就職活動を続けるうちに、「選択」を迫られることが多くなります。「あまり気の進まないA社から内定が出た。受けるべきか、断って、本命のB社を目指すべきか。」など。こういうとき、「どっちを選んだほうがいいか」と人に助言を求めたくなります。助言を求めてもいいのですが、最終的に決めるのはあくまでも自分です。厳しい言い方ですが、どの道を選ぶかは自分で決めるしかありません。
「選択」は苦しくエネルギーのいる行為です。でも、選んだときよりも、そのあと選んだ道を歩くことのほうが何倍も苦しいのです。選ぶだけなら一瞬ででもできる、でも、働くことは、1年365日、何年も続きます。そこで必ず苦しいこともあります。そのときに、「あのとき、自分の意見よりも親の意見にのってしまった」、「自分がやりたいことより、まわりの目を気にしてしまった」など、選択に納得感がないと、他人のせいにしてしまい、ふんばることができません。
悩んでもいい、迷ってもいい、人に相談してもいい、でも、「自分で決める」というところだけはゆずらないでください。「私がそう決めました。これが私の決断です」と言えるまで考え抜くことです。
でも、人によっては、選択の余地なく、意に沿わぬ道に進まなければならないこともあります。そのときに必要なのは、仕事という「未知の世界」に対して、自分をひらくことです。
社会は大海原と言いました。学校は、利益の循環から切り離され、柵で保護された牧場のようなところです。牧場で思い描いた「やりたいこと」は、実社会という利益循環に身を置いたとき、どこかずれていることが多いのです。
たとえば、小さい子どもに将来なりたい職業を聞くと、「お花屋さん」や「ケーキ屋さん」など、自分の経験した狭い枠の中で職業を選んでしまう。それは大学生も同じです。実社会という大海原に出たほうが、仕事はたくさんあるんだということを知ってほしい。大海原でのことは、大海原に出てみないと分からない。
自分のやりたいことではない仕事をすることになったとき、「それはやりたくないから」と閉じてしまうか、それとも、自分の経験の枠の外に、自分を「ひらく」か? 自分の能力は自分が一番分かっていると思ったらおおまちがいです。人に引き出され、導かれして能力は開花される。やりたい仕事ではない仕事を一生懸命やった果てに、まったく予想もしなかった自分の能力が開花したという人はたくさんいます。
意に沿わぬ道に進まなければならなくなったら、「ひらけ!」と私は言いたいです。
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