が開かれた目的を把握できるように書いておきます。
最も重要ともいえるのが決定事項です。この会議で決定した内容を明確にするために、決定事項だけをまとめて書いておきます。
決定させようと思って話し合いをしたものの、事情があって保留になったり検討になったりした事項をまとめておきます。これをまとめておくことで、次のアクションが具体的に決まります。
他に特筆すべきものがあれば書いておきます。
次回会議がある場合は、次回の開催日時や場所も書いておきましょう。
議事録の書き方では、ここでご紹介する6つのポイントを押さえましょう。そうすれば、誰もがあなたに頼みたくなるような議事録ができ上がるはずです。
まずは、フォーマットとなるものを作っていきましょう。企業によってフォーマットをもっているケースもありますが、もっていない企業もあります。フォーマットは本記事の最後に紹介しますので参考にしてみてください。
会議は「何のために開かれるのか」「何ができたらゴールなのか」ということを議事録担当のあなたが理解しておきましょう。これがわかっていないと、重要なポイントを聞き逃してしまう可能性があります。
会議には進行役となるファシリテーターがいるため、話が脱線しにくいはずです。しかし、会議に慣れていないと決定事項をよく理解できない場合があります。思い込みで議事録を書いてしまうと情報を正確に伝えられないことになります。不安に感じる場合は「◯日までに◯◯さんが◯◯するということでよろしいでしょうか」などのように、決定事項の確認をするようにしましょう。
決定事項が書かれている議事録は多いですが、意外と漏れていることがあるのが保留にされたものや検討事項。決定事項よりも保留や検討事項などのほうが忘れられやすいので、保留も検討事項も期限とその担当者を確認するようにしましょう。そうすると保留や検討事項案件でも仕事がスムーズに進むようになります。
重要な発言については、誰がどんな発言をしたのかということを書いておきましょう。基本的には要旨を伝えられれば問題ないので、一言一句を書く必要はありません。
議事録はその会議に出られなかった人も含めて、すぐに共有することが必要です。できればその日中に送りましょう。遅い時間の会議の場合は、遅くても翌日午前中などには共有できるようにするのが大切です。
議事録は、決定事項や検討事項・保留事項などを伝える重要な書類です。間違いがあってはいけませんので、自分だけの確認ではなく第三者、できれば上司に確認をしてもらうようにしましょう。議事録を頼まれたときには、「送る前の最終的な確認は◯◯さんにお願いして」という風にいわれるケースが多いため、指示通りに従ってください。また、ここで受けた注意は二度と受けないようにするために、メモをして身につけておきましょう。
議事録をうまく書くにはメモを取ることが大切です。メモは初めからうまく取る必要はありません。まずは会議中に行われた会話の中で、自分なりに必要だと思ったものをメモするようにしましょう。その後、録音した内容を元に編集するようにします。書き漏れたこと、書き過ぎた箇所などを編集していきます。
会議であれば議題が決まっており、議題が決まっていれば書くべきこともある程度は決まっています。ですので、議題のポイントに関してメモを取っていきましょう。たとえば営業会議なら、前期の売上高、今月の受注額、来月の目標受注額などについて議題が設定され、議論されています。そのため、メモも議題のポイントに沿って取っていくと書きやすいでしょう。
その他、議事録を書く際の注意点を紹介します。
議事録は基本的にテキスト情報で記載することが多いですが、文章だけでは伝わらないケースもあります。その際は写真を撮影しておき、議事録に添付して送るのがおすすめです。
その際会議を邪魔しないように、シャッター音が鳴らないもので写真撮影をしましょう。
慣れないうちは会議の重要部分を聞き取れず、そのまま流れていってしまい追いつくのに必死になってしまうということもあります。そうならないように、できるだけICレコーダーで録音をしていきましょう。
「ではそういう方向性で進めましょう」など、少し不明確な決定の仕方をするケースが会議ではありがちです。会議に慣れてくれば、決定の方向性も自分で把握することができるようになるのですが、わからない場合はその場で聞くようにしましょう。
わからないまま議事録を作ると、事実とは違う形で情報が伝わってしまう可能性があります。会議に出た人と同じ事実がしっかり不参加者にも伝わるようにまとめておくことが、議事録担当に求められているのです。
ここまで説明した内容を元に、議事録の基本フォーマットと例文を紹介します。
●会議名:○○会議
●開催日時:2021年〇月×日
●開催場所:会議室
●出席者:○○部長、○○課長、○○係長、○○さん、○○(議事録作成者)
※他の企業の参加者がいる場合は企業名、他部署の参加者がいる場合は部署名も明記
※欠席した場合はその旨を記載
●会議の議題:(会議の議題を記載)
●会議目的:(会議の目的を記載)
●決定事項:(会議において決まった事項を列挙して記載)
●保留、検討事項:(今後の課題や新たな提案内容があれば記載)
●その他連絡事項など:(何かあれば記載)
●次回の開催日、場所:(決まっていれば記載)
このフォーマットを元にした例文を見てみましょう。例文では販売促進に関わる営業部と製品部が行った会議についての議事録となっています。議事録作成者は製品部の社員です。
●会議名:販売促進会議
●開催日時:2021年6月1日 10時00分~11時30分
●開催場所:第一会議室
●出席者:営業部 広尾部長、岸谷課長、高橋さん(欠席)
製品部 佐藤部長、鈴木課長、山崎(議事録作成者)
●会議の議題:新商品○○の販売促進計画について
●会議目的:下期における新商品の受注件数を高めるため
●決定事項:
1.自社メディアにて新商品に関する記事を50件掲載する(8月末日まで)
2.営業部メンバー3名を新製品販促に集中させ、40件の受注を目指す
3.営業部メンバー全員が商談にて新商品○○のサンプルを配る
4.商品部が新商品のサンプルを作る(6月末日まで)
●保留、検討事項:現時点において40件の受注の達成はギリギリの状況
●その他連絡事項など:
1.サンプル完成次第、社内SNSにて連絡すること
2.営業部の高橋さんには、本会議の決定事項を岸谷課長より説明すること
●次回の開催日、場所:7月1日 10時00分~、第二会議室
新人が任されることが多い議事録。このタスクをきちんとこなすことができれば、次の仕事、その次の仕事と、どんどんステップアップをすることができるはずです。あなたの能力を開花させるためにも、ぜひ今回の記事を参考にして議事録を完璧にこなせるように努力してみてください。
監修・文/山崎英理夫
人事コンサルティング歴4年、人事歴8年。人事コンサルタントとして教育研修のプログラム開発、人事制度診断等を提供。また、企業人事として新卒・中途採用に従事し、人事制度構築や教育研修の企画・運用など幅広く活動。この経験を活かし、人材関連の執筆にも数多く取り組む。
http://erinanase.com/
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