4月から社会に出て働く皆さんにとって、身近な先輩のお給料の額は自分の懐に入るお給料を知る上での貴重な参考。気になる人も多いのでは? 今年の11月に厚生労働省から発表された、『平成24年賃金構造基本統計調査結果』によると2012年6月の大卒社会人1年目平均給与の額(税引き前)は19万6500円だという。「不景気」と叫ばれて数十年ですが、この額って実際のところ高いの、低いの?
「新卒の給料平均だけで考えると、この額は悪くないといえるでしょう。意外に思うかもしれませんが、大卒男子の初任給が10万を超えるようになったのは1977年からで、1976年には9万4300円だったのです。それから倍以上お給料が伸びているのに対して、物の値段を相対的に図る消費者物価指数は当時と比べて58.8%の増加率とされています。つまり、物の値段に対して、倍以上お給料が増えているのが現代なのです」
と、教えてくれたのは「意外と知らない 給料のカラクリ」の著者で税理士の落合考裕さん。物価上昇率に対してお給料が倍以上に膨らんでいるのに、なぜここまで「不景気」とか「生活が厳しい」と言われてしまうのでしょうか?
「経済成長の伸びしろがあった高度成長期に比べて、成長が頭打ちとなった現在は、年齢を重ねても給料が伸びにくくなっていることが最たる理由として考えられます。また、厚生年金や健康保険といった社会保障の額が増え、新卒の場合は手取り額が13〜14%減ってしまうというのも理由の1つとして考えられます。1977年当時の年収に対する社会保障負担額はおおよそ10%であったので、3〜4%程度負担が増加したことになります。あるいは、派遣社員などのワーキングプア問題や大手会社のリストラ問題など、必ずしも大学を出て大手企業に就職したからといって、必ずしも一生安泰ではないことがメディアに大きく報じられていることも考えられますね」
つまり、将来的な給与の不安やリストラ問題など様々な問題が、「不景気」という言葉で一色単に語れている部分もあるということなんですね。
「伸びしろが減ったとはいえ、物価が下がり、衣食住すべてに関する商品の値段が落ちて、買えるものが昔より増えてきているのもまた事実。個人レベルで考えると昔よりも生活が楽になったと考えることもできます。ですから、社会人になってアルバイトの額とは異なる大きなお金が入っても使い道を誤らなければ、将来は決して暗くはありません。例えば、入社してから最初の3年間で30〜50万程度まとまった貯金を作るように心掛けたり、使う場合は本を買ったりセミナーに参加するなどの自己投資をすれば、みなさんが不安を抱いているほど、生活が厳しくなることはないと思いますよ」
「不景気」なんて言葉に踊らされずに仕事に果敢に取り組み、頂いたお給料は賢く管理する。これさえできれば、将来の展望は明るいかもしれませんね!
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視点を変えれば、世の中は変わる。「Rethink PROJECT」がつたえたいこと。