公的な年金制度以外に、個人で老後に備えられる年金制度として、節税などの面でメリットがある個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)ですが、リスクやデメリットもあります。今回は、iDeCoの注意点に焦点を当てて解説していきます。
(監修協力:鈴木幸子)
これが、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の最大のデメリットとも言えます。
老後のための年金制度であるため、基本的に60歳まで引き出すことができず、原則として途中解約もできません。解約して「脱退一時金」をもらうためには、国民年金の保険料免除者であることや障害年金の受給者ではないことなど、かなり厳しい要件が必要です。
iDeCoは口座開設時に手数料2,829円、更に口座管理料が月々171円かかります。金融機関によっては、別途独自の管理手数料がかかる場合もあります。
とはいえ、毎月の手数料分については掛金の所得控除による減税額で相殺できる金額ですから、それほどの重荷とはなりません。
iDeCoは元本保証型の運用商品もありますが、投資信託を選ぶこともできます。その際、資産配分を自分で選ばなくてはなりませんので、その成績によっては元本割れのリスクもあります。
運用商品を選ぶときは慎重に行い、心配な場合は元金保証型の商品を組み込みましょう。
iDeCoは企業が選択している年金制度によって積立額が異なります。ですから転職先によってはiDeCoの積立ができなくなったり、企業年金制度によっては、積立額が減ってしまったりする場合もあります。しかも、その手続きはすべて自分で行わなくてはなりません。
iDeCoは受け取るときに税金がかからないといわれますが、そうではない場合もあります。例えば、多額の退職金とiDeCoの一時金受取りを同時に行った場合、勤続年数や合計金額によって課税される場合があります。
この場合の対処法としては、受け取る退職金と退職所得控除などの兼ね合いを考えた上で、iDeCoの適切な受け取り方法や時期を自分で設定しなければなりません。
60歳になった時点で加入期間が10年に満たない場合、受給開始年齢が引き伸ばされます。その間は掛金の拠出はできないものの、口座を維持するための手数料はかかりますので、受給開始までに手数料で資金が減ってしまうことも考えられます。
60歳近くになってからiDeCoに加入しても、さほどメリットは得られないと考えておいたほうがいいでしょう。
iDeCoは老後の蓄えを増やせたり、掛金分の所得控除を受けられたりするなどのメリットもありますが、一方で今回解説したようなデメリットもあります。メリットとデメリットをよく検討し、上手に資産を運用しましょう。
(学生の窓口編集部)
監修協力:鈴木幸子
2010年よりFP活動を始め、子育てファミリーの家計相談、住宅購入相談を実施。フジテレビLive it Newsでコメンテーターを務めるなど、地元金融機関、住宅メーカーでの講演実績を持つ。保有資格AFP・証券外務員2種・相続診断士。
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