その行動、実はSDGsに繋がってるかも!「IDEAS FOR GOOD」内の事例から、Rethinkの考え方を知ろう!  #Rethinkとは?

更新:2022/07/08

社会人ライフ

今回は、国内外のサステナビリティに関する情報配信メディア「IDEAS FOR GOOD」にて掲載されている中から、視点を変えたことでSDGsにアプローチできる事例を紹介します!

教えてくれたのは、企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」の開発責任者を務める宮木志穂さん。

「『SDGsに貢献しましょう』と呼びかけるだけでは、実際のサステナブルな行動に繋げるのは難しい。」と、宮木さんはいいます。

では、何をどのように視点を変えることでサステナブルな行動に繋がるのでしょうか。

日常の「あたりまえ」を疑ってみては?! 視点を変えるヒントを「仕掛学」の松村教授に聞いてみた  #Rethinkとは?

PROFILE

宮木 志穂 (みやぎしほ)

ハーチ株式会社 IDEAS FOR GOOD Business Design Lab開発責任者

◉―― 1994年東京生まれ。大学在学中に東北ボランティア、イギリス留学を経験。社会を良くするアイデアを発信する自社メディア「IDEAS FOR GOOD」の編集者兼ライターを経て、2020年3月に企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」を立ち上げる。現在は、開発責任者として企業の サステナブル・トランスフォーメーションの支援を行う。

【事例1】ヴィンテージ素材の形を変えて、これまでもこれからも愛されるものへ

使われなくなったモノに手を加えることで、新たな価値を与える「アップサイクル」。近年、SDGsの取り組みとして注目されていますが、ファッション業界でもアップサイクルに注力する若手デザイナーが増えています。

レースアクセサリーショップ「コレット・バルセロナ」のデザイナー、スサナ・ソレルさんもその一人です。スペイン・バルセロナでは、古くから伝統的な手編みのレースが愛されてきましたが、ファッションの工業化により、本来価値のあるレース製品が、市場で安く買い叩かれてしまう実情があります。

そこでスサナ・ソレルさんは、家庭で使われなくなったヴィンテージレースを買い取り、アクセサリーや服の装飾などにアップサイクルして販売しました。使われなくなったウェディングドレスやテーブルクロスなどを日常的に使えるアクセサリーに生まれ変わらせることで、現在も愛される価値を与えたのです。

宮木さんは、「形を変えながらでも、モノに込められた想いも一緒に持っている意識がとても大事」と話します。

「モノをモノとしてだけでなく、その裏側にある想いも一緒に大切にできれば、自然とサステナブルな行動につながっていくと思います。」

→バルセロナ発レースアクセサリー店の詳しい背景から、アップサイクルに至った秘話まで!

【事例2】作り手の想いを知ることができるファクトリーツアー

宮木さんによると「モノづくり」の現場やストーリーを知ることも視点を変えるきっかけになるそうです。その好事例が、2016年から京都で毎年開催されているイベント「Design Week Kyoto」です。

「このイベントでは、地元の伝統的な工芸品の工房や金属部品の加工場などを一部開放し、オープンファクトリーツアーを行っています。私も実際に取材をしたのですが、一般の人が職人や生産者からモノを長く使い続けられるコツやモノづくりへの想いを聞くことができるので、これまでなかった視点から、そのモノを大切にする動機が生まれると思います。

→Design Week kyoto2020の様子はこちらからチェック

【事例3】お皿を小さくすることで食品ロスを削減

視点を変えることで、無意識のうちにサステナブルな行動をとるように促した事例もあります。それが、IT業界世界最大手のGoogleが始めたユニークな取り組みです。

SDGsの深刻な課題である食品ロス。日本国内だけでも年間570万トンの食品が廃棄されており、世界規模で問題となっています。

食品ロスを削減するためにGoogleの社員食堂では、従来より約2.5cm小さい深さの皿に変更。それによってお皿に盛る料理の量を無意識に減らせるようにしたのです。その結果食べ残しの量を最大7割削減できたそうです。

「大きなお皿だと、たくさん食べ物を盛ることが習慣化されてしまいますが、初めから小さいお皿にしておけば、必然的に量が少なくなります。足りなければ、またお皿に盛ればいいだけの話ですからね。お皿を小さくしたり、マイバッグを取りやすい場所に置いておいたり、身近なところで自分の行動を操作するのも、視点を変えることでサステナブルな行動を促せるアイデアだと思います。

→グーグル社の取り組むFood for Goodって?

【事例4】動画の画質を悪くしてデジタルサステナビリティに貢献?!

皆さんが普段、何気なく見聞きしている音楽や動画の視聴法で使われているストリーミング。実はその動画ストリーミングサービスによる環境負荷も深刻化しているのです。そんなデジタルサステナビリティの問題を考えるきっかけになるのが、「Small File Media Festival」と名付けられたショートフィルムフェスティバルです。

いかに「小さく・軽い」映像作品を作るかを競うユニークなイベントで、応募条件は5メガバイト以下の動画であること。作品は環境負荷を少なくするため、あえて短くシンプルな作りにしており、画質の粗さも一つのアートとして成立しています。 

「普段動画を観るときに、サイズが大きい・小さいというのを意識する人は少ない。出てきたものに対して、特に違和感なく視聴していると思いますが、使う画像のサイズや余計なアニメーションを減らすことで、CO2量が削減できるのです。これは、動画の設定自体を変えるだけで、CO2を減らすことが出来、さらに読み込み速度を早められることを知れば、すぐに行動できると思います。」

→「Small File Media Festival」で入賞した作品ってどんなもの?

視点を変えてみると、ちょっとした行動がSDGsに繋がっている

視点を変えれば、ちょっとした行動でSDGsに貢献できると宮木さんはいいます。

「サステナブルという視点からでなくても、持っていて嬉しいモノや格好良いモノであれば、大切に持ち続けたくなりますよね。たとえそれがプラスチック製のものでも、大事に長く使い続けることができれば、十分サステナブルといえると思います。モノが生まれた背景に想いを馳せることや、大切に使い続けるコツを知ること、課題を知って考えずに動けるような工夫を仕掛けておくこと。そんなちょっとしたことで視点が変わり、サステナブルな行動に繋げる事ができます。

「IDEAS FOR GOOD」で、サステナブルな事例を世に発信してきた宮木さん。次回は、企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」が手掛けた事例から、視点を変えるヒントを探ります。


文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
取材協力:ハーチ株式会社  「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」
出典・引用:
【事例1】
「過去」と「現在」を超えて人をつなぐアップサイクル。バルセロナ発レースアクセサリー店
【事例2】
Design Week Kyotoで想いを馳せる、職人との新しいコミュニケーション
【事例3】
食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁
Google says its reduced food waste just by using different bowls
【事例4】
Second Annual Small File Media Festival
School for the contemporary arts – SMALL FILE MEDIA FESTIVAL
TACKLING THE CARBON FOOTPRINT OF STREAMING MEDIA

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