大学病院のプールで......。都市伝説「死体洗いのアルバイト」は実在する!?

2014/10/15

新生活・準備

大学病院のプールで......。都市伝説「死体洗いのアルバイト」は実在する!?

世の中には、色々な都市伝説が存在しますよね。中には、多くの人に知られている有名な話もあります。

しかし、そもそも「都市伝説」とは「現在の都市で、広く口承される、根拠が曖昧・不明な噂話」(大辞林第三版 P.1815より引用)のこと。その内容が事実かどうかは定かではありません。では、実際のところ、都市伝説の出どころはどうなっているのでしょうか。実話に基づいたエピソードや、真実が紛れ込んでいるものもあるのでしょうか......?

今回は、数ある都市伝説のなかでも特に有名な「死体洗いのアルバイト」について検証するべく、世界のトンデモを楽しむ『と学会』の運営委員にして、日本最強のデバンカー(超常現象などを科学的態度で考証する人のこと)・皆神龍太郎さんにお話を伺いました。

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■「死体洗いのアルバイト」は大江健三郎発!?

都市伝説について語るなら、「死体洗いのアルバイト」を取り上げないわけにはいかないでしょう。「医学部にはホルマリンのプールがあって、そこには解剖学研修用の死体が保存されている。その死体をメンテするために、死体を取り出し、洗ってまた沈めるというアルバイトがある」という、少しホラーな雰囲気のある都市伝説です。本当にそんな怪しげなバイトが実在するんでしょうか?

——「死体洗いのアルバイト」について「ある」「やった」なんていう話もありますが。

皆神先生 実はこれに関して以前取材をしたことがあります。まず、この「死体洗いのアルバイト」が人の口に上り始めたのは、大江健三郎の小説『死者の奢(おご)り』に、そのようなアルバイトの様子が登場してからです。

「死者たちは、濃褐色の液に浸って、腕を絡み合い、頭を押しつけあって、ぎっしり浮かび、また半ば沈みかかっている」(『死者の奢り』より引用) などとプールの様子が描写されています。

——真に迫っていますね。

皆神先生 この小説が発表されたのが1957年(昭和32年)です。それ以来、この都市伝説は50年以上もまことしやかに語られ続けているのです。

■遺体用のプールは実際にあった!

——「死体洗いのアルバイト」が実在した形跡はあるのでしょうか。

皆神先生 某医学系大学の解剖学教授によると、解剖用の遺体をプールに入れている大学は実際にある、ということでした。

——遺体を入れているプールはあるのですね!

皆神先生 正確には「あった」と言った方がいいですね。

まず、なぜプールが必要なのかを説明しましょう。医学部の解剖実習で使う「遺体」は長期の保存ができないといけません。そのため「ホルマリン」で遺体の組織を「固定」する必要があるのですが、このホルマリンは非常に危険な物質なのです。

ホルマリンは劇薬で、ホルムアルデヒドを含んだ蒸気を出すこともあり、人体にとても有害です。ですから、ホルマリンで固定した後に、その遺体からホルマリンを抜く作業が必要になります。具体的には、ホルマリンをアルコールに置換するのです。

その作業のために遺体をアルコールのプールに浸します。プールでこの置換作業を行うと、ホルマリン抜きに数カ月かかるそうです。

——なるほど。解剖実習の学生がホルマリンを吸引したりしないようにするためなのですね。

皆神先生 そうです。しかし、「遺体処理装置」という、特別な機械を使うとその作業も数週間で完了します。ですから、この機械を導入するところが多く、私が取材した10年ぐらい前の段階でも、「プール3割、処理装置7割」といった感じで、プールはどんどん処理装置に取って代わられているとのことでした。

——今ではもっと進んでいるでしょうね。

皆神先生 そうでしょう。取材時に「そのプールはどこにあるのですか?」と教授に聞いてみると、黙って指で下を指しました。つまり、地下です。また、「見せてもらえませんか?」と言ってみましたが、見せてはもらえませんでした(笑)。

■そんなアルバイトは危険すぎて無理!

——アルバイトで死体を扱うことはあり得るのでしょうか?

皆神先生 その教授の弁によれば、「解剖用の遺体は繊細な処置が必要ですので、本学では専任の技官が担当しています。他校でも学生を雇うなどは考えられません」とのことでした。

実際、ホルマリン被ばくの可能性がある危険な仕事に、学生のアルバイトを使うなんてことはあり得ないです。「死体洗いのアルバイト」はフィクションだと思います。

——大江先生は実際にプールを見たのでしょうか?

皆神先生 大江先生は東京大学卒ですが、取材時に東京大学に問い合わせてみました。東京大学学生課に確認したところ、「過去も現在もそうしたアルバイトを本校があっせんした記録はない」とのことでした。

——なるほど。そうすると、やはり大江先生の創作と考えた方が良さそうですね。

皆神先生 「死体洗いのアルバイト」という都市伝説は、大江先生の小説によって「ある」となって広まったけれども、おそらく実際には存在しないもの、と考えて良いと思います。

——ありがとうございました。

いかがでしたか。「死体洗いのアルバイト」は定説どおり、実際には存在しないもののようです。ただし、葬儀の際に行われる「湯灌」で、遺体を入浴させる作業のアルバイトは実在するようです。大江先生の小説の影響や、この「湯灌」のバイトに尾ひれがついて、都市伝説になったのかもしれません。今回取り上げた「死体洗いのアルバイト」以外にも、謎に包まれた都市伝説は多数存在します。皆さんには、真偽を確かめたい都市伝説はありますか? 

(高橋モータース@dcp)

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