「取り急ぎ」は「とりあえず急いで」という意味で、主にビジネスメールなどで使われることの多い言葉。とても便利な言葉ですが、実は相手や使い方によっては失礼にあたることも…!
今回は「取り急ぎ」の正しい意味、どんなシーンで使うのか?マナー違反となるのは?目上の人や上司には使える?といった疑問にお答えします。失礼に当たらない使い方の例文や類語、英語表現まで解説していきます。
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「取り急ぎ」とは「とりあえず、ひとまず急いで〇〇します」といった意味で使われる言葉です。
ビジネスメールにおける「取り急ぎ」は、「急いで分かる範囲で現状を伝えたい」「何はともあれ急いで伝えたい」「事情により、ひとまず急いでこうしている」といったニュアンスが含まれていることが多いです。
「取り急ぎ」がよく使われるのは具体的にどんな時なのでしょうか。ビジネスメールを想定して、よく使われるフレーズと合わせて3パターンご紹介します。
1つ目は「用件をスピーディーに伝えたい」時です。「何かが決まった」「変更になった」「メールを受け取った」など、ある用件だけを急いで伝えたい時に使います。
このとき、本来伝えるべき情報がまだ全て揃っていない、あるいは他にやりとりしていた案件の方の回答ができていないなど、さまざまな事情が考えられます。そこで「取り急ぎ」を使うことによって、急ぎの部分だけ絞り込んで送っています、といったニュアンスを伝える事ができるのです。ですからメールの体裁としては、用件だけに絞り込んだ簡潔な内容となっていることが多いです。
2つ目は「まだ詳細が決まっていない」時です。1つ目と重なる部分もありますが、「まだ詳細は決まっていないが、分かる範囲で伝えなければならない」時などに使います。
具体的には、会合の詳細は未定だが、日取りなどの概要だけ急いで伝えたい時に「取り急ぎ、ご連絡まで」と最後に記します。
あるいは、詳細が決まっておらず本来ならもっと順序立てて決めていくべきところ、何らかの事情で急いで対処しなければならない時に「取り急ぎ、別の部署から応援に入ってもらっています。」といった形で使います。
そして3つ目は「お祝いの気持ちをいち早く伝えたい」時です。本来ならきちんと対面してお祝いをすべきところ、距離やスケジュールの関係で難しい、そんな時にも取り急ぎを使うことができます。
この場合「後日改めてきちんとお祝いをしたいが、何はともあれ気持ちだけ伝えておきたい」といったニュアンスが込められています。
「取り急ぎを目上の人や上司に使うのは失礼にあたるのではないか…?」
このように心配される方は多いようです。ですが、結論からいうと「取り急ぎ」は目上の人や上司にも使える言葉です。
ただし、注意点もあります。それは「取り急ぎ〇〇まで」という表現です。「取り急ぎ〇〇まで」というフレーズは、実は敬語表現とはいえません。その上「取り急ぎ」は「不十分な準備」や「急場しのぎ」のようなニュアンスにもとれるため、使う際には「取り急ぎのご連絡で失礼いたします」など丁寧な表現とともに用いるべきです。
特に気をつけたいのが「取り急ぎお礼まで」というフレーズです。
たとえばビジネスメールのやりとりで返信をもらえた場合などに「取り急ぎお礼まで」を使うことがよくあります。「確かに受信しました」「ありがとうございます」を簡潔に表現しているわけですね。
あるいは、会社の取引先からお菓子などをいただいた時にも使いたくなるかもしれません。「とにもかくにも早くお礼をしなければ」といった意図でしょう。
ですが、「お礼」の言葉と「取り急ぎ」をセットで使うのはおすすめできません。「とりあえずお礼だけ言っておこう」というニュアンスになってしまうためです。これではお礼の気持ちは相手に伝わりませんね。
さらに、繰り返しになりますが「取り急ぎお礼まで」は敬語表現としては不十分です。この言葉を目上の人に使うと失礼にあたるばかりか、気分を害してしまうことになりかねません。代わりに「まずはお礼申し上げます」といった表現を使うとベターです。
「取り急ぎ」を使ったビジネスメールの例文を3点ご紹介します。
メールを受け取り、受信確認の意味も含めてひとまず返信したいときに使います。
取り急ぎのメールには、具体的な回答については後日となる旨を記載します。そのため「追ってご連絡」という言葉がセットになるパターンが多いです。
イベントなどが中止や延期になった場合も急いで連絡する必要があります。相手にスケジュール変更をお願いするわけですから、なるべく混乱しないよう、相手の立場に立ったスピーディーな連絡を心がけたいものです。
不十分な回答で相手を不安にさせないために、「いまはこんなご案内またはお返事しかできませんが、後からきちんとしたご連絡をします」ということを明記しておくとよいでしょう。
お祝いの挨拶など、相手から特別返信を求めず、こちらからの言葉を早く相手に伝えたいような場合のメールでも「取り急ぎ」は使えます。対応してもらいたい内容や用件などは特になく、ひとまずお祝いの挨拶を送る場合に締めの言葉として使うことができます。
このように、できれば会ってお祝いをしたいけれども、距離や時間の関係ですぐには会えないような場合に「略式にはなりますがメールで失礼します」というニュアンスで用います。
「もしかしたら、ここで取り急ぎを使うのは失礼かもしれない…」
そんな心配がある時に便利なのが、言い換え表現です。
代表的なものに、この4つがあります。
どれも「この情報だけはお伝えしたいので連絡しました」というニュアンスがあるものです。たとえば先ほど「取り急ぎお礼まで」の言い換え表現として「まずはお礼申し上げます」をご紹介しました。メールを送る相手によって、上手に使い分けてみましょう。
英語で「取り急ぎ」を意味する表現を何点かご紹介します。
●I just wanted to inform you about〜
これは、直訳すると「私はただ、〜についてあなたにお知らせしたかったのです」となり、ある用件だけを取り急ぎお伝えします、という意味になります。
●just a quick note
これは直訳すると「サッと書いたメモ」という意味で、取り急ぎの連絡というニュアンスにつながります。ただし先ほどの表現よりもカジュアルな印象となるため、社内のやりとりで使うのにおすすめです。
「取り急ぎ」を使うとき、次のような状況のときはマナー違反であり失礼にあたります。
「取り急ぎ」は急な要件を伝えるものです。メールを受け取ってから数日経過しているものに対しての返信には使えません。見落としており、急いで返信する場合は見落としてしまっていたことに対する謝罪文を入れましょう。
お詫びや謝罪のメールに使うのも好ましくありません。たとえ社内調査中などの事情があったとしても「取り急ぎ」という言葉は使いませんので注意しましょう。
「取り急ぎ」のメールを送った後に詳細な内容を送らないのもマナー違反です。相手に「その後どうなっているのだろうか」と不安を感じさせてしまいます。
「取り急ぎ」は「とりあえず急いで」「ひとまず急いで」という意味です。便利な言葉ですが、使う相手や状況によっては失礼にあたることも。特に「取り急ぎ〇〇まで」は敬語表現とはいえませんので注意が必要です。目上の人に対しては、きちんと丁寧語と組み合わせて使うようにしましょう。
ビジネスシーンでは急いで対応すべき事柄は多いもの。そんな時に「取り急ぎ」をビジネスメールで上手に使いこなしていけるといいですね。
文:マイナビ学生の窓口編集部
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