正社員になりたいと言えず…しょせん私は使い捨て? #モヤモヤバスターズ

更新:2020/12/22

社会人ライフ

社会人のみなさんの、なかなか言えないモヤモヤを解決していく連載 #モヤモヤバスターズ。あっという間に冬に突入してしまったようにどんどん気温が低くなっていきますね。今回も“女性のキャリアモヤモヤ”について解決していきます。

相談者のミヤコさんは、自分のキャリアと向き合う評価面談で上司から思いがけないことを言われ、絶望してしまったそう……。さっそく瀧波ユカリ先生からのアドバイスをみていきましょう!

★今回のモヤモヤ(お相手:会社と上司)
はじめて投稿します。ある会社の事務系職種をしています、彼氏と同棲中の24歳の契約社員です。上京してやりたい仕事に就けたものの、雇用形態が契約社員であることだけが満足いかず、今の職場で本当にいいのか、自分の将来はどうなるのか漠然とした不安を抱えています。

やはりできればいまの会社で正社員になって、長く勤めたいなと考えていたので、上司(女性)との評価面談の際に自分の希望を話してみることにしました。 ところが、初っ端から「○○さんは将来どんな仕事がしたいの?」だの「ここを辞めてからのこと考えてる?」「結婚したら仕事したい?」など、まるで今の会社での将来のキャリアは描けないと聞こえざるを得ないような話をされたのです。

私はその面談ではついに「正社員になりたい」とは言えずに絶望を感じ、今やっている業務経験を活かして長く働ける場所を条件に、現在転職活動の準備をしています。

今の会社に、いろんな業務を手取り足取り教えてもらったので、感謝している面はたくさんありますが、契約社員というのは使ってポイが現実なんでしょうか。契約社員という雇用形態にモヤモヤしているのではなく、上司の対応や契約社員は使い捨て的な会社の方針にモヤモヤしています。ご意見ください。
(ミヤコ・24歳/女性/出版)


ミヤコさん、こんにちは!「上京してやりたい仕事に就けた」って、とってもとっても素晴らしいことだなーと思います。20代前半で自分のやりたい仕事がわかっているのって実はすごいことだし、その仕事をするために行動できる力もすでに持っているミヤコさん、素敵です。

さて、キャリアのスタート地点に立つと、新しい問題が見えてくるもので。ミヤコさんの場合は、まず雇用形態への不満があった。それを解消するために、上司に話してみようと思ったわけですね。でも上司から聞かれたことが想像していたものとは違って、絶望を感じたと。そして上司の対応と、会社の方針にモヤモヤしている。うーん、これは……モヤモヤバスターズ隊長である私が、毎度この連載で言っているあれですね。

「モヤモヤの矛先をまちがってはいけない」案件!!!

秘めた思いは自己開示しないと伝わらない

そう、ミヤコさんはモヤモヤの矛先をまちがっているんじゃないかと思います。上司の対応や会社の方針(相談文に書かれていないことも含めて)も、もちろんミヤコさんをモヤモヤさせる要素にあふれているのでしょう。

でも、できればこっちのほうにフォーカスしてほしいな、と私が思うのは……
「言いたいことを言えない自分にモヤモヤ」です!

ちょっと厳しいことを言いますが、ミヤコさんは評価面談で自分の希望を話すと決めた以上は、上司に何を言われても話すべきでした。だって、言わなければ伝わらないのですから。

せっかくその覚悟で臨んだのに言えなかったのは「今の会社での将来のキャリアは描けないと聞こえざるを得ないような話」をされたから……とのことですが、そう感じたのならこう聞き返すべきでした。「私はこの会社で長く働きたいし、できたら正社員になりたいのですが、今のお話からするとそれは難しいということでしょうか?」と。

一般的に会社や上司という存在は、秘めた思いをすくい上げてくれるほど優しくありません。契約社員に対して懇切丁寧に「あなたは実は正社員になりたいんじゃないかな?そんなふうに見えるんだけど、どう?」と聞いてくれたりはしません(ものすごく優秀だったらそういうこともあるだろうけど)。

だけど、今回の評価面談のように会社側から話をする機会を設けることはあるし、社員の方から交渉を持ちかけることもできます。

まずは交渉のステージに立つこと

与えられた機会に乗じてでも、自分で機会を作ってでも、とにかく自分が正社員になりたいと思っているのならそのことを伝える。私はそこからがスタートだと思うし、それをしないで絶望して転職活動を始めてしまうのってすごくもったいないと思います。

もったいないというのは意味がふたつあって、ひとつはもしかしたら自分の思いを伝えたら道が拓けるかもしれないのに、ということ。もうひとつは、「言いたいことを言う」という人生で最重要のスキルを身につけるチャンスなのに、ということ。

相手が親でも恋人でも上司でも、だれに対しても堂々と「自分はこうしたい」と言える人は強いです。なぜって、それがすべての交渉の第一歩だからです。「自分はこうしたい」と言えない人は、交渉のステージにすら立てないのです。

「契約社員というのは使ってポイが現実なんでしょうか」。ミヤコさんはこう書いていましたが、どう考えてもそれを言うのは早すぎる!まずは言いたいことを言えない自分にちゃんとモヤモヤしましょう。それから、どうして言えないのか、どうしたら言えるのか、どうやって言ったらうまくいくのか、考えてみましょう。そして勇気を出して、誠意を持って、自分がどうしたいのかをちゃんと上司に伝えましょう。交渉のステージに立ちましょう。

その結果、もし正社員にはなれないと言われてしまったとしても、ミヤコさんには上司を相手に堂々と言いたいことを言い、交渉をした経験が残ります。それは必ず、この先の人生の糧になります。もちろん、言ってみたら案外うまく話が進んでいく可能性だってあります!どっちに転んでも、失うものはありません。

やりたい仕事を自分でわかっていて、そのために行動もできるミヤコさん。ここに「言いたいことを言って、交渉のステージに立つ」というスキルが加わればもう、鬼に金棒です。あなたなら大丈夫。ぜひ、挑戦してみてください。応援しています!

文・瀧波ユカリ
漫画家、エッセイスト。北海道生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。主な著書に『臨死!! 江古田ちゃん』『ありがとうって言えたなら』等。雑誌Kissにて『モトカレマニア』連載中。

Twitter:@ takinamiyukari
公式サイト:Takinami Yukari Official Site


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