訪問のマナー9.応接室や会議室への案内の仕方
いよいよ、お部屋へのご案内の仕方です。
<案内人> ドアを3回ノックする。
※ノックをする理由 誰かその部屋を使用している人がいる可能性もあるため、相手のことを考えて必ずノックをして確認。
※3回ノックの理由 日本はもともと、部屋は障子や襖で仕切られていたため、ノックをする習慣はありませんでした。ドアは西洋で作られたもので、西洋では2回ノックはトイレノックとされています。従って、トイレ以外の部屋へのノックは3回以上。しかし、ビジネスシーンでは何度もノックをされると仕事に支障をきたす場合もあるので、原則として『3回ノック』が主流となっています。
海外の映画を見ればノックのシーンが沢山出てきます。ほとんどが「トントントントントーン」と何度もノックしていることに気がつくはず。映画を見ながらのプロトコル&マナーチェックも楽しいですよ。
<案内人>「失礼致します」といってドアを開ける。
※先に使用した人たちが使ったコーヒーカップなどが残っていないかどうか、お客様に入室いただいて失礼のない状態であることを確認しましょう。
<案内人>
☆ドアの構造がドアを押して開く場合(内開きのドア)------------
案内人は訪問者(お客様)に向かって「お先に失礼致します」とひとこと告げて、案内人が先に入室します。中に入ったらドアノブを持ち替えて
「どうぞこちらへ」と訪問者を室内へ誘導します。
☆ドアを手前にひいて開ける場合(外開きのドア)---------------
ドアをあけたら中に誰かいないか、テーブルは片付いているか、などを確認し、「どうぞお入り下さいませ」と言ってお客様に先に入っていただきます。
<訪問者>「失礼致します」といって会釈をして入室。
<案内人>訪問者(お客様)を上座へご案内。
さらに、
「こちらへどうぞ」と、お座りいただく席(上座)を手で指し示します。
※このとき、案内人はお客様の座る椅子を勧めるだけでなく 「おカバンはどうぞこちらへ」とか「コートはこちらへおかけいたしましょうか」などの配慮も必要。相手の状況を伺い、押し付けがましくない気の利いたひと言がお客様の心をほぐします。
<案内人>訪問者(お客様)を席に案内後、ドアの前で一度お客様に向かって立ち止まり「失礼致します」といって一礼(会釈)し、外に出てドアを閉める前に再度、視線をお客様に向け、笑顔でまた一礼(会釈)。
訪問のマナー10.席次(洋室・和室、その他の席次)
基本は、出入り口から一番遠い席が上座です。
1) 一番遠い席にお客様を案内する
ドアから一番遠い場所が上座、一番近い場所が下座と呼ばれます。上座にはお客様や上職の人が、下座には自社の担当者や目下の人が座ります。席次の間違いは失礼に当たるため、お客様がどこに誰が座るのか、自分はどこに座るのか、
慣れないときは事前に確認をするくらいの準備が必要です。ちなみにお茶を出す順番も、この席次に従います。
2) 役職を覚えましょう
迎える側は、
お客様の役職を正しく覚えることで、席次も正しく案内できます。一般的には上職から、社長、副社長、専務、常務、取締役、執行役員、部長、次長、課長、係長、主任の順となります。場合により、常務と専務が入れ替わったり、室長といった役職も加わったりします。また会長職は名誉職の扱いで社長の下になります。迎える側は臨機応変に応対しましょう。
3) 椅子にも格付けがある 応接室の設備もさまざまですが、椅子にも格付けがあります。椅子とソファではソファのほうが格が上です。ソファの中でも一人掛のソファより複数掛けのソファのほうが格が上となり、さらにアーム付きの方が格が上となります。
従って、ソファのお部屋の場合は、複数名掛けられるソファにお客様、一人掛のソファには自社の担当者。椅子の場合は、長椅子にお客様、一人掛の椅子に自社の担当が座ります。したがって、それらの配置も格が上の椅子は出入り口から遠い上座に配置されているはずです。
訪問のマナー11.お茶出しの仕方
近年、お茶を出さない会社や、お茶を出す専用の会社と契約をし、社員はお茶を出さない企業も存在します。しかし、たとえ、自社がお茶出しをしない会社であったとしても、お茶の出し方はプライベートシーンでも必要な知識です。社会人として男女問わずマスターしておきましょう。
<お茶を出す人>
1.お盆に台布巾、湯のみ茶碗と茶托を別々にセットし、お盆は胸の高さで持ち、こぼさないようにゆっくりと慎重に歩きます。
2.
ノックを3回し、「失礼致します」といって会釈をして入室。
3.サイドテーブルにお盆を置き、そこで茶托に湯のみ茶碗をセットし、両手で茶托を持ちます。
4.お茶は、役職の高いお客様から先にお出しします。(役職が分からない場合は、席次から判断して順番に出します)
5.お茶をお出しするときは、お客様の後ろ右側から出すのが正式と言われています。しかし、ビジネスシーン(商談や打ち合わせ時)においては、その場の状況に応じて、左や前、横から出しても構いません。このときに「前から失礼いたします」というひとことを忘れずに。
6.お茶を出すときは小声で「失礼致します」とひとこと、声をかけて出します。
お客様は、お茶を出してもらったら「ありがとうございます」のひとことを! マナーは双方が身に付けていて初めて成り立つものです。
7.お茶を出し終えたら、お盆は脇に抱え、ドアの前でお客様の方を向き「失礼致しました」といって一礼(会釈)。
8.静かにドアを開けて廊下に出たら、再度会釈をして静かにドアを閉めて退室します。
訪問・来客のマナーまとめ
1.来客応対も他社訪問も、会社を代表しているという気持ちを忘れずに!
2. ご案内の仕方の基本スタイルを知識として知り、実践できることは大事。しかし、何よりも相手が気持ちよく過ごせる配慮が大切!
3. 人前を通るときは、必ず会釈をすること!
▼続きはこちら!
訪問&来客応対のマナー<後編>
マナーコンサルタント 西出ひろ子(にしで・ひろこ)
本名:西出博子。英国法人WitH Ltd.役員兼株式会社ウイズ代表取締役。1998年渡英。独自のマナーコミュニケーション論を確立し帰国。日本の形重視のマナー教育ではなく、心重視のマナーを通じて人財育成を行なうマナー研修を展開。研修の進め方などは、他に類をみないと学校・大学・企業などから絶賛。マンツーマンの就職面接対策指導では、受講者を100%内定させる。中国などの海外にて講演・研修・連載・出版なども行う。任天堂DSソフト「私のハッピーマナーブック」(TAITO)の監修をはじめ、NHKスペシャルドラマ『白洲次郎』、NHK大河ドラマ『龍馬伝』などのマナー指導、監修も務める。主な著書に26万部の「お仕事のマナーとコツ」(学研)、「マンガでわかる!社会人1年生のビジネスマナー」(ダイヤモンド社)、「基本のマナーBOOK-お仕事編-日常生活編」(マーブルトロン)など多数。
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