24卒が内定期間に考える「働く理由」とは?「能力や人間性を高める」「社会貢献」より重視された価値感は?【内定者意識調査レポート】 #Z世代Pick

2024/03/06

社会人ライフ

こんにちは!学窓ラボ リリースピッカーのふじです。大人の方はもちろん、内定者のみなさんはにもぜひ見ていただきたい調査レポートをご紹介します!

⇒【イマドキ新人社員の仕事に対する意識調査】孤立化が進む在宅勤務の新入社員。出社派と異なる課題が顕著に!新入社員の育成に関わる上司・先輩社員計2,631名を対象に調査! #Z世代pickフレッシャーズ

累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、2023年10月16日~12月4日の期間で、403名を対象に「内定者意識調査」を実施した。同社が1月に発表した内定者意識調査レポートでは、2024年に入社を予定している内定者が抱える不安や想定している壁(困難)について分析した。今回は内定者が考える「働く理由」について調査・分析した結果を公表する。

背景

企業を取り巻くビジネス環境が急速に変化する中、企業が発展し続けるために、人的資源の確保・定着が急務となっており、優秀な若手社員の定着は経営課題のひとつとされている。その中でも新入社員には、目標達成のための努力経験を積みながら成長し、長期的な活躍をすることが企業から期待されている。昨年、当社で実施した社会人1年目の意識調査では、学生時代に高い目標に向けて努力した経験がある新人は、経験がない新人より、入社前後のギャップをポジティブに捉える傾向があることが明らかとなり、学生時代の経験が入社後の仕事の向き合い方に大きく影響することがわかった。同社は例年、内定者意識調査を行っているが、今回の調査では「学生時代の経験」が「働く理由」にどのような影響を及ぼしているかを知るべく、新たに設問項目を追加し、本調査を実施した。

調査結果の概要

  • 内定者が考える働く理由、「お金を稼ぐため」が56.6%と最大の割合に
  • 学生時代に目標達成のための努力経験がある内定者は、ない内定者よりも「能力・人間性向上」「やりがい」を重視する傾向に
  • 目標達成のために努力できた理由、上位は「興味・関心があったから」「成長したかったから」
  • 入社する企業を決めた理由、「業界・事業内容」「業務内容」に興味を持ったからが上位の結果に
  • 入社する企業を決めた理由、目標達成のための努力経験がある内定者は、ない内定者より「先輩社員の魅力」「成長できる環境」「会社の目指す方向への共感」を重視する傾向
  • 【考察】入社後活躍する新人が育つ環境とは

調査結果の詳細

内定者が考える働く理由、「お金を稼ぐため」が56.6%と最大の割合に

2024年に入社を予定している内定者に対し、何のために働きたいか、働く理由について質問した。結果、「お金を稼ぐため」と回答した割合が56.6%と最も高くなった。次に、「自分の能力や人間性を高めるため」が43.7%、「社会貢献や誰かの役に立つため」が42.7%と続いた。(図1)

学生時代に目標達成のための努力経験がある内定者は、ない内定者よりも「能力・人間性向上」「やりがい」を重視する傾向に

次に、先述の「働く理由」の回答結果を、学生時代に目標達成のために努力した経験があるかないかで比較・分析した。その結果、目標達成のために努力した経験があると回答した内定者は、55.1%が「お金を稼ぐため」と回答し、次に「自分の能力や人間性を高めるため(44.1%)」、「社会貢献や誰かの役に立つため(41.7%)」と続いた。一方、目標達成のために努力した経験がないと回答した内定者は、81.8%が「お金を稼ぐため」、59.1%が「社会貢献や誰かの役に立つため」と回答し、目標達成のために努力した経験がない内定者は、ある内定者よりも「お金を稼ぐため」と回答した割合が26.7ポイント高い結果となった。目標達成のための努力経験がある内定者は、ない内定者よりも「夢を叶えるため」「生きるため」「自分の能力や人間性を高めるため」「やりがいを感じるため」と回答した割合がそれぞれ13.6ポイント、9.3ポイント、7.7ポイント、7.2ポイント高くなり、やりがいや自己成長を重視する傾向が見られた。(図2)

学生時代に目標達成のために努力できた理由、上位は「興味・関心があったから」「成長したかったから」

目標達成のために努力した経験がある内定者が、ない内定者よりやりがいや自己成長を重視する傾向があることがわかったが、なぜ目標に向かって努力することができたのか、その理由を調査した。結果、「興味のあること/得意分野だったから」が56.4%と最も高い割合となった。続いて、「成長したかったから(45.9%)」「達成感を得たかったから(29.7%)」「やりきることに価値があると思ったから(28.1%)」となった。学生時代に目標に向かって努力した経験がある内定者の多くは、その内容が「興味・関心があるかどうか」「得意としている分野かどうか」と、その経験によって「成長できるか」「達成感を得られるか」を重視していると推察できる。(図3)

入社する企業を決めた理由、「業界・事業内容」「業務内容」に興味を持ったからが上位の結果に

2024年に入社する内定者の働く理由が明らかとなったが、入社する企業を決めた理由は何か質問した。結果、「業界・事業内容に興味を持ったから」が55.3%と最も高い割合となった。続いて、「業務内容に興味を持ったから(46.4%)」となった。(図4)

入社する企業を決めた理由、目標達成のための努力経験がある内定者は、ない内定者より「先輩社員の魅力」「成長できる環境」「会社の目指す方向への共感」を重視する傾向

最後に、目標達成のために努力した経験のある・ないで、企業への入社理由に違いがあるか、見ていく。学生時代に目標達成のために努力した経験がある内定者が、入社する企業を決めた理由の上位は「業界・事業内容に興味を持ったから(55.6%)」「業務内容に興味を持ったから(45.7%)」、目標達成のために努力した経験がない内定者も「業務内容に興味を持ったから(59.1%)」「業界・事業内容に興味を持ったから(50.0%)」が1位、2位にランクインした。目標達成のために努力した経験がある内定者とない内定者を比較すると、目標達成のために努力した経験がある内定者は、ない内定者より「先輩社員が魅力的だったから」「成長できる環境が備わっているから」「会社の目指す方向に共感したから」と回答した割合が、それぞれ20.2ポイント、19.9ポイント、9.1ポイント高い結果となった。(図5)

まとめ

Z世代の内定辞退や早期離職の予防は企業にとって喫緊の課題であり、課題解決のためには彼らの働くことに対する価値観を深く理解することが大切である。そこで今回は、2024年に入社予定の内定者が考える「働く理由」を軸に、「学生時代に目標達成のために努力した経験」との関係性を調査・分析した。調査結果より、今年の内定者が考える働く理由は「お金を稼ぐため」という回答が最大となり、次に「自分の能力や人間性を高めるため」「社会貢献や誰かの役に立つため」が続いた。この回答は、学生時代に目標達成のために努力した経験のある・ないにより違いがあることも明らかとなった。努力した経験がある内定者は、やりがいや自己成長を重視する傾向が見られ、努力した経験がない内定者はお金を稼ぐことや他者貢献のために働きたいと考える傾向にあった。また、内定先の企業を決めた理由では、目標達成のための努力経験のある・ないにかかわらず、「業界・事業内容」「業務内容」が自身の志向とマッチしているかが決め手となることがわかった。加えて、学生時代に目標に向けて努力した経験がある内定者は「成長できる環境」を望む割合が高くなった。彼らが努力できた理由としては「興味のあること/得意分野だったから」「成長したかったから」がトップとなり、自身の興味関心事や強みを認識していることや、自己成長を目的としていたことがわかった。

【考察】入社後活躍する新人が育つ環境とは

今回の調査では、2024年卒内定者の仕事に対する価値観の傾向が浮き彫りになった。また、学生時代の経験により価値観に差があることもわかった。今年の内定者は、大学・高校に入学したときからコロナ禍での様々な行動制限があり、海外留学、チームでの活動、対面での活動などができず、何らかの目標に向かって努力する経験が少なかった内定者が、過去よりも多い可能性がある。また、内定者全体としては、内定先企業の業界・事業内容へ高い関心を持っていることも明らかになった。早期離職を防ぐためには、まず、自社の理念や事業の意義をより具体的に理解してもらう取り組みが必要となる。多くの企業では新入社員研修の中で理解を促す機会を設けていますが、その場に配属先の上司やOJT担当者も同席してもらい、対話型で進めるとより効果的である。理念や事業の意義がどのように具現化されているかをイメージしてもらえることに加え、配属先での指導との連動にもつながる。配属先の上司・先輩には、内定者個々の価値観や過去の経験を把握し、適切な業務経験の付与により成長を促すことが求められる。しかし、採用プロセスにおいて採用担当者が持っている、個々の内定者のリアルな情報が、現場の上司・先輩に適切に共有されていないことがある。情報不足により、適切な業務付与がされず、期待外れだと失望したり、プレッシャーに押しつぶされたりすることも想定される。採用担当者と現場の育成担当者の連携を強化し、一定期間は共に育成に携わることも検討するとよいだろう。

ALL DIFFERENT株式会社 組織開発コンサルティング本部 コンテンツマネジメント部 部長 河合 司真子(かわい・しまこ)

事業会社を経て2017年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。研修講師とコンサルタントを兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。その後、サービスの企画・開発部門のリーダーとして、アセスメント・サーベイ、対面研修、オンライン研修などの新サービスを企画・開発。研修講師育成のリーダーとしても活動。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、管理職研修を中心に年間100回以上の研修を実施。

ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。 人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。 《沿革》 2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供 2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立 2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更 代表取締役社長 眞崎調査研究の実施 サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」 経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか

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編集/ふじ(学窓ラボメンバー)

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