住民税決定通知書とは? もらえる時期と内容・用途を知ろう

更新:2022/12/29

税金・年金

「住民税決定通知書をもらったけど、一体何に使うの?」

勤務先の会社から配付される住民税決定通知書。何となくもらったはいいけれど、改めて考えると何に使うものなのか、重要なものなのか、気になったりしますよね。

結論からいうと、住民税決定通知書は住宅ローン審査などで提出を求められることがあります。それからふるさと納税をしている方は、控除額の確認にも使うことができます。

たとえ住宅ローンなどの予定がなくとも、あなたの「年収」や「納税額」が書かれた書類ですからきちんと保管することが大切。ここでは会社勤務の方(サラリーマンの方)向けに「住民税決定通知書」の基本や何に使うのか、紛失時の対応についても解説します。

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「住民税決定通知書」の基本を押さえよう

住民税決定通知書とは、住民税の徴収に先がけて税額をお知らせしてくれる書類のことです。

「あなたの住民税は、このように課税されることに決定しました。6月から毎月この金額が給与天引きされますのでご承知おき下さいね。」と通知しているわけです。住民税の税額だけでなく、その計算の根拠となった所得や所得控除、税額の内訳なども詳細に書かれています。

正式名称はもう少し長く、「給与所得に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」となっています(自治体により多少異なることも)。発行するのはお住まいの自治体ですが、勤務先の給与担当部署などを経由してあなたの手元に届くしくみ。

ちなみに自営業やフリーランスの場合は少し名前が異なります。「市民税・県民税 税額決定兼納税通知書」など、こちらも自治体により多少違いがあるようです。

そもそも住民税とは

住民税とは地方税の1つで、地域ごとの行政サービスに関する費用をまかなうもの。例えばゴミ処理・保育・教育・福祉など私たちの生活に密着した行政サービスに関わっている税金です。

住民税は正確には「市町村民税」と「道府県民税」に分かれます(東京都の例外あり)。具体的な税額は前年の所得を基に計算され、給与からの差し引き(=天引き)により納税していくことになります。

住民税の「特別徴収」って何?

先ほど正式名称のところで「特別徴収税額の決定通知書」とありましたが、この「特別徴収」とは一体何なのでしょうか。

実は、住民税の徴収方法には「普通徴収」「特別徴収」の2種類があり、給与所得者であるサラリーマンの場合には「特別徴収」となるのが一般的。企業に勤めてお給料をもらうサラリーマンであれば、毎月の給与から所得税や社会保険料に併せて住民税も天引きされることになります。会社が給与から住民税を引いて本人の代わりに納付しているわけですが、このしくみを「特別徴収」といいます

一方、フリーランスや自営業者の場合には、給与天引きではなく自分で住民税を納付します。こちらを「普通徴収」といいます。

「住民税決定通知書」の配付時期は5月頃

住民税決定通知書の配付時期は、ずばり5月頃です。

サラリーマンの場合、住民税の徴収は6月スタートの1年間、月々分割払いです。当然ながら、徴収開始の前には税額などの通知が欲しいところですから、通知書は5月頃に給与明細と一緒に配付されることが多いです。あるいは給与支給日との兼ね合いで6月になることもあります。

フリーランスや自営業の場合はどうかというと、「市民税・県民税 税額決定兼納税通知書」が届くのは6月初旬頃。自分で納付することになるため「納付書」も同封されますが、口座振替にすることもできます。

「住民税決定通知書」は何に使うの?

住民税決定通知書 何に使う

住民税決定通知書を外部から求められる代表的なケースは、住宅ローン審査です。

住宅ローン審査においては「その人の収入がどれだけあるか」が重要なポイント。そこで使われるのが、自治体が発行する公的書類である「住民税決定通知書」です。そこには住民税額はもちろん、前年度の年収や所得まで記載されているためです。

そのほか、近年人気のふるさと納税を利用している方は、住民税がきちんと控除されているかの確認に使うこともできます。

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は普段確定申告を行わないサラリーマンの方を対象とした便利な制度。この制度を利用する方は、確定申告もないため、住民税決定通知書にて控除額を確認することになります。

具体的には通知書の中の「税額」→「税額控除額」をチェック。あるいは摘要欄に詳細が記載されることもあります。
※税額控除額の欄は、ふるさと納税による控除額と完全に一致しないことも。特に2,500円金額がずれることが多いようですが、これは問題ありません。

「私は住宅ローンもふるさと納税も利用していないけど…?」

近々、特に利用することはなさそう、という方は多いでしょう。ですが、あなたの年間給与が記載されたプライベートな書類であることに変わりありません。利用する予定はなくとも、失くさないように給与明細と一緒にするなどして大事に保管しておきましょう。

また本来の目的は「税額の通知」なので、あなたがこれから納める税額についてチェックすることも忘れないようにしたいものです。

「住民税決定通知書」のチェックポイント

住民税決定通知書が届いたら、そのまま保管せずに目を通して金額等を確認しておきましょう。

Point1
最初にチェックしたいのは「給与収入」です。
あなたの収入が給与収入だけの場合は、この欄がいわゆる「年収」となります。昨年1年間の年収をまずは押さえておくといいです。

続いて、所得から差し引かれた所得控除(社会保険料、生命保険料、扶養控除など)が記載されます。細かな金額を読み解くのは難しいですが、あなたに関係するはずの欄にちゃんと記載があるかどうか確認するといいでしょう。

Point2
必ず見ておきたいのは「納付額」です。
6月から天引きされる予定の税金の金額が記載されています。天引きだと普段はあまり意識しないかもしれませんが、「これだけ納税しているのだ」と認識しておくのも大切なことです。

「住民税決定通知書」を紛失!どこでもらう?

万一、住民税決定通知書を紛失してしまった場合の対処法について解説します。

5月前後の給与明細の中をチェック

住民税決定通知書は普段あまり必要としない分、実はもらっていたのに気づかないケースが多発しています。まずはご自身の手元に本当にないのか、再確認されることをおすすめします。

給与明細を封筒に入れてもらっている場合は、その封筒に入っていないか、5月前後の給与明細に重なっていないかチェックしましょう。

職場の給与担当へ確認

やはり手元にはない、という場合は職場の給与担当部署へ確認です。毎年の決まった業務として必ず配付しているはずですが、もしかすると会社の方で止まっていることもあるかもしれません。

住所のある市区町村で所得課税証明書をもらう

自分の手元にも職場にもない、ということになると「再発行できない?」と考えてしまいますね。ですが実は、住民税決定通知書は再発行してもらうことはできません。

代わりの書類として、市区町村にて「所得課税証明書」を発行してもらえます。所得課税証明書も全く同じ内容が記載されていますので、紛失した時の代用として覚えておくと良いでしょう。

源泉徴収票を代わりに使うことはできない?

「源泉徴収票も年収が分かる書類だから代わりに使えない?」

源泉徴収票とは「所得税」にかかわる書類で、年末調整のタイミングで会社から発行されるのが一般的です。この源泉徴収票と住民税決定通知書は、確かに「年収を確認できる書類」という意味で似ています。

ですが、住宅ローン審査の実務においては、源泉徴収票を住民税決定通知書の代わりとして認めることはあまり無いようです。代わりというよりもむしろ両方提出しなければならないケースが多いです。

代わりとして使えるのは、先ほどご紹介した「所得課税証明書」の方。手数料はかかってしまいますが、こちらを取得されるのが賢明です。

まとめ

今回は住民税決定通知書について詳しく解説しました。外部に提出するのは住宅ローン審査など限られた場合のみなので、該当しない方は皆ご自身で保管することになります。

そして本来の目的は、住民税の税額の通知をすること。どれだけ収入があって、どんな計算が行われて、税額がどれだけになったか。これらを徴収に先駆けて教えてくれる書類なのです。手元に届いたら、「これだけ納税するのか」と認識しておくことが大切。これをきっかけにふるさと納税をやってみてもいいかもしれませんね。

文:マイナビ学生の窓口編集部

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